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大阪五輪誘致の負の遺産が生まれ変わる? セレッソやバファローズなどが市とスクラム

ZUU online 10/13(木) 11:10配信

大阪市此花区の人工島舞洲で、舞洲を拠点とするプロスポーツ3チームと大阪市が、2017年春から舞洲プロジェクトを始める。スポーツ事業を通じて舞洲の活性化を図るのが狙いで、大阪港開港150周年事業と合わせ、競技の枠を超えた共同作業で多彩なイベントを開催する計画。

舞洲は大阪五輪誘致の先行投資で建設されたが、誘致失敗後に利用計画が定まらず、長く負の遺産となってきた。それがようやくプロスポーツチームの協力で本格的なスポーツの拠点に生まれ変わろうとしている。

■セレッソ、エヴェッサ、オリックスが合同イベント

市とスクラムを組むのは、サッカーJリーグのセレッソ大阪、バスケットボールBリーグの大阪エヴェッサ、プロ野球パリーグのオリックス・バファローズ。セレッソ大阪は2012年、舞洲球技場とその周辺用地を市から借り上げ、クラブハウスや練習場を整備している。大阪エヴェッサは2015年に10年間の舞洲体育館賃貸契約を結んだ。

オリックスは2016年4月から50年間の契約で舞洲野球場と北西の用地を合わせた約10.5ヘクタールを市から借り、約30億円をかけて選手寮やサブ球場、屋内練習施設を建設している。年内に完成する予定で、舞洲野球場は来シーズンから2軍の試合に使う予定。

オリックスは神戸市に2軍本拠地や選手寮などを置いているが、舞洲がホームグラウンドの京セラドーム大阪から車で15分ほどの距離にあり、1、2軍が近くで活動できるとして移転に踏み切った。

3つのプロスポーツチームが隣接した場所で活動する例は日本国内になく、新たなスポーツ拠点として相乗効果が期待できる。各チームとも協力できる事業について独自に検討を進めているという。

市は公式戦や子供向け運動教室の情報発信を一元化するとともに、3チーム合同のイベントやスポーツボランティアの人材育成、スポーツビジネスの展示会などを考えている。11月末までに市と3社で協議会を設立し、具体的な内容を詰めていく。

吉村洋文大阪市長は記者会見で「一体感を醸成してスポーツを通じて市民が豊かになり、(舞洲に)にぎわいが生まれるようにしたい」と述べた。

■利用進まず、広大な空き地にペンペン草

舞洲は大阪湾に浮かぶ広さ約220ヘクタールの人工島。1992年に埋め立て工事が完成し、東側半分がごみ焼却場、下水汚泥処理場などを置く物流・環境ゾーン、西側がスポーツ・レクリエーションゾーンとなっている。

スポーツ・レクリエーションゾーンでは、市の舞洲スポーツアイランド構想に基づき、野球場や体育館などが相次いで建設された。2008年の夏季五輪招致を目指していたためで、実現すれば舞洲にメインスタジアムなど主要施設を集約して建設することになっていた。野球場や体育館などはその先行投資だ。

しかし、招致競争は北京に敗れる。新規施設の建設は見送られ、先行投資も無駄になった。広大な敷地には施設が点在するだけ。一部は夏のロックフェスティバル「サマーソニック」の大阪会場、野球場は高校野球大阪府予選会場として使われたが、五輪用地に代わる利用がなかなか進まず、空き地はペンペン草が生い茂る状態に陥った。

市はバブル期に打ち出した湾岸開発や地下街建設など大規模投資を、五輪招致を当てにして続けていたが、市の借金である市債発行残高が5兆円を超し、財政非常事態宣言に追い込まれた。

舞洲は世界的芸術家を起用した斬新な設計で建設された焼却場や下水汚泥処理場、隣にある人口ゼロの埋め立て地夢洲に向けて架けられた世界初の浮体可動橋夢舞大橋など、それぞれ約600~800億円を投じた建築物の豪華さばかりが目立っていた。このため、市民から無駄な公共投資と批判され、負の遺産とまで呼ばれるようになった。

■当面の課題は交通アクセスの改善

舞洲プロジェクトはスポーツ・レクリエーションゾーンの用地利用を進めるだけでなく、こうした舞洲の悪いイメージ脱却にも期待が集まっている。さらに隣の夢洲が2025年の万博招致で有力候補地となり、舞洲の一部利用も検討されている。万博招致の成否はまだ分からないが、ようやく舞洲にも明るい光が差し込み始めたことになる。

主要施設の稼働率は2010年まで年間60万人前後で推移していた。だが、一定の利用は休日に限られ、平日の稼働率の低さが問題になっていた。課題は交通アクセスの悪さだ。

舞洲にはかつて鉄道延伸構想があったものの、五輪招致の失敗で宙に浮いたまま。市の中心部の梅田から車で30分ほどの距離だが、電車だとJRや阪神の西九条駅からバスに乗り換えなくてはならない。

市は交通アクセスの改善を今後の課題に掲げており、プロジェクトスタートに合わせたバスの増便や、イベント時の臨時便運行などを検討するもようだ。

大阪市スポーツ課は「スポーツ振興を入口にスポーツビジネスの拠点として活用し、舞洲地区の活性化を図るのがこのプロジェクトの狙い。舞洲に張り付いた悪いイメージを払拭し、3つのプロスポーツチームと連携して大阪の新名所に変えていきたい」と意気込んでいる。

高田泰 政治ジャーナリスト
関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動している。

最終更新:10/13(木) 11:10

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