ここから本文です

【インタビュー】マーティ・フリードマン&クロちゃん(安田大サーカス)、アイドルにあまり詳しくない音楽重視の人にぜひ聴いて欲しいコンピアルバム『楽曲派!』

BARKS 10/12(水) 12:09配信

マーティ・フリードマンが、アイドルの楽曲面に焦点をあてて選曲プロデュースを行ったコンピレーション・アルバム『楽曲派!』がリリースされる。良質な楽曲群は本当に魅力的だし、本作を聴くと、現在のアイドルシーンには様々なアイドルが存在していることが分かることもポイント。コアなアイドルファンはもちろん、アイドルに興味がありつつどこから入れば良いのか分からない…というリスナーにイチオシの一作となっている。そこで、BARKSはマーティと『楽曲派!』のジャケットを飾ったクロちゃん(安田大サーカス)を招いて、アイドル対談を実施。二人の話と併せて『楽曲派!』を聴くと、より楽しめる内容の対談となった。

■歌っている曲が良くなければ、どんなにかわいいアイドルでも興味が湧かない
■アイドルの楽曲には良い曲がいっぱいあるから、それをみんなに知って欲しい

――まずは、『楽曲派!』というアイドルのコンピレーション・アルバムを作ることを決めた経緯などを、お願いします。

マーティ・フリードマン(以下、マーティ):日本では、アイドルというのは大きなマーケットを持ったジャンルで、それこそ一つの文化として根づいています。でも、その割に音楽面はあまり重要視されていない気がして。僕は逆に歌っている曲が良くなければ、どんなにかわいいアイドルでも興味が湧かないんですよ。一般的なイメージ以上に、アイドルの楽曲には良い曲がいっぱいあるから、それをみんなに知って欲しいというのがあって、僕好みのアイドルソングを集めてコンピレーションしようと思ったんです。ただ、僕はアイドルの音楽が大好きなんですが、マニアのアイドルファンほど詳しくはないんです。好きだけど名前が分からないメンバーがいるグループとかも多いし、裏話とかはほとんど知らない。そういう状態で、純粋に僕が良いなと思う曲を集めたから、コアなアイドルファンの人が『楽曲派!』を聴いたら、どんな風に感じるかは分からないです。

クロちゃん:『楽曲派!』は、すごく楽しめましたよ。それに、僕はマーティさんが、こういうものを作ってくれたことが本当に嬉しいです。マーティさんみたいにキチンとしたアーティストで、世界で戦ってきた人がアイドルの曲を良いと言ってくれると、アイドルファンとしてはご褒美をもらったような感じがするんですよ。だってね、たとえば僕とかが「アイドルの楽曲は良いんですよ」とか言っても説得力がないじゃないですか。

マーティ:ええっ? そんなことは、ないでしょう?

クロちゃん:いや、あるんですよ。でも、マーティさんが良いと言うと、重みが違うから。アイドルファンは、みんなマーティさんに、ありがとうと言っていますよ。僕なんかは、マーティさんが楽しんでこういうアルバムを作っているというだけでもテンションが上がりますし。

マーティ:そう言ってもらえると、本当に嬉しいです。実際、アイドルのことをあまり知らなくて、音楽は大したことないだろうと思っている人は多いですよね。でも、最近のアイドルの音楽は本当に凄い。5年前とかの音楽と比べたら、すごくクオリティーが高いんです。特にトップクラスのアイドルは、プロダクションにしても、演出しても、全体的な世界観にしてもハイレベルで、A級のアーティスト達と互角に争えるものになっている。そういう状況だから、そんなに知られてないアイドルでも、良い曲はいっぱいあるんです。それを、もっと沢山の人に知って欲しいというのはありますね。

――『楽曲派!』は、それに最適の一作といえます。クロちゃんは『楽曲派!』のジャケットを飾っているわけですが、その話を聞いた時はどんなことを思いました?

