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参院選1票の格差「合区」評価は 高裁岡山支部で14日全国初判決

山陽新聞デジタル 10/13(木) 8:20配信

 「1票の格差」を十分に解消しないまま実施された7月の参院選は憲法違反だとして、弁護士グループが、岡山選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決が14日、広島高裁岡山支部(松本清隆裁判長)で言い渡される。焦点は、隣接の選挙区を統合する「合区」の導入を軸にした国会の是正措置をどう評価するか。全国14高裁・高裁支部で起こされた訴訟のうち判決が出るのは初めてで、司法判断の行方が注目される。

 升永英俊弁護士(第一東京弁護士会)ら東京と岡山の弁護士でつくるグループが提訴した。訴状によると、今回参院選は岡山選挙区の議員1人当たりの有権者数が全国最少の福井県の2・43倍、最も格差が大きい埼玉は3・08倍で、いずれも憲法が求める投票価値の平等に反するとしている。

 9月中旬にあった第1回口頭弁論の意見陳述で、弁護団の賀川進太郎弁護士(岡山弁護士会)らは「有権者の投票権を守るため人口比例の1人1票が原則」とした上で「国会は抜本解決には程遠い小手先の手法を繰り返してきた。速やかに選挙無効の判決を出すことを望む」と強調した。一方、被告の岡山県選挙管理委員会側は答弁書で「今回の選挙の格差はこれまで最高裁が合憲とした格差を大幅に下回り、違憲の問題が生じるほどの著しい不平等状態ではない」と主張した。

 参院選の1票の格差を巡っては、これまで最高裁は国会に是正するよう促してきた。格差が最大4・86倍の2007年選挙では「合憲」としながらも「大きな不平等がある。現行選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と指摘。10年(5・00倍)、13年(4・77倍)の選挙は「違憲状態」と判断し、「都道府県単位で定数設定する今の選挙制度は見直すべきだ」と抜本的な改正を求めた。

 こうした経緯を踏まえ、今回の参院選では、人口の少ない選挙区同士の合区を「鳥取・島根」「徳島・高知」で初めて導入し、選挙区定数を10増10減した結果、最大格差を前回より1・69ポイント改善した。

 環太平洋大の林紀行准教授(政治学)は訴訟の焦点について「投票価値の平等にどこまで近づけることができたかが最も重視される。さらに国会の取り組みの是非も大きな評価基準だ」とする。その観点から、過去の格差と比べ大きく縮小していることを受け「違憲判決を出すことは司法にとってハードルが高いのでは」とみている。

 他の13高裁・高裁支部の判決は11月8日までに出そろう。全て上告され、最高裁が統一判断を示す見通しだ。

 参院選「1票の格差」 議員1人当たりの有権者数が選挙区ごとに異なるため、1票の価値に格差が生じる。衆院に比べて参院は定数が少なく、3年ごとの半数改選のため各選挙区の定数は必ず偶数になり、格差が拡大しやすい。不平等が著しい場合は「違憲状態」、さらに合理的期間内に是正されなければ「違憲」、選挙をやり直しても公益を著しく害さないと判断すれば「無効」の判決になる。衆参両院とも最高裁で無効とされた例はない。高裁レベルでは2012年衆院選(2・43倍)と13年参院選(4・77倍)を無効とした判断がある。

最終更新:10/13(木) 8:20

山陽新聞デジタル