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プレイステーションのIPを活用したゲームアプリを、2017年度に5~6作品リリース予定! フォワードワークス川口智基氏インタビュー

ファミ通.com 10/14(金) 0:02配信

●プレイステーションビジネスで培ったノウハウを、スマートデバイス市場で活かす
 2016年4月1日、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)が、新会社フォワードワークスを設立した。同社は、スマートデバイス市場に向けた新事業の展開を目的としており、SIEがプレイステーションで展開したIP(知的財産)を活用し、ゲームアプリを開発することが発表されていた。
[関連記事]ソニー・コンピュータエンタテインメント、4月よりスマートデバイス向け事業を展開する新会社“フォワードワークス”を設立

 4月の設立以降、沈黙を保っていたフォワードワークスだが、このたびファミ通.comでは、フォワードワークス エグゼクティブディレクターの川口智基氏に話をうかがう機会を得た。これまでもスマートデバイス向けにゲームを展開してきたSIEが新会社を設立したのはなぜか、今後はどのようなタイトルをリリースしていく予定なのか――フォワードワークスの設立意図と、今後の展望を語っていただいた。

フォワードワークス エグゼクティブディレクター
川口智基氏
Tomoki Kawaguchi

●プレイステーションを知らないユーザーにアプローチするために
――まずは改めて、フォワードワークス設立の背景や意図をお聞かせいただけますでしょうか。
川口 私を始めとするフォワードワークスのスタッフの多くは、もとはSIEに所属していました。当時、私は国内の戦略企画責任者を務めていて、国内のユーザーの皆さんに向けていろいろなプロジェクトを推進していましたが、その中で、モバイル(スマートデバイス)ゲームの市場というのは、見逃せない大きな存在だったんです。そこで、“プレイステーション”というブランドのもと、モバイル市場のお客様にエンタテインメントを届けるアプローチをしていましたが、おもに対象となるのは、プレイステーションのことも、モバイルのことも知っているお客様でした。

――そのときは、プレイステーションにもともと親しみのある方に向けて取り組んでいたということですね。
川口 はい。ですが、「私たちはプレイステーションです」と言ってもあまり響かないような、プレイステーション自体をよく知らない方にも、やっぱり私たちのゲームを楽しんでもらいたい。そのためには、プレイステーションブランドとは一旦切り離した体制を作って、モバイルゲームユーザーの皆さんと接点を持ち、皆さんが求めているものを理解する必要があると考えました。そこで昨年から準備を進めて、今年の4月にフォワードワークス設立にいたりました。

――プレイステーションというブランドに頼らないというのは、かなりの英断だったのでは?
川口 それは、いろいろな方によく聞かれるポイントですね。改めてはっきり言いますと、私たちがやろうと思っていることは、プレイステーションのプラットフォーム戦略とは切り離されたところで、“フォワードワークス”として、モバイルゲームの市場にチャレンジしていくということです。社名に“プレイステーション”という言葉が入っていないのも、その意思の表れです。

――では、具体的に、フォワードワークスではどのような事業に取り組むのでしょうか。
川口 私たちは、モバイルのアプリケーションにおいて、これまでのモバイルゲームの一歩先を行くようなゲーム体験を提供していきたいと思っています。そこでこそ、プレイステーションビジネスで培ってきた“おもしろいゲームを作る”、“それをユーザーの皆さんにお届けする”というノウハウが存分に活かせると考えています。いま、ゲームに限らずいいものがたくさんある中で、自分たちのタイトルをいかに遊んでいただくかは、重要なポイントですから。また、ユーザーの皆さんとのコミュニケーションを取るうえでも、これまでのノウハウが活きると思います。

――すでにタイトルの開発は進んでいるのですか?
川口 具体的なタイトル名はお伝えできませんが、来年度中(2017年度中)には、5~6タイトルをリリースする予定で、いま準備を進めています。詳細は、2016年内に発表する予定です。

――5、6タイトルですか! 新メーカーが1年のあいだにリリースする本数としては、かなりの数ですね。
川口 去年から準備を始めていましたし、それぞれのタイトルに適したパートナーさんと組んで同時並行で進めていることが、スピード感につながっているのかな、と思います。

――各タイトルを、違ったパートナーさんと手掛けているのですね。フォワードワークス内に開発スタッフはいるのですか?
川口 現時点では、フォワードワークスにいるのはプロデューサーのみで、開発部隊はいません。来期リリース予定のタイトルは、パートナー会社の皆様や、SIE ワールドワイド・スタジオ ジャパンスタジオとともに作っています。将来的には、フォワードワークス内で開発することも検討していきたいですね。

――開発中のタイトルについて、お話しいただける範囲で、どのような内容なのか教えていただけませんか?
川口 私たちがまず展開していきたいのは、SIE ジャパンスタジオのIPを使ったタイトルです。SIEのIPを使えるというのは、私たちの大きな強みだと思っています。たくさんのIPがありますが、まだほとんどモバイルゲームで展開していないですし。とはいえ、移植はしません。それぞれのIPをモバイルゲームに最適化して、新しいものとして作っていきます。ユーザーの皆さんからも、ぜひ、「このIPで作ってほしい」というご意見をいただきたいですね。

――とてもバリエーション豊かなリクエストが届くと思います。
川口 皆さんの反応を楽しみにしています。パートナー会社の方も、いわゆる“プレイステーション世代”の方が多くて、「だったら、あのIPでやりましょう」、「そのIPなら、こうしましょう」と話が盛り上がるんですよね。自分が好きだったIPに関われるとなれば、アイデアもたくさん出てきますし、どの部分を残して、どの部分を変えるべきか、そのさじ加減がわかる。話し合いをする中で、すごくいいものが作れる、という手ごたえを感じています。