クロちゃん:メッチャ嬉しかったです。でも、ジャケット撮影するためにスタジオに入って、メイクをしたりしていくうちに、“あれ? これってドッキリじゃないよな”って(笑)。最近10日で7個くらいドッキリを仕掛けられたことがあって、疑い深くなってしまっていて(笑)。今回の件もマーティさんが選んだ曲を集めたCDの表紙に僕がなるということで有頂天だったけど、よくよく考えたら、そんなわけないかなという気がしてきて。というのは、撮影場所のメイク室が個室で、メイクさんがセクシーな方だったから、女の子系のドッキリなのかなと思ったんです(笑)。

マーティ:ハハハ!!(爆笑)

クロちゃん:それで、ドッキリかもしれないと思って、メイクの人にちょっかいを出すようなことを言って、ただのセクハラみたいな感じになったという。ごめんなさいと謝らせてくれと思いますよ、本当に(笑)。でも、何事もなくちゃんと写真を撮って、CDが出来上がって、こうやって取材を……いや、まだ分からないか。まだ、ドッキリが続いているということもありますよね。

――ないです(笑)。すべて真実ですので、安心してください。

クロちゃん:ですよね。だって、これがドッキリだとしたら、一流のミュージシャンが僕のことを騙すことになるじゃないですか。そうなったら、もう何も信じられなくなりますから(笑)。

マーティ:ハハハ!! それは、ないから大丈夫(笑)。

――クロちゃんはすごくアイドルが好きなことで有名ですが、どんな風にアイドルファンになっていったのでしょう?

クロちゃん:元々で言うと、僕はこんな声だから、自分がアイドルになりたかったんです。それもあって、ずっとアイドルは良いなと思っていたけど、がっつりハマったのはAKB48からです。僕はメイド喫茶が好きで、『@ほぉ~むカフェ』によく行っていて……。

マーティ:あっ、よくご存じですね! 僕も、好きだったんですよ。あの店は手作りチョコとかがあってね(笑)。

クロちゃん:そうそう(笑)。っていうか、まさかのそこが共通点というのは地獄ですよ(笑)。で、僕は『@ほぉ~むカフェ』のメイドさんが結成したユニットの完全メイド宣言さんのCDも買ったりしていたんです。そういう中で、秋葉原のドン・キホーテの上に『AKB48劇場』というのが出来たというので、冷やかし半分に行ってみたんですよ。そうしたら、ダンスとか上手くて、歌とかも良いのに、本当にMCが出来ていなくて、“なに、この違和感?”と思って。その違和感にハマったんです。それから、本格的にアイドルにのめり込んでいきました。ただ、僕は現場主義なので、実際に自分の目でアイドルのライブとかを見て、好きかどうかを判断しています。僕はノートに書くのが好きなので、ノートにいろんなことを書きながらアイドルのライブを観るんですよ。お笑いをやっていて、先輩の芸人がネタをやっているのを袖で見てメモを書く人がいるんですね。僕はそんなことは一切したことがないのに、アイドルの現場に行くと一心不乱に書くんです。それで、お前は何の勉強をしているんだと、よく言われます(笑)。

マーティ:凄いなぁ(笑)。

クロちゃん:マーティさんは、どういう感じだったんですか?

マーティ:僕は、タンポポさんとか、三人祭さんとかを見て、すごく強い印象を受けて、それからどんどんアイドルファンになっていきました。その当時のアイドルは今ほどバリエーションが豊かじゃなかったけど、だんだんいろんなアイドルが出てくるようになって、今は爆発みたいになっていますね。“釣りアイドル”とか“掃除アイドル”とか“医者ごっこアイドル”とか、いろんなテーマ・アイドルがいるから。だから、アイドルファンとしては、パラダイス状態です。それに、アイドルは本当に曲が良い。聴くと、感動的に元気になるんですよ。せつないけど、ハッピーだし、応援してくれるようなものになっている。そこが良いですね。

