ここから本文です

セカオワ、社会問題を歌う メッセージソングの方法論とは?

オリコン 10/14(金) 8:40配信

 人気バンド・SEKAI NO OWARIが、動物殺処分ゼロプロジェクトを支援するシングル「Hey Ho」を発売した。これまでも、良質なJ-POPであることはもちろんのこと、社会問題を世に問う楽曲を発表してきたセカオワ。だが、単に投げかけるだけではなく、そこには葛藤もあるという。熊本地震のボランティア活動をきっかけに生まれた、その方法論とは?

【動画】「Hey Ho」ミュージックビデオ 意外な裏話も

◆「メッセージ性は強くなりがち。そこではないところをケアできる曲に」

――SEKAI NO OWARIというバンドは同じところには留まっていない、常に何か新しいトライをするバンドです。動物殺処分ゼロプロジェクト支援シングル「Hey Ho」も、こちらが予想もしていなかった展開でした。これまで同様、今回もFukaseさんの発案だということですが。
【Fukase】あ、はい。コンセプトや曲を決めるの、僕の役割になっています。去年の「ANTI-HERO」「SOS」以来、新曲を作るのは1年ぶりくらいなんですが、この2曲を作ってリリースしたあと、ずっと、次はどうしようかと考えていたんですね。今年のツアー中くらいから、そろそろシングルの準備をしようと思い、出すのなら秋だなと。トゲトゲしいものから恋愛をテーマに歌詞だけ書いたりもしてたんですが、どれもしっくり来なかったんです。そんな中、熊本で地震があったときに、僕らは福岡にいたので、そこから車で移動して現地でお手伝いをするという経験をしまして。
【Nakajin】一般のボランティア団体さんと一緒に、瓦礫などを運び出したりしてね。炊き出しにも参加しました。
【Fukase】支援グッズも発売することが決まっていて。でも、その告知をライブのMCでするときに、来てくれる人たちが、“買わなきゃいけない”と感じたり、“買わない自分はダメなんじゃないか”って思ってしまうんじゃないかという、不安があったんですね。僕自身、24歳ぐらいまでは非常に貧乏で、行きたいライブのチケットを買うのが精一杯で、それ以外のものは到底買えない時期があった。だから、とにかくヘンなプレッシャーだけはかけたくはなかったんです。プロジェクトと連動していると、どうしてもメッセージ性は強くなりがちですが、そこではないところをケアできる曲にしたくて、新曲もこういった歌詞になりました。

◆「5年後、10年後に何か行動を起こすキッカケになるかもしれない」

――楽曲はFukaseさん、Saoriさん、Nakajinさんの3人で作られたということですが、意外なことに、3人での制作は初だったとか。曲作りの“キャスティング”も、Fukaseさんの提案で。
【Fukase】はい。僕としては子どもの頃から漠然と考えていたことをテーマにしているので、自分だけで書いたら、自分ひとりだけのプロジェクトになってしまいそうな気がしたんです。僕以外のメンバーも、今回のテーマについて何も考えていなかったわけではなく、そこに触れるタイミングがこれまでなかっただけのことで。その辺はSaoriちゃんも歌詞にしています。大切にしないと、大切にならない。縁がないと知ることがないことはたくさんあると。僕らにとって、自分たちがどう思うかを考えるタイミングは曲作りであり、この機会に、みんなで考えよう、というのはありました。
【Nakajin】僕は小学校の頃からFukaseを知っているので、今回のテーマに対する違和感とかは全くなかったです。これまでも過去の作品、「虹色の戦争」「世界平和」「深い森」でもFukaseは表現してきましたから。ただ、プロジェクトにピンと来るタイミングが今じゃない人も当然、たくさんいるわけです。でも曲として好きになってもらえれば、5年後、10年後にプロジェクトのことを思い出してくれたり、何か行動を起こすキッカケになるかもしれない。そのためにも、何回も、この先も長く聴いて楽しめるよう、新しい発見があるような音にしようと思いました。勇ましいところもあれば、ちょっとコミカルなサウンドも入れて、ホッとするような印象もある。力が抜ける感じの、アホっぽい音というか(笑)。

◆「“じゃあ、お前が先に書けよ!”ってケンカになりました(笑)」

――Saoriさんはいかがですか?
【Saori】一番最初にFukaseが歌詞を書いてきたときは、どういったスタンスで関わるのか、私はまだよくわからなかったんです。なので正直に、「支援シングルで、この詞だと伝わらないんじゃない!?」って返したら、「じゃあ、お前が先に書けよ!」ってケンカになりました(笑)。
【DJ LOVE】グループチャットでそういうやりとりをしているのを、僕らは静かに見守っていました(笑)。
【Fukase】否定するだけで提案がないから、何がダメなんだ、じゃあ書いてみろよって言ったら、すごくいいのが上がって来たんです。いや、ホントにすみませんでした、って感じでしたね(笑)。Saoriちゃんの歌詞にインスパイアされて、僕の中に海のイメージが浮かび、サビの<Stormy Seas>が生まれた。そこから、Saoriちゃんが<嵐の海を渡っていく>に書き直してくれて、これは「RPG」の続編なんだなってことになったんです。というか、Saoriちゃん、ちょこっとBメロで(僕のを)パクったよね?
【DJ LOVE】(素で)えっ!?
【Saori】パクッてないよ。「俺が書いた歌詞にお前が合わせろ、俺は変えない」って言い切るからさ、1番と2番を摺り合わせて、なんとか繋がるように変えたら、急に「俺も変えようかな」って言ってきたんだよ。
【Fukase】そうでした。まぁ、こういうことはよくあるんです(笑)。お互いのアイディアを使って表現するっていうことなんですけど。「Death Disco」とかも、もともとはSaoriちゃんのアイディアだったしね。でも、作詞で混ぜるのって、相当難しい。シリアスな内容をミックスするのは、かなりわかり合っていないと大変だよね。考えが似ていないと成立しないし。(Saoriに)作詞に参加するようになった最初の頃は、その辺ですごく悩んでたでしょ?
【Saori】うん。Fukaseの歌詞がすごい好きだし、尊敬している作家のひとりなのに、作詞の経験がない自分が入っていいのかなって。最初はものすごいプレッシャーがあったし、「そんなことできない!」って言いながらやってました。
【Fukase】俺のスタイルに寄せてきて、そこから抜け切れてないなぁってずっと思っていたけど、「マーメイドラプソディー」ぐらいで、こっちが思ってもいないことを書いてくるようになって、「ああ、Saoriちゃんのスタイルができたんだね」って話していたんだよね。僕の歌詞の場合は“語り”なんだけど、Saoriちゃんのは詩的だよなぁって。あと、Nakajinさ、「Error」のサビ、ちょっとだけ変えたよね?
【Nakajin】ああ、サビの順番変えたり、副詞を足したりはするね。もちろん、ちゃんと元の意味を変えないよう、気をつけてるよ。
【Fukase】「Error」もさ、最初はもっと、のほほんとした終わり方だったんだけど、Nakajinが回想シーンっぽい、走馬燈のような間奏を入れてきたから、死ぬことになっちゃった(笑)。
(文/根岸聖子)

最終更新:10/14(金) 19:13

オリコン

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

失うことで不完全さの中に美を見出した芸術家
画家のアリッサ・モンクスは、未知のもの、予想しえないもの、そして酷いものにでさえ、美とインスピレーションを見出します。彼女は詩的で個人的な語りで、自身が芸術家として、そして人間として成長する中で、人生、絵の具、キャンバスがどう関わりあってきたかを描きます。 [new]