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避難12市町村、営農再開 年明けにも補助開始

福島民報 10/14(金) 10:11配信

 福島県は年明けにも、東京電力福島第一原発事故で避難区域が設定された12市町村で営農を再開する個人や法人を対象に、農業用の機械や設備購入費の4分の3を補助する新たな制度を始める。既存の支援制度は大規模農家向けに農機具などを貸与していたが、避難区域の解除が進み、12市町村の農業再生を本格化させるには農家を幅広く後押しする必要があると判断した。
 新たな補助制度はトラクターや田植え機、コンバイン、草刈り機などの機械、パイプハウス、畜舎などを購入する際、費用の4分の3(上限1000万円)まで県が負担する。営農面積や経営規模の制限は設けない。これまでは県が12市町村に国からの補助金を交付し、市町村が農業用機械や設備を農家に貸与してきたが、財源に限りがあるため補助対象は一部の大規模農家などに限られていた。
 このため県は国の財源で基金を新設し、農家全般に直接補助する制度を設けた。32年度まで継続し、総額は69億5000万円、計約8000人の利用を見込んでいる。このうち28年度分として国から8億6874万円の交付を受けた。年明けにも申請受け付けを始める。
 県が新制度を設けたのは、27年度の帰還困難区域を除く12市町村の営農再開農地が26年度と比べ横ばいだった背景がある。農林水産省と県の調査によると、原発事故で営農を休止した農地1万4928ヘクタールのうち、26年度までに再開した農地は2875ヘクタールで全体の19・3%だったが、27年度は2918ヘクタール、19・5%とわずかな増加にとどまった。
 現状では農家が再開のために農業用機械を買い替えようとしても、原発事故の賠償制度では事故時点の資産価値分しか請求できず、買い替える費用は賄えない状況だ。楢葉町の農業男性(63)は営農再開を諦めていないが「機械購入費が足りない」と支援を求める。
 実際に、農水省と県が営農再開の促進に向けた課題を探るため12市町村の認定農業者551人を対象に実施中の個別訪問調査では「行政の既存の営農再開支援では不十分」との回答が多数を占めている。
 県は32年度末までに休止面積の6割を再開させたい考えで、県農林企画課は「避難地域の農業再生には継続的な支援が重要となる。長期的なビジョンを描き、農家の声を反映しながら後押ししていく」としている。

福島民報社

最終更新:10/14(金) 10:38

福島民報

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