■昔バンドをやっていた人が音が好きでファンになったという言い訳ができる
■アイドルだと気づかずに聴いていたんだよね…みたいな(笑)

――では、そういったことを踏まえつつ『楽曲派!』について話しましょう。『楽曲派!』にはいろいろなタイプのアイドルが顔を揃えていますが、さくら学院やアフィリア・サーガ、つりビット、愛乙女☆DOLL、アイドルネッサンスといった、いわゆる王道系のアイドルが核になっています。

マーティ:この辺りの楽曲は、“歌謡曲の従妹ちゃん”という感じですね。メロディーが受け入れられやすい、馴染みやすい旋律で、すごく聴きやすい。さっきも言ったように、最近は新しいスタイルのアイドルが沢山出てきているし、メタルとアイドルの融合が流行っていたりするけど、こういった人達はオーソドックスなポップス・アプローチの楽曲ですよね。だから、解釈よりも、楽曲自体に集中して聴いて欲しいです。説明しづらいですけど、日本の歌謡曲は洋楽からは遥かに遠いんですよ。洋楽を聴いたことがない人達が作っているような世界で、その純粋な部分が好きな人にはたまらないと思う。そういう純粋なものがJ-POPシーンでは今も続いているということに、僕の中では心が温まるところがあって。そういう意味でも、この辺りの曲はすごく好きです。

クロちゃん:この辺りのアイドルは、分かりやすいですよね。アイドルに興味があるけど、どこから入ったら良いのか分からないという人にオススメです。変化球も楽しいけど、王道を見てもらわないと基準点が出来ないから。それに、こういう系統のアイドルは、やっぱり良いですよね。ワクワク・ドキドキ感があって、甘酸っぱい恋愛を歌っていて。若い世代の人に限らず、30代、40代の人はこういうアイドルを応援することで、自分の青春時代を取り戻せるというのもあるし。なので、まずはこういう王道の人達を聴いて欲しいです。それこそ歌謡曲が好きだった人達は、入りやすいと思います。服装もアイドルネッサンスさんとかは白を基調にしていたりとか、つりビットさんはちょっと前は黄色とか、かわいい色を使っていて。自分達をアイドルとして見せるのがすごく上手くて、それにプラス・アルファで曲も良いと惹きつけられる人が多いんですよね。ただ、アフィリア・サーガとかは王道ではあるけど、ちょっとアニメ寄りのところがあって、少し変わっている部類なんですよ。ちょっとエッジの効いたキャラクターものになっている。そういうところも頭に入れて聴くと、より楽しめるんじゃないかなと思います。

マーティ:それに、僕が今回選んだアイドルネッサンスの「君の知らない物語」という曲は、ちょっとヴィジュアル系の匂いがある気がするんですよ。ヴィジュアル系のメロディー・センスというか。それに、曲のサイズが長いし、いろんな展開があって、豪華な作りになっている。シンプルなポップソングではなくて、ちょっとGACKTさんが作りそうな曲だなと思います(笑)。

――王道系の中でも、それぞれが個性を発揮していることが分かります。『楽曲派!』には王道系ではないアイドルの曲も収録されていて、たとえばひめキュンフルーツ缶の「パラダイム」やベイビーレイズ JAPANの「走れ、走れ」などは、バンド感のあるサウンドが印象的です。

マーティ:それは、ありますね。彼女達みたいに、まだあまり注目されていない新しいアイドルは、バンド・サウンドを目指していることが結構多いんですよ。ただ、リアルなバンド感を活かしているわけではなくて、結構パソコンの中で作られている音楽ですね。生ドラムや生ベース、生ギターを使うというのは贅沢な状況ですから、予算的にちょっと厳しいんですよ。でも、打ち込みのドラムやベースを使うと、それはそれで独自の味が出るから僕は良いんじゃないかなと思います。

