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地銀と地方紙が提携して実現した、秋田のクラウドファンディング

ZUU online 10/14(金) 6:10配信

地銀が地元のさまざまなビジネスに参入し、その存在感を高めていることはよく知られている。秋田県に拠点を置く秋田銀行では、地元新聞社である秋田魅新報社、小口ファンド運用会社のミュージックセキュリティーズと提携し、「FAN AKITA(ファンあきた)」という購入型のクラウドファンディングを2015年8月にスタートさせた。このプロジェクトは、地銀による地元企業等へのクラウドファンディング支援の成功例として高い関心を集めている。

■地銀による地元企業支援の新しい形

「秋田の魅力あるプロジェクトを応援したい。秋田発のクラウドファンディング」。秋田銀行、秋田魅新報社、ミュージックセキュリティーズによって運営されている購入型クラウドファンディング「FAN AKITA」のトップページに掲載されているスローガンだ。

クラウドファンディングとは、インターネットを経由して不特定多数の人々から資金調達を行って商品開発や事業展開を行う仕組みである。クラウド(crowd=一般の人々)とファンディング(funding=資金調達)を複合させた造語であり、今回の「FAN AKITA」では、購入型クラウドファンディングという仕組みが使われた。

購入型クラウドファンディングというのは、何らかの品物やサービスをリターンとして用意するもので、出資者が完成するであろう商品やサービスなどへプロジェクト達成前に出資する仕組みになっている。プロジェクトが完了すれば、完成した商品やサービスの提供が受けられる。

こうした地銀による地元企業等への支援の一環として、クラウドファンディングを使うパターンは近年急増している。「FAN AKITA」の運営にも参加しているミュージックセキュリティーズは、すでに60行の地銀と提携しているとされている。同社は地銀との提携を進めており、地銀のインターネットバンキングのサイト内で簡単にクラウドファンディングができる体制づくりを開発中だ。

■銀行のコンサルタント機能、きめ細かな情報発信能力が結集

「FAN AKITA」は、地域が抱える課題を分析し、プロジェクトの選定などを進めるために設立された地域支援の場だ。そのために秋田地域のビジネスの状況を把握している地銀と、地方の情報をわかりすい形で発信できる地方紙が連携している。これまで地方紙や全国紙がクラウドファンディングを運営する例は数多くあるが、地方紙が地銀と提携したケースは全国初といわれている。

では、実際にどんなプロジェクトが達成されたのか、簡単に紹介してみよう。

● 千秋花火プロジェクト
「あきた元気祭り千秋花火」は、2015年9月19日に実施された。目標100万円の出資金に対して100人を超える出資者が集まり、達成率は122%となった。出資者には、後日出資金額に応じて県立美術館ペアチケットや地酒と手ぬぐいといった商品が送付されている。

ちなみに、クラウドファンディング以外にも約150の企業や個人から協賛を得ており、民間資金100%のプロジェクトとして注目された。

● 秋田発、日米ジャズの音色の共演
日米を祖国に持つ双子のジャズ・アーティスト「カール&アラン・マグワイア」が秋田で開催したジャズフェスティバルの資金を、クラウドファンディングによって調達した。

彼らは米テネシー州の「音楽の都・メンフィス」で活動している。父親は米国人、母親が北秋田市出身で、「浜辺の歌」の生誕100年を迎えた2016年に母親の出身地である秋田でのコンサートが企画された。このコンサートを実施するにあたって必要となる経費など80万円のうち50万円をクラウドファンディングによって資金調達し、達成率は101%であった。

コンサート当日は、会場となった北秋田市文化会館に600人の観客を集めた。出資者には出資金に応じてコンサートチケット1枚や直筆サイン入りCDなどが送付されている。

● コミュニティ再生プロジェクト「未来塾」
多世帯協働による地域再生に取り組む未来塾が、クラウドファンディングを通じて20万円の支援金を募ったものだ。その資金によって設立されたのが「あきた里山學校」である。毎月1~2回を目標に、地元に密着したさまざまな授業を実施している。すでに27万円の資金が集まり、目標達成率は135%となった。出資者には、野菜を収穫できる権利や里山の小包便が届けられる。

■地域活性化に役立つプロジェクトを考える

「FAN AKITA」について紹介してきたが、現時点でも数多くのクラウドファンディングによる支援金集めのプロジェクトが立ち上がっている。地域活性化に役立つ、企業や地元産業の成長プロセスに関わることができる、さまざまな特典がもらえるといった、メリットの多いシステムといっていいだろう。

事業コンサルタント機能を持つ秋田銀行、きめ細かな情報提供や情報発信ができる秋田魅新報社、そしてウェブ運営を担うミュージックセキュリティーズ、それぞれの役割を活かした「FAN AKITA」の今後の活動に注目だ。(提供:nezas)

最終更新:10/14(金) 6:10

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