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三菱商事、総合商社の中で「株価一人勝ち」の理由

ZUU online 10/13(木) 7:40配信

三菱商事 <8058> の株価が好調だ。10月11日には2372.5円の年初来高値を付けた。昨年末比では約17%の上昇、安値の2月12日からは52%も上げている。通常、総合商社は同じような株価の値動きになるのだが、今回の株価上昇は三菱商事の一人勝ちだ。なぜ三菱商事が買われているのだろう?

■三菱商事が年初来高値、三井物産、伊藤忠は出遅れる

総合商社でライバルの三井物産 <8031> の10月11日高値は1419.5円。昨年来のパフォーマンスでまだマイナス2%。7月安値からの上昇率が23%だ。伊藤忠 <8001> の10月11日高値は1303.5円。昨年末からまだ10%下に位置しており、7月安値からの上昇率は15%程度だ。両社とも10月11日時点で年初来高値を更新しておらず、安値からの上昇率も三菱商事に大きく差を付けられている。株価では明らかに三菱商事の一人勝ちの格好だ。

■三菱商事のみが第1四半期増益決算を発表

総合商社の前2016年3月期は原油や資源を中心としたエネルギー関連の特損を計上せざるを得ず、三菱商事は4300億円の減損で連結最終損益は1493億円の赤字、三井物産は2600億円の減損で834億円の最終赤字となった。ともに連結最終赤字は創業以来はじめてだ。大手2社が赤字に沈んだことで、非資源関連を収益のメインとしている伊藤忠が最終利益2403億円ではじめて大手総合商社の利益ランキングで首位に立った。

今期は流れが変わってきた。8月上旬に発表した大手商社の17年3月期の第1四半期決算(4-6月)では、三菱商事の最終益が35%増の1008億円と大幅増益になったのに対し、伊藤忠は40%減の731億円、三井物産は37%減の611億円、丸紅 <8002> は32%減の484億円、住友商事 <8053> は72%減の227億円と2桁の減益だった。

大手商社5社で増益となったのは三菱商事だけだ。WTI原油先物価格は底値からは反発しているものの、前年同期比ではまだ2割程低い水準だ。銅の国際価格もまだ2割程度下回っている。三菱商事以外の商社では、エネルギーや金属部門の利益がまだ落ち込んでいることに加えて、三井物産や住友商事や伊藤忠は前年同期に不動産売却益や株式売却益などを計上しており、そういった一過性の利益がなくなことも減益決算に影響している。

ただ、好決算の三菱商事と減益決算ながら611億円の黒字となった三井物産はアナリストのコンセンサス予想を上回る決算だった。三菱商事の8月2日の決算発表翌日の株価は5.3%高、8月3日の三井物産の決算発表翌日の株価は4.6%高と買われた。

■三菱商事の増益を支えているのは豪州石炭事業

三菱商事だけ増益となったのは、市況低迷で赤字の続いていた豪州石炭開発子会社がコスト削減効果で15年1-3月期以来5四半期ぶりに黒字転換を果たした寄与が大きい。セグメント別で資源分野の第1四半期の最終利益は、前年同期の142億円から342億円へと200億円増加した。特に、石炭事業を含む金属分野が前年同期の56億円の赤字から116億円の黒字に転換したことで172億円の寄与だ。

セグメント別で、非資源分野の最終利益も、前年同期の569億円が672億円に103億円増となっている。ノルウェーでのサケ養殖事業を含む生活産業部門が大きく改善している。サケ養殖が前年同期の赤字から市況改善により黒字転換したことで同部門の利益は56億円から218億円に162億円上乗せされている。

■アナリストの業績予想も三菱商事に最も強気

三菱商事では、17年3月期通期の最終利益を2500億円と予想している。前期の1493億円の大幅赤字から黒字転換する見込みだ。そのうち、石炭を含む金属事業の損益の想定はゼロで前期の3607億円の赤字から大きく改善する予想だ。

すでに第1四半期の利益は1008億円で通期予想に対し40%と高い進捗状況となっている。6月以降、石炭の国際市況の回復が顕著なためさらに通期の利益が上積みされる可能性も高い。原料炭市況は中国の生産過剰解消などで需給が引き締まり、8月後半から国際スポット価格が急上昇、6月末の1トンあたり90ドルから、9月中旬には200ドルを突破しているからだ。9月27日時点の三菱商事のアナリストのQUICKコンセンサスの純利益予想は3069億円と会社予想を約500億円強上回っており、アナリストの業績見通しも強気だ。

同様に他の総合商社の会社予想とアナリストコンセンサスを比較すると。伊藤忠が予想3500億円に対しコンセンサスは3404億円、三井物産が2000億円に対し2123億円、丸紅が1300億円に対し1366億円、住友商事が1300億円に対し1377億円となっている。やはりアナリストの業績予想も三菱商事に対する予想が一番強気だ。

■ローソンのTOBに伴う評価益も計上か?

ゴールドマン・サックス証券は、9月27日付けで三菱商事を「中立」から「買い」に格上げした。目標株価も1900円から2550円に引き上げた。石炭事業での利益上積みが期待できることとローソンの特別益250億円が期待できるためだ。三菱商事の通期利益を3720億円とコンセンサスを上回るレベルに上方修正している。

三菱商事は、17年1月めどにローソン <2651> をTOBして完全子会社化する。TOBをかけると会計上は、ローソンの簿価と時価の差額が評価益として発生する。

こうした好業績、アナリストの高評価を織り込んで、三菱商事の株価は一人勝ちになっているようだ。このまま三菱商事の一人勝ちが続くのか、三井物産や伊藤忠といったライバルが業績面や株価面で巻き返すのか、大手商社の中間発表と株価の動向からは目が離せない。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:10/13(木) 7:40

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三菱商事8058
2609円、前日比+16.5円 - 12/8(木) 13:26

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三井物産8031
1685.5円、前日比+16.5円 - 12/8(木) 13:27

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伊藤忠商事8001
1650.5円、前日比+31円 - 12/8(木) 13:26