――打ち込み特有の軽やかさを、上手く活かしていますよね。それに、ガールズバンドが好きなリスナーには、入りやすいというメリットもあると思います。

マーティ:そう、入りやすいですね。

クロちゃん:それは、あると思います。昔ちょっとバンドをやっていたような人が、音が好きでファンになったという言い訳ができるじゃないですか。アイドルだと気づかずに聴いていたんだよね…みたいな(笑)。そういう逃げ道があるのが、この辺りのアイドルです(笑)。見え見えでも言い訳をさせてあげるというのは、優しさだから。

マーティ:ハハハ!! アイドルファンになるには、言い訳が必要なんですね(笑)。

クロちゃん:そういう人もいるんです。でも、いろいろ言い訳をしたとしても、それでアイドルファンになってくれれば同じ仲間ですから。アイドルファンの先輩方は、温かい目で見てあげて欲しいです(笑)。それに、ひめきゅんフルーツ缶さんとかは、ライブも良いですよ。僕は、アイドルのライブを年間100本くらい観るんですけど……。

マーティ:えっ、100本!? 本当に?

クロちゃん:観ます。仕事の合間を縫って行っていて、1日に2~3ハシゴしたりするし。

マーティ:凄いな……。

クロちゃん:そうしないと、アイドルのことを喋っちゃいけないなと思うんですよ。見ていないのに偉そうに言うのは、絶対にダメだと僕は思うから。とりあえず見て、自分の感性に、どう響くかを知りたいんです。そのうえで自分が良いなと思ったものは、他人がどう評価しているかに関係なく好きだと言う。自分が好きなものに対しては嘘をつきたくないですし、せっかく好きになったなら、それこそ責任を持って好きだと言わないといけないと思うから。僕は、常にそういう気持ちでいます。

マーティ:それは、アイドルの子達は、すごく嬉しいでしょうね。

クロちゃん:いや、僕が勝手にやっていることですから。話が飛びましたけど、ひめきゅんフルーツ缶さんとかは愛媛のグループで、nanoCUNEさんという妹分とかもいて、その中で一番お姉さんだったりするんですよね。で、運営の人が元々音楽をやっていた人で、自分で音楽を作れるんですよ。プロデューサーが音楽を分かっている人だから、ライブでは曲と曲の間をつなげて、ノンストップで10分とか15分やるんです。そうすると、すごく盛り上がる。そういう意味で、ひめきゅんフルーツ缶さんは、運営が音楽に詳しいというところを上手く活かしているといえますね。

マーティ:凄い! アイドル評論家の話を聞いているみたいです。

クロちゃん:いやいやいやっ!(照笑) あと、ベイビーレイズ JAPANさんは、センターの(林)愛夏ちゃんという子が元々はアナウンサー志望だったんですけど、その子の声がすごく良いし、歌詞も聴き取りやすいんですよ。ベイビーレイズ JAPANさんの曲は最近のガールズロックの傾向を反映していてテンポが速かったりするけど、歌がキチンと聴こえるんです。そこに関しては、本当にナンバーワンといえるくらい上手いですよ。だから、ベイビーレイズ JAPANさんは評価されているし、これからも伸びていくだろうなと思います。

――アイドル初心者の方は、このインタビューと併せて『楽曲派!』を聴くと一層楽しめることは間違いないです。続いて、“異色系”にいきましょう。まず、ななのんの「キス ミー ダーリン? feat.ザ50回転ズ」は、タイトルから分かるように、ザ50回転ズとコラボレートした曲です。

マーティ:ななのんの曲を入れたのは、僕の希望が強くて。今回のコンピレーションでは、ルール違反なんですよ。ななのんは、もう活動していないよね?

