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データ解析で不正を暴くDigital Reasoning

ZUU online 10/12(水) 18:40配信

金融機関でのスキャンダル被害が増大している。2012年にLIBOR(ロンドン銀行間取引)金利を不正操作していた際に、米英スイス当局はスイスUBSに対して総額14億スイスフラン(約1,470億円)の課徴金を課すなど、罰金が巨額に上ることも注目を集める理由の一つだろう。

スキャンダル対策の切り札の一つとみられているのが人工知能(AI)だ。AIにより従業員の会話やメール記録を監視するといったサービスも登場しており、実際に活用している欧米の金融機関もある。そんなサービスを提供するスタートアップの一社がDigital Reasoningだ。いったいどんな会社で、どんなソリューションを提供しているのか。最近の金融機関の動きと併せて見ていきたい。

■Digital Reasoningとは?

Digital Reasoningは、米テネシー州に2000年に設立された企業で、コグニティブコンピューティングの技術を使って会話分析のソリューションを販売する企業である。主な顧客は、米CIAといった政府諜報機関の他、金融機関向けとなっている。

コグニティブコンピューティングは、AIを使って会話などから学習し、考えることのできるコンピューターのことであり、クイズ番組で人間に勝利した米IBMのスーパーコンピューター「ワトソン」に応用されていることも知られている。

Digital Reasoningでは、同技術を活用して会話を解析して、分析、意味づけをする「Synthesys」というソリューションを販売。2002年には米国陸軍に対して「Synthesys」を納入したのを始め、2010年には米国CIA傘下のベンチャー投資ファンドであるIn-Q-Telから出資を受けており、その点でも注目の一社だと言えそうだ。

設立してまもなく軍や米CIAといった政府機関と取引関係を持ったことが、現在のDigital Reasoningの躍進の大きな要因となっている。

Digital ReasoningのHPによると、現在、Nasdaq、Dell、accenture、Oracle、Booz Allen Hamiltonといった大手IT企業やコンサルティングファームとパートナーシップを組んでおり、政府機関との取引関係で構築したブランドイメージが、企業とのパートナーシップを組む際に役立っていることは間違いないだろう。

■欧米大手金融機関も出資

欧米大手金融機関の監視システムへのニーズが高まる中、パイオニアでもあるDigital Reasoningは、欧米大手金融機関の出資を受けてビジネスを拡大させており、さらなる展開も期待される。

Digital Reasoningは設立以来これまで7,396万ドル(約75億4,400万円)の投資を受けており、クレディ・スイスと米ゴールドマン・サックスは2014年10月の約2,400万ドル(24億4,800万円)をすでに出資している。

また、Nasdaqが主な出資者となって2016年5月に約4,000万ドル(40億8,000万円)出資しており、金融機関や株式市場の運営機関が監視システムに対して多額の投資を行っていることを窺える。金融不正に対してもAIを有効に活用していく動きの一環だとも言えそうだ。

東芝の有価証券報告書虚偽記載に関する不祥事において、金融庁は過去最高となる73億7,350万円の納付を命じている。今後不祥事に対する課徴金が更に高額になる可能性もあり、日本企業がDigital Reasoningのソリューションを導入することもあるかもしれない。(提供:Innovation Hub)

最終更新:10/12(水) 18:40

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