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高温動作の不揮発性メモリ、千葉工大などが開発――600℃でもデータの書き換え・保存が可能に

EE Times Japan 10/13(木) 12:00配信

■耐熱性に優れた白金ナノ構造を採用

 千葉工業大学(千葉工大)工学部機械電子創成工学科の菅洋志助教は2016年10月、産業技術総合研究所(産総研)ナノエレクトロニクス研究部門の内藤泰久主任研究員及び物質・材料研究機構(物材機構)国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の塚越一仁主任研究者らと共同で、600℃の高温環境下で動作する不揮発性メモリ素子を開発したと発表した。一般的なメモリ素子は、高温環境下でメモリ機能を維持することができない。今回は情報記憶部に耐熱性を有する白金ナノ構造を利用することで可能とした。

 シリコン半導体を用いた一般的なメモリ素子は、高温になると半導体性を発揮するバンドギャップが小さくなる。このため、200℃を超える高温環境下では、データの書き込みや読み出しを行うことができなくなるという。

 産総研はこれまで、金属原子のナノ構造を用いた不揮発性メモリの開発を行ってきた。今回、千葉工大と物材機構を含む研究チームは、千葉工大が保有するナノギャップ電極の電極金属の結晶性改善技術を用いて、高温時におけるメモリ特性とナノ構造が変化する関係性について、そのメカニズムを解明した。この結果に基づき、電極素材に白金を用いることで、高温時でも構造の変化を抑えることが可能となり、高温環境下でのメモリ動作を実現した。

 ナノギャップメモリは、ナノギャップの空隙に可逆変化するナノピラーが成長することによって、電極間で接近と乖離が生じる。ナノギャップの間隔が変われば、トンネル電流の抵抗値も大きく変化する。これにより、オンとオフという2つの状態を作り出している。この金属構造を維持することができれば、内部に記憶されたデータを保持することができるという。

 共同研究チームは、試作した白金ナノギャップメモリを用い、高温環境下で抵抗値をオン/オフ交互に100回切り替えて動作確認を行った。その結果、600℃の環境下でもオンとオフの抵抗値が分離することが分かった。

 室温から600℃までの温度範囲で、オン/オフ比の温度依存性も確認した。高融点の白金ナノギャップメモリは高温環境下でも高いオン/オフ比を示すことが分かった。これに対して、電極素材に金を用いた従来のナノギャップメモリは、400℃付近でオン/オフ比が低下した。なお、白金ナノギャップメモリは、600℃環境下で書き込んだ状態を8時間以上保持するなど、高温環境下で安定に情報を維持できることが分かった。

 研究チームは、超高温での記録技術を開発したことにより、例えば航空機のフライトレコーダーや惑星探査機向けなど、耐環境性電子素子への応用が可能になるとみている。

最終更新:10/13(木) 12:00

EE Times Japan