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イランに小便器がない!厳格なその理由 「最も完全なかたちで排出する教え」を守る設備とは?

withnews 10/14(金) 7:00配信

 イランの公衆トイレには、小便器がありません。私はイランに住んで4年目になりますが、殿方用トイレに並ぶ、立ったまま用を足せるアレを見たことがないんです。ご婦人用と同様、すべて個室になっています。どうしてないんだろう、時間もスペースも節約できるのに。デパートでも駅でも、長い行列ができているのは決まって女性用じゃないか。謎を解くべく、モスクに向かいました。(朝日新聞テヘラン支局長・神田大介)

【画像】テヘランの公衆トイレを「巡礼」 イランで見つけた「和式」スタイル、激レアの小便器

細かい決まり

 モスクはイスラム教徒の人たちが日々の礼拝のために使う場所。トイレとはミスマッチなようですが、イスラム教は独自にトイレの作法を定めているといいます。テヘラン北部のモスクで、イスラム法学者の男性に聞きました。

 「イスラム教では、たとえ男性でも、大小に関わらず、座って用を足すことを良しとしている。そうすることで、最も完全なかたちで体内のものを排出できると考えられているからだ」

 なるほど、それなら小便器はダメですね。

 「また、これも大小用に関係なく、用を足した後には水で局部を洗い清める決まりがある」

 確かに、イランのトイレには必ず、水の噴き出すホースがついています。あれは尻だけでなく、前も洗うものだったのか。それなら個室に入らないとできないわけです。

 ただ、一つ疑問が。私、エジプトやトルコ、アラブ首長国連邦、カタールといったイスラム教の国々で、小便器を見ているんですが。

 「しゃがんだ姿勢での用足しこそ最善だが、やむを得ない場合は立ってしても良い、という例外も定められている」

 こうしたトイレに関する詳細はイスラム教の開祖、預言者ムハンマドの言行録で、聖典コーランに準ずる存在の「ハディース」に書かれているそうです。

生活密着型宗教

 ほかにも、
▽トイレには左足から入る
▽パンツを下ろすのは右手、水洗いに使うのは左手
▽トイレの中で話してはいけない
▽コーランを持って入ってはいけない
▽水がない場合は小石を使ってもいい
▽ただし小石を使う場合は奇数個に限る
▽水が最善だがティッシュなど紙も使用可
……など、例外も含め、えらく細かいことまで決まっているとのことでした。

 用便の際は、頭も尻も聖地メッカに向けないという決まりもあります。イランでは、これに反した位置にトイレを据え付けた建物が、当局に改築を命じられたケースが実際にあったそうです。

 トイレに限らず、イスラム教では、生活にまつわるありとあらゆることに決まりがあります。服装しかり、食べ物しかりで、飲酒の禁止もその一つ。ですが、例外も数多く認められています。たとえば神への礼拝は1日5回(シーア派は3回)が原則ですが、忙しい場合は数回分をまとめてやってもOK。意外と柔軟です。

 サウジアラビアに駐在経験のある日本人の話では、サウジでも小便器は見なかったそうです。イランとサウジの共通点と言えば、イスラム教を奉じる国々の中でも、とりわけ原理原則にうるさいということ。この姿勢が違いにつながったようですね。

 なお、イランでは人前で局部を露出することがとてもけがらわしいと考えられていることも影響しているそうです。ただ、これはイスラムの教えというより、古くからの習慣だとか。

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最終更新:10/14(金) 7:00

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