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セールスフォースとAWS、PaaSへのニーズ拡大をにらみ協力体制を強化

ITmedia エンタープライズ 10/14(金) 11:34配信

 セールスフォース・ドットコム(以下セールスフォース)とアマゾンウェブサービスジャパン(以下AWS)が10月13日、協力体制を強化し、営業協力や開発支援、共同マーケティングなどを実施していくと発表した。

【IoTとクラウドを活用した酪農ソリューションの事例】

 急速に成長を続けるクラウド市場は、2020年までに全世界で25兆円規模にまで拡大すると予測されている。成長率にして年間22%という、まさに伸び盛りの市場。ここまでクラウドが注目されるのは、新たなサービス開発や、急激なビジネスモデルの変化への対応が喫緊の課題となっている企業のニーズに、クラウドの利点がマッチしていることが理由だという。

 そんな状況下で、SaaSを中心に製品を展開するセールスフォースと、IaaS市場でトップを走るAWSが協力体制を築くのは、SaaSをもっとカスタマイズして使いたいというニーズと、IaaSよりも手軽にクラウドを使いたいというニーズにうまく応えられる、PaaS的なソリューションを提供するためだ。

 具体的には以下の4つの新たな施策を10月13日から開始した。


1. リファレンスアーキテクチャを開発する、セールスフォースとAWSのエンジニアによるクラウドデザインセンター(CDC)を設置
2. ベストプラクティスを両社パートナーエコシステムへ展開
3. AWSをプラットフォームとする「Heroku」を軸とした営業協力
4. 共同マーケティングの実施

 CDCの設置は、「(セールスフォースとAWS)どちらか一方では新しいビジネスモデルやサービスモデルを完了し得ない中で、両社のサービスを利用する顧客に、それぞれ協力して知見とサービスを提供する必要が出てきたため」だとセールスフォース・ドットコム 常務執行役員 アライアンス本部 本部長の手島主税氏はいう。

 CDCは当初10人程度の専属スタッフを置いてスタート。セールスフォース側から5人、AWS側から5人のエキスパートエンジニアを出し、混成チームでサービスを提供する。そこで、両社のシナジーを出せるパートナーを支援、育成するという。

 ベストプラクティスは、セールスフォースとAWSのそれぞれが持つ技術を生かした提案ができるパートナーを一緒にサポートすることで展開する。将来的にはパートナー企業は名前を挙げて分かりやすくするとしている。

 一例として、酪農にIoTとクラウドを活用し、牛の健康管理や酪農コンサルタント・獣医などとのコミュニティ形成を行っているデザミスという会社の事例を紹介した。デザミスでは、収集した牛の健康に関する情報をAWSに蓄積し、AWS上で動作するHerokuを使って抽出したデータを加工している。健康状態を可視化するため、情報の表示にはセールスフォースを活用した。

 こうしたサービスを利用することで、1カ月でプロトタイプが完成し、2カ月でβ版の提供開始にこぎ着けた。3カ月目にはサービスインにこぎ着けたとのこと。

 また、Webアプリケーションの開発に便利なプラットフォーム「Heroku」は、AWS上で動作しているPaaSであることから、こうした体制も顧客に理解してもらうため、AWSとしてもHerokuをしっかりサポートしていく体制であることをアピールする。

 「Herokuが中心ではあるが、もちろんそれに限らずセールスフォースの複数のソリューションとAWSの組み合わせも役に立てるので、その点も協力する」とアマゾンウェブサービスジャパン パートナーアライアンス本部 本部長の今野芳弘氏は明言した。

 共同マーケティングという観点では、AWS Summit TokyoやSalesforce World Tour Tokyoに相互に参加したり、共同セミナートレーニングなども企画する。

 なお、この取り組みは日本国内で展開するものとのこと。グローバルでも、いくつかSalesforce.comとAWSの協業はあり、今後拡大していく可能性はあるという。

 最後に手島氏は「今回の発表はあくまでも序章。『クラウドをどう使うのか』という相談は本当に多く、いろいろな手法をどう展開していくのか考えている中での取り組みだ。これからもより多くのことを紹介したい」とさらなる展開があることをにじませた。

最終更新:10/14(金) 11:34

ITmedia エンタープライズ