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ノーベル賞大隅氏の「オートファジー」なぜ細胞の中身を“壊す”のが大事?

THE PAGE 10/13(木) 19:15配信

「細胞の掃除が大切なのは想像がつくけど、ゴミがたまると具体的に何が起こるの?」
「タンパク質のリサイクルというけど、必ずリサイクルしなければいけないの?」

【会見動画】ノーベル賞大隅氏「受賞につながると思ったことない」基礎研究の重要性強調

 今年のノーベル生理学・医学賞を大隅良典先生が受賞して以来、私が勤める日本科学未来館(東京都江東区)では、たくさんの報道関係の取材を受けたり、「研究の内容を知りたい」と多くのお客様にご来館いただいています。大隅先生の研究が「細胞の中味を分解して、細胞の中をきれいに保ったり、タンパク質の材料をリサイクルしたりする仕組み」だと説明すると、冒頭のような質問をいただきました。

 「確かに……」と考えさせられてしまう疑問です。「これは研究者に教えてもらうしかない」と大隅先生の弟子の先生に話を聞きました。訪問したのは、東京大学本郷キャンパス。かつて大隅先生の研究室で研究を行っていた久万亜紀子先生(東京大学水島昇研究室・助教)に疑問をぶつけてきました。久万先生は、現在はマウスにおけるオートファジーの役割を研究していて、つい半月前に発表したばかりの最新成果についても聞くことができました。

オートファジーは「掛け流し温泉」?

――はじめに、なぜオートファジーによって細胞の中身を「壊す(分解する)」必要があるのか、教えてください。

 オートファジーによって細胞内のタンパク質を分解する役割は、大きく分けると2つです。1つは細胞の中の掃除。もう1つは、タンパク質のリサイクルです。

――では、まずは細胞の掃除について伺います。例え話としての「掃除」の大切さは直感的に分かります。私たち人間はきれいな部屋に住みたいですから。しかし、細胞も同じように考えてよいのか疑問が残ります。細胞にとっては、なぜ「掃除」が大切なのですか?

 掃除をすることで、タンパク質の「量」と「質」を保ちます。本来ならば分解されるべきタンパク質が細胞内にたまってしまうと、悪影響を及ぼし、細胞の健康を損なわせると考えられています。例えば、「p62(ピーロクジュウニ)」というタンパク質は、オートファジーが起こらないと肝臓の細胞に過剰にたまってしまうことが分かっています。蓄積したp62は別のタンパク質「Keap1(キープワン)」にくっついてしまい、Keap1の本来の働きを妨げます。これが肝障害につながるということが実験的に示されています。

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最終更新:10/26(水) 17:44

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