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【読書の秋】或る銀行員がお薦めする「投資の役に立つ本」5選

ZUU online 10/12(水) 17:10配信

読書の秋である。
前回「なぜ、人はくだらない『投資本』を買ってしまうのか?」について書かせていただいた。実際、書店に並んでいる投資本の多くは、くだらない「雨乞いの記録」に過ぎない。

では、投資初心者はどんな本を読めば良いのか?

著名な投資家の体験談やノウハウ本など何の役にも立たない。投資初心者なら他に読むべき本がある。それは「投資本」ではなく、「投資の役に立つ本」だ。これから何十年と相場に向き合うことになる初心者だからこそ、最初が肝心なのだ。小手先のノウハウではなく、相場の面白さ、怖さ、そして現在我々が直面する社会の本質をしっかりと見据えることができる本を熟読したい。

私は株式投資を始めて20年以上になる。これまで数多くの本を読んできたが、その中でも初心者のあなたにお薦めしたい「投資の役に立つ本」を紹介しよう。

■株価は「人間の心理」で動く。投資の面白さ、恐ろしさを学べ

『波の上の魔術師』(石田衣良、文春文庫)

これから投資を始めようという人に、まず読んで頂きたいのが『波の上の魔術師』だ。

この本には相場の読み方が書かれているわけでもないし、ノウハウが書かれているわけでもない。この本を読んだからと言って、あなたの投資が変わるわけではない。

老紳士とパチプロ大学生が株価操作によって銀行を懲らしめるという少々非現実的なストーリーは実際の投資には何の役にも立たないだろう。

しかし、人間の心理が株価をどのように動かすのか、小さな出来事の積み重ねが大きなうねりとなって株価を動かす描写にワクワクする。株式投資の面白さ、そして恐ろしさを初心者が楽しみながら理解するにはうってつけの一冊だ。

■難解な投資の世界を「抵抗なく学べる」一冊

『堂島物語』(富樫倫太郎、毎日新聞社)

いまや多くの金融商品が先物やオプションといったデリバティブの「仕組み」を利用している。こうしたデリバティブは現代の金融商品には欠かすことができないのだが、いつ、どこで、どのように生まれたのだろうか。

1620年、舞台は江戸時代である。大阪の堂島で米市場が開設され、その100年後には世界で初めて米の先物市場が整備されたとされている。江戸時代の堂島では世界最先端の金融取引が行われ、それが現在の金融工学の礎となっているのだ。

この物語は、主人公が米問屋の下積みから、商才を発揮して這い上がっていくサクセスストーリーだが、当時の米取引の様子が興味深い。現代の商品先物相場が既に成立しており、先物を売り買いしてヘッジを行ったり、レバレッジを効かせて大相場を張るといった投資家(米商人)がいたのだ。

あなたは、投資経験を重ねる中で「信用取引」「先物取引」「デリバティブ」といった専門用語に遭遇することになるだろう。この本を読めば、初心者でも難解な投資の世界を抵抗なく学ぶことができる。

■社会の本質を捉える「目」を養え!

『日本病 長期衰退のダイナミクス』(児玉龍彦、岩波新書)

投資家にとってはアベノミクスが成功しようが、日本がどうなろうが、相場が動くことで投資のチャンスが増えれば、それで良い。

しかし、日本人であるからにはこの国の行く末が気にならないはずがない。著者はアベノミクスによって、日本経済は長期停滞から長期衰退へと切り替わったと主張している。多くのアベノミクスに対する批判本のひとつではあるが、一歩踏み込んだ著者の解説に「なるほど」とうならされる。

あなたは、この本を読みながら自分の会社、所属する組織の「病気」の深刻さに気づくことになるだろう。そう、これはタイトルが示す通り「日本病」なのだ。

「過去に失敗してきた政策が繰り返され、失敗の上塗りが行われ、失敗した政策の規模を大きくしていくが、次第に症状が悪化していく。にもかかわらず、誰も失敗の責任を取らないために、そこから抜け出せない。手を替え、品を替え、失敗した政策が正当化される」

決して他人事ではない。現在、我々が直面している状況をしっかりと見据え、考えること。あなたは、この一冊で社会を捉える「新しい眼差し」を得ることができる。その眼差しは、あなたの投資にも大いに役立つだろう。

■経済を動かす「中央銀行」の役割を理解せよ

『あなたはお金の仕組みにこうして騙されている』(天野統康、徳間書店)

「官製相場」という言葉をご存知だろうか。

いつからこんな言葉を使うようになったのだろう。日本銀行が国債、ETF、REITを買いあさり、マーケットの流動性を損ねている。そんな批判を聞いたことがあるだろう。

しかし、多くの人はそれが一体何のことなのかピンと来ないのではないだろうか。なぜ中央銀行である日本銀行が国債やETFを買いあさるのか。それによってどのような効果がもたらされるのか。多くの人はそれを具体的にイメージできない。

経済を知るためには、中央銀行がどのようにしてマーケットにマネーを供給しているのかを知る必要がある。なぜなら、官製相場では日本銀行が市場の流れを左右する巨大なプレーヤーなのだから。

この本を読めば、中央銀行が現在の資本主義経済の中でいかに重要な役目を果たし、経済を動かしているのかが理解できる。これから何十年と相場と付き合うためには「中央銀行の役割」をきちんと理解しなければならない。

■サラリーマン投資家の心に響く一冊

『ドラッカー 時代を超える言葉』(上田惇生、ダイヤモンド社)

「いまさら……」と思われる人もいるだろう。

岩崎夏海の小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』が日本でのドラッカーブームに一役買ったことは記憶に新しいが、確かに決して目新しい理論ではない。

だが、投資という分野にかかわらず、ドラッカーの主張は現代社会を生き抜くうえでの糧となるに違いない。

彼はこんなことを言っている。「現実は企業ドラマとは違う。部下が無能な上司を倒し、乗り越えて地位を得るなどと言うことは起こらない。上司が昇進出来なければ、部下はその上司の後ろで立ち往生するだけである」

ドラッカーの言葉は、多くのサラリーマン投資家の心に響くに違いない。サラリーマンとしての目線は、投資にも応用できることを学んでほしい。ドラッカーが残した言葉はとても意味深いものに感じられるはずだ。(或る銀行員)

最終更新:10/12(水) 17:10

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