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自動運転向けミリ波レーダー、CMOS化に前進 富士通研が世界最高性能の心臓部開発

日刊工業新聞電子版 10/13(木) 15:50配信

高速走行時と一般道での周辺検知を両立

 富士通研究所(川崎市中原区、佐々木繁社長)は自動運転車向けに、車載レーダーの心臓部となる世界最高性能のミリ波相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路を開発した。相対速度で時速200キロメートルまでの高速走行時の周辺監視と、歩行者や自転車、障害物など周辺環境の検知の両方に対応するレーダーが初めて実現する。今後、プロセッサーなどを集積して1チップ化し、2020年以降に実用化する。

 開発したのは、76ギガ―81ギガヘルツの広帯域にわたって、従来比約4倍速い1マイクロ秒当たり最大2ギガヘルツの最速で周波数を変調できるCMOS回路。変調速度を上げると対象物の検知範囲が広がる。従来は温度を上げると変調速度が遅くなる課題があったが、今回、高温環境下でも正確に動作させるための補正回路を開発して導入した。

 これで、約25度―約150度Cの高温下でも高速変調が可能になり、CMOS回路として初めて、車載レーダーに要求される性能を確保した。例えば、高速道路で時速100キロメートルの速さで走行する自動車が、同じ速度で走る対向車との間の距離や速度を検知し、衝突を防止できる。 歩行者や自転車など速度の異なる対象も検知可能。10メートル圏内を、5センチメートル間隔で細かくスキャンしながら周辺環境を監視できる。

 近年、自動車には、ドライバーが安全に運転するための先進運転支援システム(ADAS)が装備されつつあり、これが将来の自動運転を支える基盤になる。ミリ波レーダーはそこで目の役割を担い、夜間や霧、降雨、逆光など悪環境時のカメラの弱点を補う。現在はシリコンゲルマニウム製の回路を使ったレーダーが製品化されているが、より小型で高性能、かつ安価で低電力のCMOSを使ったレーダーの実現が期待されている。

最終更新:10/13(木) 15:50

日刊工業新聞電子版