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熊本地震から半年 努力実り安堵の豊作 集落総出で復旧 阿蘇地域

日本農業新聞 10/14(金) 7:00配信

 熊本地震の発生から14日で6カ月を迎える。地割れや水不足で田植えができず、耕作放棄が危ぶまれた阿蘇地域。水田は今、黄金色の稲穂が収穫を待ちわびる。農家が復興の思いを米作りに込め、集落が総出で水路の整備や共同作業に取り組んできた成果だ。地域の収量は前年を超える見通し。半年前には想像できなかった豊作の秋に、農家やJAの営農指導員からは喜びと安堵(あんど)の声が上がる。

米収量 前年超え

 コンバインの音が響く田んぼを眺め、阿蘇市の高藤和代さん(69)は「今までの苦労が報われた」とうれしさをかみしめる。収穫した「コシヒカリ」は、好天に恵まれ、作柄が良い田では10アール当たり480~540キロを記録。例年を上回る勢いだ。

 4月14日と16日を中心とした地震は、地域の農業に大きな被害をもたらした。水源と田んぼを結ぶ用水路は崩壊。揚水ポンプも壊れ、水を引けなくなった。16日未明に起きた震度6強の揺れで、農地には無数の亀裂が走った。発災直後は営農再開の道が見えず、高藤さんは「家族皆で出稼ぎしないとならん」と思い詰めた。

 そこから前に踏み出せたのは、家族の団結と地域の農家の協力があったからだ。息子の俊輔さん(43)は田植えができるようにと地域の仲間と協力し、壊れた用水路を少しずつ修復。5月の集中豪雨にも負けず、何とか田植えができる状態までこぎ着けた。32ヘクタールのうち約8割は、時期を大きくずらさずに植え付けることができた。

仲間のために汗

 自らの営農が再建できなくても、仲間の役に立とうと汗を流した農家もいる。被害が特に深刻だった柳川栄一さん(57)は、水田約2ヘクタールのうち60アールしか作付けできなかった。それでも、今は阿蘇町カントリーエレベーター利用組合員の専属収穫オペレーターとなって約15ヘクタール分の稲刈りを担い、復興を後押しする。「農機が壊れ、作業できない農家は他にもいる。地域農業のため、希望を託したい」との思いからだ。

品質にも太鼓判

 「コシヒカリ」の集荷を終えたJA阿蘇の阿蘇町カントリーエレベーターには晩生品種「森のくまさん」や「ヒノヒカリ」も集まり始めた。集荷は20日ごろまで続く予定だ。JA営農指導員の松野寛さんは「今季は粒の膨らみが良く未熟粒が少ない。Sランクの率が高くなるはず」と太鼓判を押す。「震災からずっと農家の努力を見てきた。今も農地が壊れたままで復旧の見通しが立たない場所もあるが、阿蘇農業は米なしでは成り立たない」と力を込める。

 阿蘇市、南阿蘇村、小国町など1市4町3村を管内とするJAの作付面積は4000ヘクタールで、前年の95%まで回復した。(木原涼子)

日本農業新聞

最終更新:10/14(金) 7:00

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