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PS VRで“2.5次元”の疑似体験ツアー!? VR化した舞台『刀剣乱舞』&『あんステ!』を最速体験!

ファミ通.com 10/13(木) 10:02配信

文・取材:編集部 立花ネコ

●ナマ観劇の臨場感を追体験する2.5次元VR
 2016年10月13日、ついに発売されたプレイステーション VR(PS VR)。ローンチタイトルとしてゲームを始めとしたさまざまなコンテンツがラインアップされていますが、いま女性を中心に人気を博す“2.5次元”作品もVR化! 試遊インプレッションでその内容に迫りつつ、VR化実現のキーマンにインタビューを敢行しました。

 “2.5次元”作品とは、マンガやアニメ、ゲームなどの二次元コンテンツを舞台化・ミュージカル化した舞台作品やミュージカル作品のこと。PS VRの発売とともに、ともにマーベラスが製作を手掛けた『あんさんぶるスターズ!』(Happy Elements KK)原作の『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』、そして『刀剣乱舞-ONLINE-』(DMM GAMES/ニトロプラス)原案の“舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺”という2作品がVR化を果たします。ローンチタイトルとしては数少ない実写系コンテンツ、そしてさらに貴重な女性向けコンテンツとあって、“2016 PlayStation Press Conference in Japan”で発表されて以来、個人的に期待していた2作品でもありました。……ということで、まずは2作品の試遊インプレッションをお届けしましょう。ちなみに、こちらの2作品はいずれもVR用に撮り下ろした新規映像とのことです。

●舞台<nolink>『刀剣乱舞』</nolink>虚伝 燃ゆる本能寺
 本コンテンツに収録されているのは、オープニングの『勝ち鬨の歌』と、番傘演出が印象的な『真影の炎』の2曲。装着者の視点は客席最前列のドセンター……なのですが、高さのイメージ的には“最前列のドセンター席に立って観ている”感じ。キャストとほぼ同じ目線、まさに最前列に座る以上の臨場感を体感できます(最前列ドセンターに座れる機会もそうそうないのに!)。もちろん360度視野なので、振り向くと公演が行われていたシアター1010の客席が広がっているのですが、観客はおらず“客席には私ひとり”状態。この優越感がスゴい(笑)。刀剣男士たちがつぎつぎと現れては一礼し、立ち回りをくり広げるシーンを、ありえない特等席で独占できるわけですね。
 本コンテンツでとくにVRに向いているなと感じたのは、キャストが舞台後方から前方へやってくる縦の動きや、刀剣を振りかざす殺陣アクション。思わず「近い!」とのけぞる距離感・迫力や、ときおりキャストがカメラ目線を送ることによる「あ、目が合った」という胸キュンは、動画では味わえないVRならではの体験と言えるでしょう。まさに審神者気分で、目前でくり広げられる華麗な立ち居振る舞いを“体感”することができます。
 さらに本コンテンツには、舞台裏で行われる円陣映像が特典として収録されています。文字通り、キャストが組む円陣の真ん中に入ったかのような映像なのですが、衣裳を身に着けたキャストに周りを囲まれる感覚は圧巻(笑)。こういった映像はよくDVDなどにも収録されていますが、VRでは360度見渡せるので、誰かが話をしているとき、その対向で誰かが隣の人と談笑していたり……といった場面もバッチリ見えちゃうんですね。もちろん、自分が座組みの一員になったかのような円陣の様子にもテンションが上がりました!

◆タイトル:舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺
◆メーカー:マーベラス
◆発売日:2016年10月13日
◆価格(ダウンロード専売):1500円[税抜](1620円[税込] )
◆ジャンル:VR映像

●<nolink>『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』</nolink>
 こちらはキャラクターが一挙登場する劇中歌『ONLY YOUR STARS!』、『Singin’☆Shine!』の2曲が収録されています。登場キャラクターは男性アイドルだけに、2曲ともキャストがカメラ(=装着者)に近づいて覗きこんだり、笑顔で手を振ってくれたりと、思わずテレる演出が続出(笑)。視聴者を意識した振る舞いを多くしてくれることで、「目の前にいる!」という実在感がより強まります。
 また舞台『刀剣乱舞』同様、こちらもほかの観客はおらず、AiiA 2.5 Theater Tokyoを独占状態。キャストが客席に降りてくる演出時は、10数名のイケメンに文字通り囲まれ、しかも全員が私に向けて歌ってくれてる~! という、ナマの観劇でもそうそう味わえない体験が待っています(笑)。ひとつの視点に固定されるDVDと違い、自分で観たいところを選べるのも魅力ですね。さらにカメラがセンターだけではなく、上手・下手、ステージを見上げる高さ(まさに客席に座った視点ですね)に切り替わるのも本コンテンツの特徴。斜めの角度から見ることで、舞台狭しと駆け回るキャストの動きや舞台自体の奥行きをよりリアルに感じられます。
 そして本コンテンツの特典には、実際に公演が行われていたAiiA 2.5 Theater Tokyoの控室に劇中ユニット“Trickstar”の面々がやってきて……という楽屋映像が収録。舞台よりも狭いぶんVR感が高まり、まさにTrickstarと楽屋で“会って”いるかのような体験ができます。この“会ってる感”や360度視野も魅力なのですが、いちばんの見どころは、キャスト自身がVR撮影に興味津々なところ(笑)。部屋をぐるぐる回ってみたり、しゃがんでみたり……と、初めてのVR撮影に試行錯誤するキャストの姿にご注目ください。

