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ゲームで朝を迎える日々ふたたび。 『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI』プレイリポート

ファミ通.com 10/12(水) 7:02配信

文:ライター カイゼルちくわ、構成:編集部 工藤エイム

●簡略化したと思いきや、どこまでも果てがない奥深さ
 2016年10月21日(金)、2KならびにFiraxis Gamesより全世界同時発売となるPC用ターン制ストラテジーゲーム『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI』(以下『VI』)。
 ボードゲームからPCゲーム化してから今年で25年、歴史あるシリーズの最新作として注目を集めるこのタイトル。筆者もよくいる『エイジ オブ エンパイアII』(マイクロソフト/1999年発売)あたりからPCストラテジーにハマったクチだ。しかし今や数多く出ているストラテジーゲームの中でも、歴史ある『シヴィライゼーション』は別次元というか、ストラテジーのひとくくりに含めるのがためらわれる。

 これまでも新作が出るたびに大きな改変が入り、驚きと面白さを与えてきてくれた『シヴィライゼーション』シリーズ。その最新作『VI』は実際どんなゲームに仕上がっているのか、さっそく何周かプレイさせていただいた上でのインプレッションをお伝えしていこう。

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 まずシリーズファンが一番気にしているのは、前作『V』からの変化だろう。『V』では『IV』までにあった軍事ユニットのスタック(複数のユニットを同じマスに重ねてより強力な1ユニットとして扱う)が撤廃され、さらに外交関連に大きな簡略化が入った。この変化には戸惑ったシリーズファンも多かったはずだ。
 あまり細かく解説すると長くなりすぎるので、簡単に結論から言う。『IV』、『V』とは今回もかなりプレイ感覚が違う。システム面はさらに分かりやすく簡略化した部分が多いが、むしろ厚みは増している。とはいえ、その厚みというのは公害や汚職といったかつてあったような面倒な要素ではなく、プレイヤー自身が選択し楽しめる要素によるものだ。

 分かりやすい例を挙げると、まずはゲームスタートの時点で最初の都市を設置するところ。従来のシリーズ通り、川が流れている肥沃な土地に都市を置くことで、生産力などを確保するのが基本中の基本なのは変わらない。
 さらにその周辺に資源のボーナスが得られるタイル(マス)があるかどうか、運が問われたのが『V』までの基本。だが『VI』には、都市にさまざまな機能を与えるために周辺タイルに配置していく“区域(ディストリクト)”というものが存在する。この区域で得られるボーナスは、周辺タイルの地形によって大きく変わるため、単に川のところに都市を考えなく置けばいいというわけではない。

 また、『VI』ではこのように区域を各都市の周辺タイルを使って増設していく。そのため、都市周辺の限られた有効な地形や周辺のタイル数を考えると、一つの都市にあらゆる機能を持たせようとするのは難しい。
 よって新たな都市を開拓者を用いてどんどん建設していき、機能を分担させていくことになるわけだが、そこでもまた地形ボーナスの概念が大事になる。毎ゲームごとにランダムで生成される地形へ柔軟に対応するこの感覚は、従来のシリーズでは味わえなかった底知れない奥深さを感じさせる。

 地形への柔軟な対応、とは書いたが、ストラテジーということで「最終的には戦争やスコアで勝てばいいから別に対応とかいらないのでは」と思われるゲーマーの方も多いだろう。
 今さらながら改めて解説すると、本作『VI』では500ターン終了時の最終的な総合スコアで勝利文明が決まる。だがその前に、一定の条件を満たした文明があった場合、問答無用でその文明が勝者となってゲーム終了となる。これが『シヴィライゼーション』シリーズのもっとも面白い点だ。


 従来のシリーズ作品では、これらの特殊な勝利を目指すには、軍隊の編成や外交に割くべきリソースをかなり特殊な方向につぎこむ必要があった。特に自分の文明が持つ技術や宗教、政治の発展度を表わす“技術ツリー”では、その勝利に必要な枝分かれ先ばかりを進める必要がある。すると文明にかたよりが生まれ、外敵への対応などで大変な目にあうことも多かった。
 だが『VI』では、このツリーが技術面のみを扱う“技術ツリー”と、宗教や政治を扱う“社会制度ツリー”の2つに分かれ、同時に進行できるようになった。特に社会制度ツリーで獲得できる“政府”と、その政府に選んでセットできるカードで得られるボーナス効果はかなり大きく、技術ツリーを無理にかたよって進めている間も、このボーナスで十分まかなえた。

