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タカタ経営再建、決断迫られる車メーカー 費用と手法で思惑交錯

日刊工業新聞電子版 10/13(木) 17:01配信

出資、5陣営が応札

 タカタの経営再建を巡り自動車メーカーが決断を迫られている。世界で拡大したエアバッグのリコール(回収・無償修理)費用はタカタ単独でまかない切れない規模に膨らむ。タカタはスポンサーを募り局面の打開を図るが、リコール費用を肩代わりする車メーカーの支援が欠かせない情勢だ。想定される再建手法も法的整理か私的整理で関係者の利害が異なるため、調整は難航しそうだ。

 「部品の供給が止まらないことが最も大事になる」。日系自動車メーカー幹部は、タカタから9月下旬に説明を受けたスポンサーの再建案について、新車に搭載する部品とリコールで交換する部品の安定調達が選定基準になるとの見方を示した。

部品の安定調達が基準

 タカタ製エアバッグ部品「インフレーター(ガス発生装置)」のリコールを巡っては、世界で1億個以上に拡大し、その対策費用は1兆円規模に膨らむとされる。リコールの根本原因が究明されていないとしてタカタは第三者機関による調査を継続し、リコールにかかった費用は原則車メーカーが立て替えている。タカタの自己資本は6月末時点で1090億円。仮にタカタが一定の責任を認め、車メーカーから一斉にリコール費用を請求された場合、債務超過に陥る可能性が高い。

 一方、タカタは存続を前提とした再建策をまとめるため弁護士らで構成する「外部専門家委員会」を設置。財務アドバイザーに米投資会社のラザードを起用してスポンサーを募集した。9月に入札を締め切り、タカタにインフレーターを納めるダイセルと米投資ファンドのベインキャピタルの連合、米車安全部品大手のキー・セイフティー・システムズ(KSS)と米投資ファンドのカーライル・グループ連合、エアバッグ最大手でスウェーデンのオートリブなど5陣営が応札したとされる。

法的整理を提案、株式市場も敏感に反応

 米ロイター通信は9月29日、スポンサー5陣営すべてが、出資の前提として法的整理を提案したと報じた。また米ウォール・ストリート・ジャーナルは7日、タカタが米国で連邦破産法第11条の適用申請を検討していると報道。これに対し、タカタは11日、「何ら決定した事実も開示すべき事実もない」とのコメントを発表した。11日の東京株式市場でタカタ株の終値は前営業日比7・47%安の347円となり、市場も敏感に反応した。

 会社更生法や民事再生法を活用した法的整理は、裁判所の管轄下で倒産手続きを進めるため透明性が高いとされる。ただタカタは「倒産企業」のレッテルを貼られることで、部品を供給する車メーカーや部材を調達するサプライヤーとの取引関係が悪化する可能性がある。また人材の流出も懸念され、タカタの事業基盤が揺らぐ恐れもある。

 自動車メーカーにとっては、エアバッグとシートベルトでそれぞれ世界シェア約2割のタカタが、法的整理による混乱で製品の供給が滞れば、現行車の生産や販売への影響が避けられない。一方、私的整理は裁判外の手続きで、債権者と債務者の話し合いで進める。倒産企業として見られることはなく、取引関係や事業価値が毀損(きそん)されにくいとされる。タカタの事業への影響も抑えられ、車メーカーにとっても部品の安定調達の可能性が高まる。

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最終更新:10/13(木) 17:01

日刊工業新聞電子版