◆タイトル:『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』
◆メーカー:マーベラス
◆発売日:2016年10月13日
◆価格(ダウンロード専売):1500円[税抜](1620円[税込] )
◆ジャンル:VR映像

●結論、舞台のVR化は超アリ!
 2コンテンツを視聴してみての結論としては、“舞台のVR化は超アリ!”。もちろんライブエンターテインメントであるところの演劇ゆえ、劇場に行きナマで観るのがいちばん! という前提は変わりませんが、動画で観るよりも劇場の空気やキャストの躍動感が生々しく感じられたように思います。
 VRで観る2.5次元作品は、DVDを観る感じに近いのかなと思いきや、意外にも劇場でのナマ観劇寄りの印象。動画では感じられない奥行きや近さ、「目が合った!」と感じられる錯覚は、舞台を“鑑賞”するというよりは“体験”するという感じでしょうか。それに加えて、ナマ観劇ではありえない視点で観られるVRならではの特別感もあり、ナマの観劇とも動画鑑賞とも違う“いいとこ取り”なのだなと感じました。酔い(今回体験した2作品ではあまり感じませんでしたが)や解像度(“そこにいる感”がある一方、キャストの表情や衣装の細部はそこまでハッキリとは見えません)の面でまだ進化の余地があるとは思いますが、目には見えない臨場感が伝わるだけに、「ぶっちゃけ、2.5次元ってどうなの?」と思っている方の入門編としてもオススメのコンテンツです。

●ハードの向上次第で2時間フル尺の配信も可能?
 さて、そもそもこの“舞台のVR化”はいかにして実現したのでしょうか。そして各1500円[税抜]という価格設定の理由や、今後の展開は? 気になるポイントを、マーベラスの音楽映像事業を統括する松本慶明氏(文中は松本)に直撃してきました。

――まずは、マーベラスが手掛ける2.5次元作品をPS VRでVR化することが決まった経緯を教えてください。
松本 PS VRで展開することを決めたのは、今年3月に発売時期と価格が発表されてからです(編集部注:PS VRの発売時期・価格は、アメリカで開催されたGDCで発表。関連記事はこちら)。もちろん我々もオキュラスリフトなどの存在は認識していましたが、情報量や解像度など、さまざまな面でクオリティーの高いハードウェアは10万円を超える高嶺の花でした。そこに、PS VRがハイスペックVRでありながら、約半分ほどの価格でリリースされると発表されたことで、俄然「やろう」という方向になったのです。

――もともと「いつかVRをやりたい」という方向性はあったのですね。
松本 そうですね。マーベラスという会社はゲームやアニメ、舞台とさまざまな分野を手掛けていますが、各分野でそれぞれ模索はしていたと思います。私が担当している舞台に関しては、前々からVRに取り組もうという意識がありました。と言いますのも、2.5次元作品というメディアコンテンツは、五感を刺激するものすごい情報量があるエンターテインメントで、リアルタイム性があり、すごくエキサイティングなメディアだと思っているんですね。一方、私もそういうことがあるのですが、たとえば深夜にテレビでたまたま知らない舞台を見かけても「つまらないな」と思うことが多い。受け取る側に何も情報がないと、あまりおもしろいと思えないのです。これはなぜかと考えてみると、劇場にいるライブ感や、すべての感覚を刺激するような興奮が得られないから、テレビメディアの枠だとそれほどおもしろくないんだ、ということがわかってきました。

――テレビ画面を挟むことで、どうしても一歩引いてしまうという感じでしょうか。
松本 テレビメディアでは、視聴者を刺激する情報量が足りないんですね。一方、我々のDVDやBlu-rayはファンの皆様から高評価をいただいていますが、これは劇場にいらした方が、観劇したときの感動を詰めた思い出のアルバムのように見てくださってヒットしていることが多いのです。ですが、やはりビデオを初見で観ても舞台のおもしろさはなかなかわかりづらい。VRは情報量的としてはあたかも劇場に行ったかのような感覚が得られますので、商品化できると思っていました。

