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スズキとトヨタが業務提携の検討をスタート、鈴木修氏から豊田章一郎氏に打診

MONOist 10/13(木) 6:25配信

 スズキとトヨタ自動車は2016年10月12日、東京都内で会見を開き、業務提携に向けて検討を開始すると発表した。両社とも「(いつ、何ができるかは)まだ何も決まっていない。議論がスタートする段階」だといい、具体的な協業分野は今後詰める。

 スズキ 会長の鈴木修氏がトヨタ自動車 名誉会長の豊田章一郎氏に相談したのをきっかけに協業に向けた協議がスタート。スズキは将来技術の開発に課題を抱えており、一方のトヨタ自動車は欧米と比較して“仲間づくり”が遅れているため、業務提携によって両社の課題解決につなげる。

●業務提携の範囲は? いつまでに具体化?

 スズキからトヨタ自動車に対し、情報分野など先進技術や将来技術で協力できないかとスズキから打診したのが業務提携の検討のスタートだという。

 スズキの場合、国内は軽自動車が、海外ではインドが事業の中心だ。しかし、こうした市場であっても「従来の伝統的な自動車技術を磨くだけでは将来が危うい。こうした悩みを度々、豊田章一郎さんに相談してきた。思い切って、トヨタの協力を得られないかと章一郎さんに話してみた」(鈴木修氏)。そこで「スズキとトヨタ自動車の協力について、協議だけはしてみてもよいだろうと言ってもらい、(社長の)章男さんと相談するチャンスを得た。いろいろと話した結果、スズキとの協力に関心を示してもらった」(同氏)。

 トヨタ自動車としても単独で取り組む限界を感じており、業務提携を前向きに検討する。情報分野を中心に競争環境が変化しており、エネルギー問題や環境技術、安全性向上に加えて自動運転技術など同時に取り組むことが求められているためだ。インフラと協調する技術の開発や標準化では“仲間づくり”が重要な要素になってきたとしている。

 豊田章男氏は「スズキの変化に対応する力、周囲を巻き込む力にほれた。重要なのは技術や商品を開発する力だけでなく、周囲を巻き込んでいく力でもある。スズキは人徳もあって巻き込む力が大きい。学ばせてもらいたい」と述べた。

 しかし、具体的な協業分野や資本提携の可能性、時期について、会見に出席したトヨタ自動車 社長の豊田章男氏と鈴木修氏は「何も決まっていない」の一点張りだった。鈴木修氏が豊田章一郎氏に協業を打診したのが2016年9月末、鈴木修氏と豊田章男氏が面会して協議を決めたのは先週末だというのが理由だ。

 また、豊田章男氏は「イメージであってもこの場で協業の形について述べることはできない。私の発言を基に社内の話し合いが進んでしまう」と説明した。

●トヨタとスズキがこれまでに作ってきた“仲間”

 スズキは1981年からGeneral Motors(GM)と資本提携を結び出資を受けた。2000年に出資比率を20%まで引き上げた他、欧州の小型車開発や燃料電池車の共同研究などで関係を強化したが、2008年にはGMの保有株を全て買い戻している。その後、Volkswagenと2009年に包括的な基本提携を結んだが、2011年には契約を解除し株式の返還手続きなどでもめた。VWとは2016年に和解。

 この他、スズキは、国内自動車メーカーではいすゞ自動車、富士重工業、三菱自動車、日産自動車などとも協力関係があった。今回のトヨタ自動車との業務提携の検討について鈴木修氏は「独立経営の意思に変わりはない」と宣言している。

 一方のトヨタ自動車は2016年8月にダイハツ工業を完全子会社化、新興国市場向けの小型車の開発/生産を一任することを決めた。スズキとダイハツ工業は小型車で競合するので、独占禁止法など法規制への対応も視野に入れて協業する範囲を決めていく。

 また、マツダと2015年5月に業務提携を結び、“クルマの魅力向上”に向けて協力することとした。BMWとは2013年に燃料電池やスポーツカー、軽量化技術、次世代リチウムイオン電池などの共同開発について提携している。

 この他にもトヨタ自動車は2005年から富士重工業に出資し、開発/生産分野での経営資源の相互活用に乗り出した。富士重工業の北米拠点でトヨタ自動車の「カムリ」を生産していた他、トヨタ自動車からのハイブリッドシステムの供給や、スポーツカー「86/BRZ」の共同開発で協力している。

 豊田章男氏はこれまでの提携とこれから協議が進むスズキとの協業について「もっといいクルマづくりのためだというのは変わらない。しかし、自動車メーカーそれぞれに思想があり、得意分野も異なる。トヨタ自動車は、例えばBMW、マツダ、ダイハツ工業、スズキのいろいろなところから、まだまだ学ぶ点が多い」と語った。

最終更新:10/13(木) 6:25

MONOist