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超ロングセラー絵本『かわ』 最新の絵巻版で削られた言葉、90歳の絵本作家・加古里子さんの思い

withnews 10/15(土) 7:00配信

 絵本『かわ』は刊行してから50年、世代を超えて愛読されてきました。83刷まで版を重ねたロングセラーの絵本が、『絵巻じたて ひろがるえほん かわ』として今年9月、7メートルの絵巻となった新しく出版されました。最新版では、出版当時に存在した「ある言葉」が削られています。世代を超えて親しまれた絵本、なぜ今、7メートルの絵巻を作ったのか? 消えた言葉の意味とは? 作者の加古里子さん(90)や編集者の思いを聞きました。

【画像】東大工学部出身で工学博士 90歳の絵本作家、加古里子さんの世界

1962年に初版

 『かわ』が生まれたのは1962年。雑誌『こどものとも』7月号に掲載されました。山から始まり、山間部や平野部を蜿蜒と流れ、最後に海に帰る物語が、川の旅ととして、流域の様子とともに細かく描かれています。

 作者の加古里子さんは、「だるまちゃんとてんぐちゃん」「からすのパンやさん」など多くの名作で知られる絵本作家です。

 『かわ』では、ダム・水田を耕す水牛・ベビーカーを押すお母さん・保育園児たち…昭和の当時の風景が懐かしく表現されています。

 絵本の対象年齢は4歳からですが、幅広い年齢の子どもが、それぞれの年齢に応じて楽しめる作りになっています。

絵巻仕立て、最後の4ページ分は海一色

 もともと、28ページの絵本だった『かわ』ですが、このたび絵巻となって新たに出版されました。

 ページを広げると約7メートルにもなります。全部広げると、源流から海までの川の旅が一望でき、最後は4ページ分、通しで海の風景が描かれています。

 絵巻を企画した福音館書店の庄司絵里子さんは「以前から絵がつながっていること気づいた読者が、絵本を2冊ばらしてつなげ、川の流れを指でずっとたどって子どもたちと楽しんでいたんです」と語ります。

貼り合わせの難しさ手作業で対応

 絵巻にできるのではないか、という気持ちは庄司さんの中にもずっとあったそうです。

 ただ、個人で作って楽しむ絵巻ならば、つなげる際に多少のズレがあっても大丈夫ですが、商品にする場合は問題です。

 「難しかったのが貼り合わせです。7カ所貼り合わせているのですが、絵巻の良さをいかすため、川や道がきれいにつながるように貼り合わせるのが一番大変でした。」

 商品化にあたり、製本の工夫を重ね、製本のスピードよりも精度を優先して、大半の工程を手作業で行うことにして、絵巻仕立てを実現させました。

 絵巻は、『かわ』が最初に刊行された月刊絵本『こどものとも』の創刊60周年記念として出版されました。

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最終更新:10/17(月) 18:20

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