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「両者と両社」の運命的な握手の瞬間

ニュースイッチ 10/13(木) 11:40配信

「もっといいクルマづくりに向けた“やらまいか”の提携」

 業務提携に向けた検討を始めたトヨタ自動車とスズキ。12日にトヨタの東京本社で会見したトヨタの豊田章男社長とスズキの鈴木修会長が口をそろえたのが、情報などを中心とした技術競争が急速に変化している業界での激変。鈴木会長は「伝統的な自動車技術を磨くだけでは将来は危ういと理解している」と危機感を強調。以前からの相談相手の豊田章一郎トヨタ名誉会長に9月頃に打診。そしてつい先週、豊田社長にも相談したという。

 トヨタとしても「変化に対応する力をつけることがトヨタが乗り越えないといけない課題」(豊田社長)との危機感がある。また、次世代モビリティー社会を構想、構築していく上で仲間づくりや標準化が重要との認識から提携の打診に応じた。

 両社はともに遠州地域を発祥の地とし、織機製造をルーツとする。豊田社長は「深い縁を感じる」としみじみ語った上で「もっといいクルマづくりに向けた“やらまいか”の提携」と遠州方言を交えて語った。

<解説>
 1990年代、活力を喪失していたトヨタ自動車の再興を担って登場したのが奥田碩元社長であった。それがトヨタのグローバル化への挑戦であり、戦略の基本に国内軽市場を攻撃し、スズキを叩くことがあった。トヨタの国内経営基盤を固め、世界に思い切り打って出ることを可能としたのである。

 これを契機として、トヨタとスズキは宿命のライバルとなった。「敵の敵は味方」。スズキはトヨタの敵である米ゼネラルモーターズ(GM)とドイツ・フォルクスワーゲン(VW)とのアライアンスに活路を求め、その結果、迷走を続けた。

 ところが、トヨタも奥田氏が敷いた拡大戦略につまづき、経営は創業家に回帰、「未来のトヨタ」のあるべき姿に悩むところに立つ。

 長年に渡り、国内自動車産業の成長を支え続けてきたのが豐田章一郎名誉会長と鈴木修会長の2人である。ついに、両者は和解に達し、国内自動車産業の未来への筋道を示した、両者(両社)の運命的な握手の瞬間である。
(ナカニシ自動車産業リサーチ代表・中西孝樹氏)

最終更新:10/13(木) 11:40

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