クロちゃん:そう、もう解散しています。

マーティ:僕はそれを知らなくて、この曲を入れたいと言ったんです。そうしたら、もう活動していないからダメだと言われて。他にもこの曲が大好きだから入れたいと言ったのに、歌っている人が今はそのグループにいないという理由でNGになった曲とかがあったんですよ。「そんなの関係ないじゃん!」と言ったら、「関係あるんだよ!」と言われて。それで、5曲くらいNGになってしまったけど、「キス ミー ダーリン? feat.ザ50回転ズ」はどうしても入れたくて。粘り強く交渉を重ねた結果、収録できました。それくらい、この曲は大好きです。

――その気持ちは、よく分かります。すごく良い曲ですし、この曲があるか、ないかでアルバムの印象が大きく変わったと思いますので。

マーティ:そう言ってもらえると、すごく嬉しい。この曲は、ちょっと雰囲気が違うでしょう? 外国人の耳で聴くと、すごく面白いんですよ。もし僕が日本に住んでいなかったら、この曲を聴いてすごくビックリしたと思う。それに、日本語を知らなくても“キス ミー ダーリン お願い”という歌詞の“お願い”くらいは分かるじゃん(笑)。だから、これはワールドワイドにアピールする力を持った、すごく良い曲だなと思って。この曲を入れられて、本当に良かったです。

――ななのんが、もう活動していないというのは残念ですね。

クロちゃん:そうなんですよ。二人とも美人だし、個性もあったから。そういえば、ななのんさんの最後のライブは、ファンの間では語り草になっていて。普通、最後のライブというと本人達がガァーッと泣くじゃないですか。ななのんは二人とも泣かなかったから、ファンの人達が「頼むから泣いてくれぇー!」といって泣いたという(笑)。

マーティ:ハハハ!! それは、すごい世界ですね(笑)。

クロちゃん:二人は姉妹みたいだと自分達で言って、服装のコーデもちょっと色違いにして合わせたりして、すごく仲が良かったのに、最後に泣かなかった(笑)。でも、僕はそういうところも良いなと思うんですよ。この話を知ってから「キス ミー ダーリン? feat.ザ50回転ズ」を聴くと、また違った気持ちになると思います(笑)。

■マーティさん、“スルメ曲”という言葉を知っているんだ(笑)(クロちゃん)
■スルメ曲というのはすごく上手い説明。英語では同じ意味の言い方がないんだよ(マーティ)

――デスラビッツのアバンギャルドな「うさぎのきもち」も、注目の1曲です。

マーティ:これは、本当にクレージー(笑)。なぜ、この曲を代表曲に選んだかというと、この何でもありという冒険的な姿勢が凄いなと思って。メタルも入っているし、ジャズの要素も入っているし、デス・ヴォイスとかヒップホップとかも入っているという風にすごくトリッキーなのに、ちゃんと1曲として成立しているんですよね。最初に聴いた時は、“なに、これ?”と思うかもしれないけど、2回、3回と聴くと病みつきになる。だから、スルメみたいな曲ですね。

クロちゃん:マーティさん、“スルメ曲”という言葉を、知っているんだ(笑)。ビックリした(笑)。

マーティ:スルメ曲というのは、すごく上手い説明じゃないですか。洋楽でもそういう曲があるのに、英語では同じ意味の言い方がないんだよ。だから、“スルメ”という言葉を知った時に、“これだよ!”と思って、すぐに覚えたんです(笑)。

――英語に同じ意味の表現がないというのは意外です。それにしても、デスラビッツを聴くと、今は本当にいろいろなアイドルが存在していることが分かります。

マーティ:今のアイドルシーンは、どんどん冒険的になっていると思います。競争が激しいから、とにかく新しい何かをしないといけないという意識がある気がする。だって、「釣りをしよう」というアイドルとかがいるんだよ(笑)。

クロちゃん:アハハ(笑)。つりビットちゃんは、元々釣りをやったことのない5人が集められて、釣りを始めて。そうしたら、オッサン達まで釣っちゃったという(笑)。たしかに、今のアイドルは個性を打ち出すことが重要で、そういう意味ではみんな勝負していますよね。デスラビッツさんにしても、本人達も、運営も戦う気持ちがなければ、こういう曲は出さないと思うんですよ。でも、それがすごく魅力的で、デスラビッツは勝負に勝ちましたよね。

