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石炭火力発電所で国内初のCO2回収・利用へ、必須アミノ酸の製造に生かす

スマートジャパン 10/12(水) 11:25配信

 国を挙げてCO2(二酸化炭素)の排出量削減に取り組む中で、火力発電所から排出するCO2を回収・貯留・利用できる設備の普及が大きな課題になっている。国が支援する実証プロジェクトが全国各地で進んでいるが、いち早く民間企業による商用レベルのCO2回収・利用計画が愛媛県で動き出した。

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 愛媛県の新居浜市を中心に発電事業を展開する住友共同電力が、主力の火力発電所にCO2分離・回収設備の導入を決めた。2008年に稼働した「新居浜西火力発電所」の3号機に、発電後の排ガスからCO2を分離・回収する設備を併設する計画だ。2018年6月に運転を開始して、回収したCO2を同地区に立地する住友化学の工場に供給する。

 新居浜西火力発電所の3号機は石炭と木質バイオマスを混焼して、周辺地域に立地する住友グループ各社に電力と蒸気を供給している。発電能力は15万kW(キロワット)にのぼる。木質バイオマスを燃料に加えることで年間に1万トン前後のCO2排出量の削減効果を生み出しているが、新たにCO2分離・回収設備を導入して年間に4万8000トンのCO2を生産・利用できる見込みだ。

医薬品や家畜の飼料の原料をCO2で作る

 CO2分離・回収設備は新日鉄住金エンジニアリングの製品を導入する。新日鉄住金エンジニアリングはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託研究を通じて開発したCO2分離・回収設備を製品化している。CO2を溶剤に吸着させて分離・回収する化学吸収法を使う点が特徴である。

 住友共同電力からCO2の供給を受ける住友化学の工場では、必須アミノ酸の「メチオニン」を製造する工程でCO2を副原料として利用する。メチオニンは医薬品をはじめ、家畜の飼料に添加する用途で大量に使われている。

 新居浜地区にある住友化学の工場では年間に10万トンのメチオニンを製造している。2018年の半ばに生産能力を25万トンに引き上げる計画で、そのタイミングに合わせて住友共同電力がCO2の供給を開始する。

 国内では火力発電所から回収したCO2を使って、バイオ燃料の原料になる微細藻類を培養する試みなどが始まっている。住友共同電力と住友化学がメチオニンの製造にCO2の利用を開始すると、商用レベルのCO2回収・利用プロジェクトでは国内で初めてのケースになる。

 住友共同電力は89年前の1927年に新居浜地区で電力の供給を開始した。現在は愛媛県内に3カ所の火力発電所のほか、愛媛県と高知県で合計11カ所の水力発電所を運転している。火力発電所では木質バイオマスや下水の汚泥から作る消化ガスを混焼してCO2排出量の削減に取り組んできた。さらに新居浜地区ではCO2排出量の少ないLNG(液化天然ガス)を燃料に使う火力発電所(発電能力15万kW)も建設中だ。

最終更新:10/12(水) 11:25

スマートジャパン

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