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映画「聲の形」、山田尚子監督に訊く

Lmaga.jp 10/13(木) 7:00配信

「嘘なくやらなくてはという覚悟で」(山田尚子監督)

『手塚治虫文化賞新生賞』『このマンガがすごい!2015』オトコ編第1位など、数々の賞に輝いた大今良時のベストセラーコミックをアニメ映画化した『聲の形(こえのかたち)』が現在公開中だ。制作は映画『けいおん!』や『たまこラブストーリー』などを手掛けてきた「京都アニメーション」。すでに興行収入は10億円突破。京都での舞台挨拶直後に、山田尚子監督に話を訊いた。

──作品が公開され、満員の劇場で舞台挨拶をされた、今のお気持ちからお聞かせください。

『聲の形』は、公開前にどうしようとか、どのように受けとめられるかドキドキするとかは、実はあまりなかったです。というのも、この仕事をいただいたときから、たとえどのような評価を受けることになっても、『聲の形』の持っている魅力を映画にするんだという覚悟をして挑んだので。やりきったと言うと少し語弊があるかもしれませんが、私たちができる『聲の形』はこれしかないという作品には仕上がっていると思います。あとはもう観てくださるみなさんのものだという気持ちが強いですね。

──なるほど。それほどの覚悟で映画化された『聲の形』ですが、まずは原作との出合いから教えてください。

最初は、大今先生の原作がうちの会社(京都アニメーション)で映画化するということだけが決まっていて、私はその段階では原作を読んでいなかったんですが、スタッフには原作のファンも多くて、内容を聞くにつけ「(監督を)やりたいなあ」とずっと思っていました。

──原作を読む前にどういった内容を聞かれて、監督をしたいなと?

この作品はきっと言葉だけじゃないコミュニケーションを描く作品なのだろうと思ったんですね。もしそうなら、映像の動き、空気、色、音など、たくさんの表現方法を使って心や思いを伝えるアニメーションという媒体、それに特化した要素をもった魅力的な題材感じまして、ぜひお話しいただけないだろうか・・・と思っていたんです。

──監督に決まり、実際に原作を読まれてみていかがでした? 難しいとは思われませんでしたか?

決して難しいことでは無いなと、当初より感じていました。このお話は、人の心に肉迫していますが、いたずらに過激な描写をしているのではなくて、「愛」をもって描かれています。その、原作に込められている「愛」に寄り添うことは難しいことではないと思いました。つらいことも描かれているけれども、それを補ってあまりある愛も描かれていて、そのバランスは絶妙なものでした。だから、この作品にふさわしいアニメーションとしての表現を模索したいと強く思い取り組みました。

──確かに、つらいことも、それを補う愛もくっきりと、また深く描かれているなという印象は受けました。

原作者の大今先生ともたくさんお話させてもらったのですが、そのとき、この作品は本当に先生が気持ちを剥き出しにして作られたものなんだなと思ったし、その思いの深さにきちんと答えたいと思いました。だからこそ、このタイトルにとって恥ずかしいものは作れない、自分としても嘘なくやらなくてはという覚悟で臨みました。

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最終更新:10/13(木) 10:50

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