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シナプティクス、新たな成長エンジンは車載事業

EE Times Japan 10/14(金) 18:21配信

■ヒューマンマシンインタフェース技術の進化を支える

 Synaptics(シナプティクス)は2016年10月13日、車載システム向けの事業戦略および新製品に関する記者会見を東京都内で開催した。

 同社は、タッチスクリーンコントロール技術や指紋センサー技術で強みを持つ。2014年10月には、中小型表示ドライバーIC技術で強みを持っていたルネサスエスピードライバ(以下、RSP)の買収を完了。RSPが得意としてきた車載システム向けなど、これから成長が期待できる分野に向けて、新技術と新製品の開発を進めてきた。

 シナプティクスでスマートディスプレイ部門のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるKevin Barber氏は会見で、これからの成長を支える柱として「生体認証」「タッチアンドディスプレイ」そして「自動車関連」の3分野を挙げた。

 特に、車載システム向け事業は、同社が成長を持続していくための重要な市場と位置付ける。「自動車の出荷台数は、伸び率がそれほど大きくはない。しかし、自動車に搭載されるヒューマンマシンインタフェース技術は進化し、その需要は拡大する」(Barber氏)と話す。調査会社などの予測によれば、DDIC(Display Driver IC)やタッチスクリーン、コックピットコントロールタッチパッドおよび生体認証用デバイスの市場規模は、2016年から2019年までの年平均成長率で17%増加すると見込まれている。

 1996年当時の自動車には、運転席を中心に大量の操作用ボタンが取り付けられていた。2016年モデルでは、後部座席も含めてタッチパネル付きディスプレイや計器モニターに変更されるなど、さまざまなヒューマンマシンインタフェースが実装されている。

 Barber氏は、「タッチコントローラICとドライバーICを1チップにしたTDDI(Touch and Display Driver Integration)やDDIC、指紋センサーなど、当社のソリューションを提供するチャンスが広がった。その上、当社の強みである統合型ソリューションの提供や質の高い技術が要求されている」と述べた。

 特に最近は、車載システムで指紋認証技術への関心が高まっているという。さらに、民生機器分野で培ってきたAR(拡張現実)や、音声/画像認識、ジェスチャコントロール技術なども、自動運転システムを実現するための要素技術として注目されている。こうした新しいヒューマンマシンインタフェース技術について同社は、民生機器などの用途に向けて製品開発を先行させて、その完成度を高める。その上で、車載システムに向けてタイムリーに製品供給できるよう体制を整えていく考えを示した。

 車載システムには、新たにDDIC「Synaptics ClearView R6A354」を発表した。色補正(CE)やローカルエリアコントラスト自動最適化(LACO)、外光対応補正(SRE)、6軸の色相調整および白色点の独立補正など、さまざまな画像補正技術を内蔵している。ディスプレイの解像度はHDからフルHDまでサポートしており、画面サイズは最大15型に対応することができる。DDICを複数連結すれば大画面にも対応できるという。

■生体認証市場、年平均成長率は52%

 2つ目の成長分野として挙げるのは「生体認証」ソリューションである。指紋センサーを中心とした関連市場は、2016年から2019年までに年平均成長率52%と高い伸びを予測する。その背景には、スマートフォンなどモバイル端末を用いた決済サービスの普及がある。このため同社は、指紋センサーの低コスト化などに取り組むと同時に、より高度なセキュリティを実現する仕組みを提案していく。

 「生体認証の方式として、現在は指紋認証が大半を占めているが、これから音声や顔、虹彩など、さまざまな生体認証技術が用いられることになろう」(Barber氏)と話す。

 同社は、より高度なセキュリティを実現するためのソリューションも用意している。指紋のテンプレートをセンサー側に内蔵した「Match-in-Sensor」機能や、採取した指紋情報が異なる場合に認証を拒否する「PurePrint Anti-spoofing」などである。

 アンダーガラス認証機能に関連する技術ロードマップも示した。最近、厚みが300μm以下のガラスに対応する指紋センサー技術を発表した。今後12カ月以内には厚みが800μm以下のカバーガラスにも対応していく。さらに、24カ月以内を目標にインディスプレイ方式の指紋センサーを提供できるよう開発していることも明らかにした。

■ハイブリッドインセルパネル向けTDDIを投入

 「タッチアンドディスプレイ」事業で高い伸びを期待するのが、TDDIおよびOLED向け製品群である。2019年までにはスマートフォン用LCDパネルの大半にTDDIが採用され、2020年までにはスマートフォン用ディスプレイとして7億枚を超えるOLEDパネルが出荷されるとの予測がある。こうした中で同社は、ハイブリッドインセルパネル向けに最適化したTDDI「TouchView TD4303」を新たに発表した。これによって、同社のTDDI製品はインセルとハイブリッドインセルの両方式をサポートすることになった。新製品はフルHDの解像度に対応し、機能拡張などが可能な統合RAMを内蔵している。

 OLEDパネルに向けては、これまでディスクリートのタッチコントローラを供給してきた。現在、OLED向けのDDICやTDDI、指紋認証機能などの開発投資も行っているという。将来はこれらの機能を統合したOLED向けソリューションを提案していく考えだ。

最終更新:10/14(金) 18:21

EE Times Japan

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