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黒沢清が幽霊映画をフランスで撮ったらこうなった!

シネマトゥデイ 10/14(金) 4:16配信

 初のフランス映画となる最新作『ダゲレオタイプの女』を完成させた『岸辺の旅』(2014)、『クリーピー 偽りの隣人』(2016)の黒沢清監督が、幽霊やホラーの伝統が乏しいフランスでいかにして新しい表現に挑んだのかを明かした。

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 世界最古の写真撮影法“ダゲレオタイプ”に執着する中年カメラマン、そのモデルを務める娘、アシスタントとなった青年が悲劇的な運命をたどっていく本作は、現代劇でありながらゴシック・ホラーのテイストが濃厚な異色作だ。まず舞台となる不気味な洋館は、パリ郊外をさんざん探し回って発見した築200年以上の物件。「フランス人もまだこんな屋敷が残っていたのかと驚いていた」と語る黒沢監督は、エントランスにある階段や地下室へと続く扉などに創作意欲を刺激されたという。

 『回路』(2000)、『叫』(2006)などで多彩な幽霊を描いてきた監督が今回映像化したのは、青いドレスをまとったヨーロピアンな女幽霊だ。「設定上、幽霊に古風なドレスを着せることに違和感はないが、色には迷いました。赤、緑、白、黒の服を着た幽霊はやったことがあるし、黄色も先例がある。残るは青。これは意外にやられていないぞと」。さらに幽霊が出没する以前の“気配”の描写にもこだわった。その点について監督は「Jホラーでは日常の中にいきなり幽霊が出るが、今回は日本ではありえないロケーションの扉、階段、鏡を使い、館に漂う気配を存分に撮りました」という。

 そうした超自然的な気配の映像化を、歴史的にホラーの伝統が乏しいフランスのスタッフとのコラボレーションで実現させたことが興味深い。「確かにフランスにはジャンルとしてのホラーの伝統はありませんが、Jホラーなどの影響を受けてか、ここ20年くらい幽霊が出てくるフランス映画が増えている」と語る監督は、「僕がゴシック・ホラーをやりたい、幽霊の気配を撮りたいと言ったら、スタッフは初々しいくらい嬉々として仕事に取り組んでくれました。彼らは恐怖表現に対する豊かな感性を持っているし、実はホラーをやりたくてしょうがなかったようです」と充実した現場を振り返る。

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最終更新:10/14(金) 4:16

シネマトゥデイ