マーティ:そう思う。

クロちゃん:だって、デスラビッツさんなんて“部長さん”というわけの分からない男がメンバーにいて、普通に考えると絶対に邪魔しているはずなんですよ。DREAM5のあきら君だったら中性的な感じがするから許されるけど、部長という意味の分からないヤツが入ってきて、しかも変な格好をしているから、最初は“なんなの?”と思った。けど、ライブを観ていると、部長のデス・ヴォイスが良かったりするし、ファンのみんなは「帰れ!」とか「出てくんな!」とか言ってるけど、そうやって野次るのが楽しかったりするんですよ。そんな風に、デスラビッツさんは型破りというか、掟破りのアイドルだけど、すごく面白いんです。

マーティ:音楽も面白いしね。面白いといってもメチャクチャなわけじゃなくて、すごくちゃんとしているし。だから、アイドルに全く興味のない音楽重視の人にぜひ聴いて欲しいし、そういう人にとってアイドルの良い入り口になると思う。デスラビッツから入って、AKB48まで行って欲しいです(笑)。

――興味が湧いたら、思い切りアイドルの世界を楽しんで欲しいですね。他にも、「刹那の夜の中で」という曲を歌っているprediaというグループの大人っぽいイメージや歌のスキルの高さなども印象的です。

マーティ:prediaは『アイドルお宝くじ』に出ていて、それで知ったんです。僕は『アイドルお宝くじ』のナレーションをしているけど全部のアイドルを聴くわけではなくて。チラッ、チラッと耳に入った中で良いなと感じるものがあると、ちゃんと聴くという感じなんですね。それで、prediaは聴くようになりました。

クロちゃん:prediaは言われた通り、大人っぽいですよね。『楽曲派!』にも入っているPASSPO☆さんのほうが芸歴は長いけど、PASSPO☆のお姉さん分ということになっていますし。僕は、prediaはパッと見た時に、ちょっとアイドルとは違うと思ったんですよね。ちょっと夜の蝶の匂いがしたというか。横に座って、お酌して欲しいなと思ってしまったんです(笑)。prediaは“私達とパーティーしましょう”というコンセプトなので、そういう雰囲気があるのかなという気がしますけど。それに、その時によって違うけど、デビュー当初はみんな服装がバラバラで、コンセプトがパーティーということで、ちょっと大人を演出している感じがあって。ステッキを持って、椅子に座ったりしながら歌ったりというようなパフォーマンスをしていたので、僕は元々アイドルという認識ではなかった。でも、そういうグループをアイドルと呼ぶことが新しいから、今は面白い存在だと言われているんです。

――本当に間口が広くなっているんですね。『楽曲派!』を聴いて、さらにお二人の話を聞いて、アイドルの世界に興味が湧きました。

クロちゃん:それは、すごく良いことです(笑)。今のアイドルシーンは、本当に面白いんですよ。競争が激しい中で上を目指しているから、みんなすごく努力していて、そういう気持ちが全面に出ているんです。そこが良いんですよね。“がんばろう!”という気持ちがないと、どれだけルックスが良くても、歌やダンスが上手くてもお客さんに響かないから人気が出ない。今アイドルをやっている子達はみんなすごく努力をしていて、応援したいという気持ちになりますよ。

マーティ:そうだね。それに、最初に言ったように、今のアイドルは音楽面のクオリティーも高いから。音楽ファンは、新しくて良い曲が好きだから、アイドルの曲をフラットな耳で聴いたらきっと惹かれると思う。なので、表面的なところで、曲が好きかどうかを判断して欲しいですね。そうしたら、アイドルの世界はもう少しリスペクトされるだろうから。だって、僕らアイドルファンは、アイドルの曲を本当に大事にしているんだよ。音楽面が正当に評価されて、アイドルが好きだということが恥ずかしくない状況になると良いなと思っています。