 また、こうしたツリーや都市の地形効果だけでなく、プレイヤーの行動によってもさまざまなブーストがかかるのも『VI』の大きな特徴だ。
 本作では特定の行動をすることで発生する“ひらめき”で、ツリーの進行にかかるターン数が大きく削減される。最初はあまり意識していなかったが、これを狙ったプレイングをしてみると、文明の発展速度がかなり違ってきた。
 特に狙っていなくても、たとえば海洋国家にしようと海辺で活動しているとそれに沿ったひらめきが多く発生したりと、自然と発展を助けてくれる要素になっているのも好印象だ。

●自由度が高いことを実証! 何度遊んでも飽きがこない
 ここまではシステム面の要素を中心に『VI』の魅力をお伝えしてきたが、ここまでだけでは机上の空論。実際に自由度は高いのか、文明の発展を自分の好きなように楽しめるのか。何周かプレイさせていただいた中で、一回だけだがこの点についてチャレンジさせていただいた。

 指導者を日本の“北条時宗”にしたときに、小さめの大陸内にほかの指導者の文明が存在しないという、島国状態でのスタートとなったその周。日本なら海洋国家を目指すか……と思ったところ、もういっそ鎖国してみようかと思い立ったのがきっかけだ。

 そこから沿岸部に都市を作り、技術ツリーは海洋とハイテク関連と、最低限の技術のみを進行。そうするとあら不思議、西暦1700年代の時点でロボット工学まで発展しているというとんでもない文明が誕生した。
 正直ここまでする必要はなかったのだが、なんと1800年代には潜水艦の艦隊が大陸の周りを守るという、とんでもない鎖国状態が誕生した。ちなみに陸軍はほぼ放置したので、潜水艦が外洋を守っているのに国内では日本独自のユニット“侍”が闊歩している状態だ。

 だがこの状態、ほかの国から万が一、戦車などが上陸してきたらどうなるか。内陸にいるほぼ唯一の戦力である、刀を持ったチョンマゲの皆さんではどうしようもない。
 しかも大艦隊を作ったことで、他国の指導者がそろって警戒してくる始末。ちょっとでも刺激すれば宣戦布告されそうな状態だが、今さら陸軍を強化しても間に合わない。外交でご機嫌をとりつつ、文化や科学の発展をひたすら進めていった。

 スコア大幅トップを維持しつつ、残り100ターンを切ったあたりで、さすがに他文明が次々と宣戦布告をしてくる事態に。さらに無理な発展を進めていたら、うっかり都市の市民の不満を高めてしまい、市民の一部が機甲化部隊と化して暴動を起こすはめに。
 侍はもちろんあっという間に全滅したが、ツリーを進めれば各都市や一部区域にも自衛能力がつくのが本作のありがたいところ。反乱をなんとか鎮圧しつつ、500ターンを迎えて勝利をおさめることができた。

 地形に恵まれ、また北条時宗が持つ「隣接しあっている区域にボーナス」という特性のおかげで、島国内でも驚くほど早く発展できたこともあったが、本作ではセオリーとされる戦法をこのように一切無視しても、勝利を目指すことができる。
 ストラテジーといえば、限られた時間内での最適解こそ勝利の鍵、というのが普通の考え方だ。だが『シヴィライゼーション』ではむしろ、さまざまな勝ち筋を自分で編み出していくことができる。これが『シヴィライゼーション』を、筆者が普通のストラテジーとは別格と考えている最大の理由だ。