――パートナー会社の皆さんと、かなり密にやり取りされている、と。
川口 はい。ほかにも、以前そのIPに関わったメンバーがSIEのスタジオにいる場合は、そのメンバーからも意見をもらったりもしています。

――綿密な話し合いのほかに、タイトルを開発するうえで重視していることは何ですか?
川口 大事にしたいと思っているのは、ゲーム性です。先ほどお話しした通り、プレイステーションビジネスで培ってきた“おもしろいゲームを作る”というノウハウは、存分に活かしていきたい。ひとつのゲーム性に囚われることなく、カジュアルなゲームも重厚なゲームも手掛けていきます。皆さんに純粋に“楽しい”と思っていただけることを目指して、とてもバラエティー豊かなタイトルを準備していますので、いろいろな方に遊んでいただきたいです。

――課金の形態については、どのようにするおつもりですか?
川口 コンテンツごとに最適な販売方法を考えたいと思います。売り切りのものもあるでしょうし、フリー・トゥ・プレイのものもあるでしょうし。多くの皆さんに安心して楽しんでいただけることが大事だと考えています。

――タイトルを展開するプラットフォームについては、どうお考えでしょうか。
川口 プラットフォームについても限定せず、モバイルのプラットフォームであれば幅広く展開していきたいです。フォワードワークスはあくまでコンテンツパブリッシャーですので、新しいプラットフォームを作るつもりはありません。

●フォワードワークスという社名をこれから知ってもらいたい
――フォワードワークス立ち上げの経緯については、先ほどおうかがいしましたが、なぜこのタイミングで立ち上げたのでしょうか。
川口 立ち上げのポイントは3つあります。ひとつ目は、デバイスです。スマートデバイスがどんどん進化していって、多くの皆さんが所持しているものになった。つまり、私たちが作りたいと思っているものが作れて、遊んでいただける状況になったというわけです。ふたつ目は、モバイル市場で求められるものの変化です。多くの方がモバイルゲームのビジネスに参入されたため、コンテンツ供給過多とも言える状態になった。そんな中で、どのゲームを遊ぶかというとき、ゲームの質が求められるようになったと思います。

――質の高いモバイルゲームが求められるいまこそ、プレイステーションで培ったノウハウが活きるということですね。では、最後のひとつは?
川口 IPの重要性です。ユーザーの皆さんが遊ぶゲームを選ぶとき、IPが重要な役割を果たすようになったと感じています。いまなら、私たちがIPを使って取り組みたいと思っていることが、市場で活きる。私たちがやりたいことと、ユーザーの皆さんが望んでいること、それがちょうど合致したタイミングだと考えました。

――モバイルゲーム事業は、基本的には日本で展開していくのでしょうか。
川口 まずは日本です。そのつぎに、アジアで展開していければと考えています。

――ちなみに、フォワードワークスという名前の由来は?
川口 サッカーにおける“フォワード”は、攻撃的で、チャンスメイクをするポジションですよね。私たちも、エンタテインメントの世界において、最前線でおもしろいものを提供していきたいという思いを込めて、“フォワードワークス”という名前にしました。社名の頭文字をとると”FW”になりますが、ちょうどフォワードも“FW”と表記するので、ロゴマークも“FW”をデザインしました。

――なるほど、サッカーのフォワードが由来だったのですね。
川口 ほかにも、このロゴにはいろいろな意味を込めています。スマートフォンの画面を指でなぞって、文字を描いているような意匠にしているのですが、それはモバイルゲームを扱う会社だということを示すためです。それから、よく見ると、“FUN”と書いてあるようにも読める。FUN、つまり“おもしろさ”という意味を込めました。これからは、フォワードワークスという名前を、ロゴマークを含めて、もっともっと知っていただきたいですね。

――今後は、フォワードワークスを知った後に、プレイステーションのことを知る方も出てくるかもしれません。
川口 そういう形も増えていくとうれしいですね。プレイステーションのことを知らない方にも、私たちのゲームを遊んでいただくことが目標ですから。モバイルゲームでSIEのIPを知って、「じゃあ家庭用ゲームでも遊んでみよう」と思ってもらえたら、と思います。IPを通じて、モバイルゲームと家庭用ゲームを行き来してもらうというイメージです。

――プレイステーションハードのゲームと、モバイルゲームの連動は考えていますか?
川口 連動することでいいものが生まれる場合はやりたいと思いますが、必須だとは考えていません。たとえば、PS4のゲームを遊んでいる人しか楽しめないものや、連動することでおもしろさが変わってしまうものは作るつもりはありません。

――ソニーグループのほかのコンテンツとの連動はありえますか?
川口 大いにあります。ソニーグループには、音楽、映画、アニメなど、ひと通りのエンタテインメントのジャンルが揃っていますので。フォワードワークスはモバイルゲームの会社ではありますが、型に囚われずに、新しい遊びの創造にチャレンジしたいです。

――それはソニーグループならではの、大きな強みですね。今後のフォワードワークスの展開を楽しみにしています。
川口 コンテンツの発表まで、もう少しお待ちいただくことになりますが、モバイルでおもしろいコンテンツを出していきたいですし、新しいチャレンジもしたいですし、ユーザーの皆さんとコミュニケーションを取りたいと考えています。ぜひご期待ください。

最終更新:10/14(金) 0:02

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