――マーベラスは2.5次元作品を多く制作していますが、なぜ『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』と“舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺”をローンチタイトルに選ばれたのでしょうか?
松本 PS VRの発売時期・価格の発表から、もっとも早い公演がこの2作品だったからです(編集部注:“舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺”は2016年5月、『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』は同年6月に上演)。我々はスピード感をすごく大事にしていますので、10月のファーストローンチにどうしても間に合わせたいという希望がありました。そこでソニー・インタラクティブエンタテインメントさんに相談したところ、ソニーさんも女性向けのコンテンツのラインアップを加えたいとのことで、「ぜひ協力しましょう」とご賛同いただけました。そういった経緯があり、このスピード感で実現したのです。真っ先に考えて、真っ先に収録したのがこの2作だったということですね。

――両作とも劇中の2曲を収録して1500円[税込]となっていますが、この価格設定の理由というのは?
松本 我々がCDシングルをリリースするときは、だいたい2曲収録して1000円~1200円に設定しています。シングルパッケージの音楽配信では500円くらいでしょうか。かたや、DVD付きCDシングルは2000円程度。これらを踏まえ、ダウンロードコンテンツで2曲くらい収録されていて、VRならではの楽しみかたができて……と考えると、“疑似体験ツアー”のようなパッケージで販売させていただく形が、いまいちばん2.5次元作品のおもしろさを伝えられると思い、この価格帯に設定しました。

――いずれの作品も、PS VRの想定ユーザー層とも多少重なるゲーム原作舞台ですね。
松本 ゲームファンのお客さんにも見ていただくきっかけになりますので、非常によかったですね。

――さて、いずれの作品も撮り下ろしだとうかがいましたが、収録はどのように行われているのでしょうか?
松本 舞台の本公演中にカメラを置くとお客さんの邪魔になってしまいますから、公演と公演の合間を縫ってキャスト・スタッフに協力してもらい、本番同様に収録しています。公演期間の中盤に収録すると、キャストもスタッフもすでに公演を踏んでいますから、本公演と同じ熱量にある舞台となっています。何テイクか撮って、いちばんいいテイクを収録しました。

――2.5次元作品で、VRに向いている作品、向いていない作品というのはあるのでしょうか?
松本 それはないですね。舞台というコンテンツ自体がVRに向いていると思います。舞台にはドラマがあって、歌やショーがあって、殺陣やダンスがあって……とさまざまなエンターテインメントが混ざっていますから、VRでも非常にバリエーション豊かなコンテンツが楽しめるのではないかなと思っています。また、“過去に上演されたあの舞台、あのライブの空間を体験してみたかった”という欲求を叶えられるため、VRはライブエンターテイメント全般にとても向いています。

――ローンチタイトルとしてリリースして以降の展開は考えていらっしゃいますか?
松本 VRは現在、ハードウェアが向上段階だと思うんですね。ですので、ハードウェアの向上にあわせて提供内容を変えていくことは考えています。演劇は2時間程度ありますが、現状のさまざまなヘッドマウントディスプレイは重たくて、2時間ずっと装着して観ることは難しい。2時間のコンテンツを作っても見ていただけないだろうなということで、ハードウェアのスペックや特性にあわせた形のコンテンツを作っていこうと思っています。日本で実写のVRを撮影している方の多くが直面していると思いますが、じつはついこの間まで、技術的に連続撮影時間が非常に短く、20分ほどが限界でした。我々はとある方法でそれを改善し、いまは演劇をフル尺で撮影することができます。

――では、ゆくゆくはフルパッケージでの配信も考えていらっしゃる、と。
松本 準備はできています。ハードウェアの向上にあわせ、薄型で軽くて酔いもないものが実現すれば、出せると思います。

――最後に、改めてVRで2.5次元作品に触れる魅力を教えてください!
松本 男性も含めて、皆さんなんとなくゲーム・アニメ原作舞台に興味があると思います。ですが、興味だけでは当然会場には行かないし、DVDや動画で観てもいまひとつおもしろさがわからない。そんな方がこの360度の映像で“お試し”して、作品に興味を持っていただけるとありがたいですね。口コミで評判を聞いていたり、「ビデオは見ているけれど」という方も、VRであれば「実際にはこんな風に見えるんだ」という劇場の感覚がわかる。VRは、こういったチャンスをユーザーに提供できると思っています。現在はテストを兼ねて、さまざまな作品をVRで撮影していますので、今後は今回発売する2作品以外の作品も配信する機会があると思います。

最終更新:10/13(木) 10:02

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