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原発対岸の住民が「中間貯蔵施設」を誘致 佐賀県

qBiz 西日本新聞経済電子版 10/14(金) 11:36配信

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)に近い同県唐津市鎮西町串地区の住民34人が、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の誘致要望書を8月上旬に市に提出していたことが分かった。市は13日、市議会と九電、県に要望があったことを伝えた。坂井俊之市長は「要望は重く受け止める。県や九電と議論をして検討したい」と述べ、再稼働に反対する住民団体は市に誘致反対を訴えた。

玄海原発再稼働に近隣市長が反対表明 「安全の担保ない」

 使用済み核燃料を巡っては、青森県六ケ所村の再処理工場が未完成で、玄海原発の使用済み核燃料プールも容量の半分以上が埋まっている。九電は昨年11月、プールで冷やす「湿式」より管理が容易な「乾式」の貯蔵施設の設置を敷地内外で検討する方針を示していた。

 串地区は入り江を挟んで玄海原発の北東約500メートルの範囲に位置し、住民は9月末現在255人。要望書は「地区には多くの山林、耕作放棄地があり、有効活用が必要。九電から乾式貯蔵施設設置の要望があれば、協力の準備ができている」とした。

 代表で農家の古舘初美さん(68)は「地区の住民は原発の敷地内に住んでいるのと同じ。地区内の賛成、反対は半々だが、貯蔵施設を耕作放棄地に造れば地域振興になるし、若者の働き場所にもなる」と話した。玄海原発の広報担当者は「要望書を見ておらずコメントできない」としている。

 玄海原発3、4号機は原子力規制委員会の審査が大詰めを迎えている。再稼働に反対する唐津市の住民団体「玄海原発反対からつ事務所」は13日、坂井市長宛てに誘致反対の緊急要請書を提出した。要請書は「国の核燃料サイクル政策は破綻しており、中間貯蔵施設はそのまま半永久の貯蔵施設になる強い恐れがある」としている。

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 唐津市・串地区住民「地域振興にならない」 根強い反対の声も

 九州電力玄海原発(玄海町)の対岸にある唐津市鎮西町串地区の一部住民が、市に使用済み核燃料の中間貯蔵施設誘致を要望していたことが13日に分かった。背景には、農家の高齢化で耕作放棄地が広がる状況を打開し、地域に活気を呼び込みたいとの思いがある。ただ、住民の間からは「地域振興どころか施設の誘致に不安を抱いて出て行ってしまう人がいる」と根強い反対の声も上がっている。

 「かつてミカン畑や野菜畑だったところが何も作られず、やぶになってしまっている」。串地区で2カ月かけて署名を集めて回った代表の古舘初美さん(68)は、地域が荒れていく状況を見かねて誘致要望に乗り出したという。

 市によると、串地区の耕作放棄地は農地の38パーセントに上り、耕作が困難な荒廃地も目立つ。専業農家は野菜苗を栽培している古舘さんのほか、イチゴ農家が5軒ほどあるだけで、担い手不足が深刻。まちおこしで耕作放棄地にユウスゲを植栽しているが、農家の高齢化が進む中、放棄地を減らすのは困難になっている。

 串地区には約70世帯あるが、集めた署名は34人で「地区内にも賛否があり、誘致でまとまっているわけではない。施設ができるかどうかは見通せない」と古舘さんは話す。

 孫2人が県外の大学に進学しているという主婦(70)は「原発が近くにあるだけでも心配。孫には戻ってこない方がいいと話している。施設の誘致で若者をとどめることはできない」と反対する方針。60代の女性も「事故が起きたら、福島のように生活ができなくなってしまう」と語る。

 県には13日、唐津市の岡本憲幸副市長から電話で副島良彦副知事に要望書を受け取ったと連絡があった。

 副島副知事は記者団に「唐津市がどう要望書を受け止めているのかが一番重要。どういう経緯、背景で要望がなされたのかも詳しく聞きたい」と述べ、市側に説明を求めていく考えを示した。

西日本新聞社

最終更新:10/14(金) 11:36

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