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「テンロク」輸入ホットハッチが熱い! 日本車の独壇場も今は昔…なのか

レスポンス 10/14(金) 11:30配信

こういうコンパクトなホットハッチが欲しかったんだよ!! と歓喜する声が聞こえる気がする。しかも乗ればイチコロの“快活な”操縦フィーリング! 

写真:DS 3 パフォーマンスとルーテシアRSトロフィー

腕に覚えのある年代ならば、若かりし頃に操ったFF・2ボックス(前輪駆動のハッチバックスタイル)スポーツのアノ感触が蘇る事間違いなし。しかも当時とは違い現実は驚くほど速い走りができてしまう。軽快感の極みだし、速いし、曲がるし、“暴れ”、止まる。その動きを操る事が問答無用に楽しい!!

2台のフレンチのうち、プジョーシトロエンからは最新の『DS 3 パフォーマンス』と呼ぶ史上最強のDS 3だ。わずか40台の限定で上陸したうち、試乗車のマットブラック/ブリリアントゴールド(ルーフ)は、「ブラックスペシャル」として30万円のプレミアムプライスが付くが、現物を見れば時代の先端を行くセンスに納得!

もう一方のフレンチは、ルノー『ルーテシアRS(ルノースポール)トロフィー』。F1にも参戦するルノーならではの、こちらも史上最強のルーテシアだ。


◆往年のFF特性がモロに味わえる…DS 3 パフォーマンス

拍子抜けするくらい軽いクラッチとアクセルペダルを、踏み過ぎず、唐突にクラッチミートさせないよう慎重にゼロスタートすると、あとはブレーキを含む3ペダルの操作に手と足をミキシングする、古典的だがその操作感覚が蘇る事が逆に嬉しい。

そう、今や少ない6速MTを操り、直列4気筒1.6リットルターボから208ps/300Nmを引き出すと、6500rpmの回転リミットは瞬時に訪れる。袖ヶ浦フォレストレースウエイで2ラップの全開走行。ピットロードですでに1速はフケ切り50km/h、2速105km/h~3速140km/h、バックストレッチ下りで4速160km/h(4速リミットは185km/h)に軽々と達する強力な加速は、18インチのミシュラン・パイロットスーパースポーツ(205/40ZR18)のグリップ力に負うところも多い。1290kgの車体を弾くように加速させ、その勢いを”ムギュ”っと握り潰すように減速するブレーキ力があるからこそ、安心してアクセルを床まで踏み込める。

そのグリップ力を生かしたコーナリングは、往年のFF車の特性がモロに味わえる痛快な特性だった。通常は車輌安定装置ESC(エレクトリック・スタビリティ・コントロール)の制御が働き、何も起こらずステアリング操作通りに曲がるよう、アクセルを踏みすぎてもエンジン出力が抑え込まれる。

ESCをOFFにしてインフィールド頂上の左、567コーナーを攻めると、LSDの威力もあり、舵角の方向にグイグイ引っ張られながらノーズが入り込む。狙い通りに曲がるので、アクセルをさらに踏み込むと出口付近ではアンダーステアも出るのだが、アクセルをほんの少し戻すだけでアンダーは消滅。

マニアックなのは、旋回途中で意図的にアクセルOFFすると、2455mmのショートホイールベースは、絵に描いたような“タックイン”からコーナーのインに巻き込む挙動を示す。そこをアクセルとステアリングの修正でコーナリング姿勢が自在に作れ、コントロールしやすいように仕上げたシトロエン「DS・パフォーマンス」チームの粋なセッティングは賞賛に値する。


◆意外と大人の味付け!?…ルノー ルーテシアRSトロフィー

これに乗り換えると、一気に現代版FF・2ボックススポーツの雰囲気に!? と言ってもそれはアクセルとブレーキの2ペダルを意味するのだが、時代は『ゴルフGTI』もポルシェ『911GT3』でさえも2ペダルセミオートマで安楽に。いや、本題は超高速走行時の安全性に関わる重大な内容からドライバーの操作ミスを防ぐ事が目的だ。

ルーテシアRSも同じく1.6リットル直列4気筒ターボで、220ps/260Nmを6速デュアルクラッチ・ミッションが伝達。パドルを引くと同時に“パン”と燃焼の音とともにショックもなく瞬時に変速。シフトアップはもちろん、旋回中でもダウンシフト時の回転合わせは自動制御で、誰もが安定走行可能。

操縦性は2600mmのホイールベースによるものか、意外だった。ルノーの身を捩るようにノーズから巻き込む感覚のコーナリングシーンを想像すると、もっと大人の味付け。リアの内輪が浮いて3輪姿勢になりながらも、そう易々とは滑らず、踏ん張りながらフロントで曲げる。という意味では兄貴分の『メガーヌRS』のマニア受けする特性よりも、広く深いユーザー層に向いていることがわかる。


◆元気のいいFF・2ボックススポーツの再来を

元は“初代ゴルフGTI”に端を発するFF・2ボックススポーツカー。ホットハッチとか、リトルギャングとか呼び名は様々あるが、コンパクトなボディに高出力エンジンを搭載するこの手法は過去~現代問わずこのクラスの定石。

従来は日本車のオンパレードだったこのクラス。特に「テンロク」こと1.6リットルクラスは軽を除く日本メーカー各社すべてにあったほどだが、今や1.6~2リットルを含めても寂しい限り。『シビック・タイプR』のように欧州仕様を輸入する策でもいいので、元気のいいFF・2ボックススポーツの再来を願う。

結局フレンチの2台はどっちがいいの?! と言われれば、操縦性を含む個性の違いがあって、どっちもそれぞれに楽しく、国産にはない味と香りもあり、お勧めできる。だから国産の出る幕がなくなるのか…いやいや頑張ってほしいものです。


桂 伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー
1982年より自動車雑誌編集部にてレポーター活動を開始。幼少期から憧れだったレース活動を編集部時代に開始、「走れて」「書ける」はもちろんのこと、 読者目線で見た誰にでも判りやすいレポートを心掛けている。レーサーとしての活動は自動車開発の聖地、ニュルブルクリンク24時間レースにアストンマー ティン・ワークスから参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。11年クラス5位、13年は世界初の水素/ガソリンハイブリッドでクラス優勝。15年は、限定100台のGT12で出場するも初のリタイア。と、年一レーサー業も続行中。

《レスポンス 桂伸一》

最終更新:10/14(金) 12:54

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