 そもそも、今回のインプレッションに際して何周かプレイさせていただいての感想だが、毎回勝てるセオリーなど本作にはまず存在しないと思えた。
 本作ではプレイするたびに地形のみならず、他文明の指導者もランダムで配置される。そのため、たとえば同じ大陸内で好戦的な文明と隣接していた場合、軍事ユニットを多めに作っただけで即座に奇襲攻撃をされたこともあった。近くにどんな指導者がいるのか、まずは斥候で調べてからそのたび異なる戦略を練るという流れは共通だったが、プレイするたびに取った戦略はまったく異なる方向性になった。


 以上のようにさまざまな要素が毎回入れ替わることで、まさに文字通り、何度遊んでも飽きがこない。『VI』をプレイしてみての、筆者の感想のまとめはこの言葉に尽きる。
 1週間と少し、集中して『VI』をプレイさせてもらったが、ぶっちゃけるとプレイに夢中になっているうちに、ふと外を見たら朝日が出ていた回数は3回。だが、そこまでプレイしても、まだまだ「あそこをこうすればよかった」「あそこでこうしたらもっと面白いことになったのでは」と、プレイするたびに反省点や発見があり、次のプレイを始めたくなる。
 そこまで長時間プレイすると疲れるのでは、とも思われるかも知れない。だが、ユニットの移動や攻撃対象の指定が右クリックだけでできたりと、ユーザーインターフェースの面でも最小限にまで最適化と簡略化がされているため、プレイヤーへの負担は想像以上に少なかった。
 だからこそ、時を忘れて朝までプレイしてしまい、翌日大変なことになったりもしたわけだが……。

 『シヴィライゼーション』シリーズの「文明を発展させる」という面白さと魅力を存分に引き継ぎつつ、『IV』や『V』で進化してきたシステムが集約し、簡単ながらどこまでも奥深いシステムが完成している『VI』。
 この面白さは1回プレイしただけでも十分伝わるだろうが、何回もプレイしてみれば、そのたびに面白さがどこまでも増していくことに驚いてもらえるかと思う。ぜひ皆さんにも筆者と同じように、時間を忘れて夢中になるこの果てしない文明の世界へどっぷりとハマってみていただきたい。

●最後にちょっとしたオマケ シリーズ初プレイの人へアドバイス
 『シヴィライゼーション』シリーズを完全に初プレイという人には、かなり分かりやすくなった『VI』とはいえ、序盤で何をすればいいのかわからない人も多くなるかと思う。
 そこで何度もトライ&エラーして覚えていくのも本作の面白さの一環なのだが、それではストレスがたまるという人向けに、筆者オススメのちょっとしたセオリーをお教えしておこう。そんなもの必要ない! という方には、遠慮なく読み飛ばしていただきたい。

 まずは労働者で都市周辺の施設を、開拓者で第二第三の都市を広げつつ、技術ツリーの「弓術」や「車輪」を研究し、多めの弓兵といくつかのカタパルトを用意する。弓兵で都市周辺に近付いてくる蛮族を追い払いつつ、斥候を数人世界中に放っていく。
 その途中、斥候が領土へ深く入り込みすぎてしまったりして、隣接する他文明に宣戦布告されてしまうことがある。その場合、その文明の都市一つを、弓兵で周辺のユニットを倒してから、都市の中心をカタパルトも交えて囲んで集中砲火。都市中枢の体力をゼロにしたところで、近接ユニットで攻撃して都市の中枢を制圧する。
 そのころまでには向こうから和平をもちかけてくるので、これで関係をリセットできる。慣れてくれば攻め込まずとも、こちらからの和平でも解決できるようになるだろう。

 とはいえこれは、あくまで最序盤の話。これで序盤を乗り切りつつ、文明の基礎を築いてからどうプレイしていくかは、プレイヤーそれぞれに任せられる。他国を侵略して全文明を敵に回すか、ひたすら内政に力を注いでいくか、スパイを送り込んで他文明の発展をひたすら妨害するか……楽しみ方の幅は、まさに無限大だ。外交やスパイの管理も分かりやすい仕様になっているので、何度か試してみればすぐにコツがつかめてくるはず。
 プレイするたびに新たな楽しみ方が見つかっていく、いつまでも遊び続けられるこの魅力。ぜひシリーズ初プレイという皆さんにも、何度も楽しんで味わってみてほしい。

最終更新:10/12(水) 7:02

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