クロちゃん:同感です。、なんかね、アイドルファンというとオタクとか、根暗とか、コミュニケーション下手とか、オタゲーするんでしょう…みたいに思われているじゃないですか。でも、実際はコミュニケーションを取りながら、どうすればこの子達が売れるのか、がんばってくれるのかということを、みんなで考える……つまり、無償の愛で見ている人も多いんですよ。変な人達だけではなくて、本当にキチンと応援している人が大勢いるし、そういう人達は凄いんだということをアイドルを通じて分かってもらえるようになって欲しいから、マーティさんが『楽曲派!』みたいなものを作ってくれたことを、僕は本当に誇りに思います。

――たしかに、こういう切り口のアイドル・アルバムは今ままでなくて、画期的な一作といえますね。それに、『楽曲派!』のリリースを記念して、11月3日に渋谷・SOUND MUSEUM VISIONでイベントも開催されます。

マーティ:これは、『楽曲派!』に楽曲が収録されているアイドルが何組かが出演するライブ・イベントです。だからね、楽しいイベントになるのは間違いない。それに、クロちゃんも参加します。

クロちゃん:普段からアイドルを応援している人はもちろん、『楽曲派!』を聴いてアイドルに興味を持った人にもぜひ来て欲しいですね。アイドルのライブというとすごくオタッキーな空間をイメージするかもしれないけど、そんなことはなくて。最近はいわゆるオタクではない人がいっぱいいるし、女の子のお客さんも増えているから、全然普通の音楽のライブだと思って来てもらえればと思います。それに、アイドルのライブに行ったらアイドルオタク達と同じようなノリ方をしないといけないんじゃないかと思っている人も多いみたいだけど、全くそんなことはなくて。オタク達と同じようなノリ方をして楽しみたければそうすれば良いし、したくなければしなくて構わない。何かを強要するような人はいなくて、それぞれが好きなように楽しめる場になっているんですよ。だから、気楽に足を運んで欲しいです。とにかくね、アイドルは良いなと思ったら行かないと、人生を損するということだけは言っておきます。

マーティ:その通り。どうしようかなと迷っている暇があったら、とりあえず一度ライブに行ってみることを薦めます。

取材・文●村上孝之

『楽曲派!-GAKKYOKUHA- selected by マーティ・フリードマン』
2016年10月5日(水)発売
CRCP-40480 ¥2,500(税込)
1.さくら学院「ベリシュビッッ」
2.アフィリア・サーガ「Never say Never」
3.ひめキュンフルーツ缶「パラダイム」
4.まねきケチャ「きみわずらい」
5.ベイビーレイズJAPAN「走れ、走れ」
6.さんみゅ~「純情マーメイド」
7.ななのん「キス ミー ダーリン? feat.ザ50回転ズ」
8.つりビット「Chuしたい」
9.デスラビッツ「うさぎのきもち」
10.predia「刹那の夜の中で」
11.愛乙女☆DOLL「セツナツ、ダイバー」
12.ぱすぽ☆「少女飛行」
13.CLEAR'S「答えしか知らないツライ」
14.アイドルネッサンス「君の知らない物語」
15.GAKKYOKUHA MEGA MIX

リリースイベント情報
2016年11月3日(祝・木)東京・SOUND MUSEUM VISION
出演:アフィリア・サーガ/CLEAR’S/さんみゅ~/デスラビッツ/まねきケチャ/他
MC:クロちゃん(安田大サーカス)/神崎部長
チケット:9月7日(水)12:00より各種プレイガイドにて販売開始

最終更新:10/12(水) 12:09

BARKS

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

失うことで不完全さの中に美を見出した芸術家
画家のアリッサ・モンクスは、未知のもの、予想しえないもの、そして酷いものにでさえ、美とインスピレーションを見出します。彼女は詩的で個人的な語りで、自身が芸術家として、そして人間として成長する中で、人生、絵の具、キャンバスがどう関わりあってきたかを描きます。 [new]