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69歳迎えファンと合唱 小田和正「君住む街へ」

カナロコ by 神奈川新聞 10/14(金) 12:30配信

 君住む街へ-。4月に始まった全国24カ所に歌を届けるツアーも終盤を迎えた。四方をファンが囲んだ9月27日、28日の国立代々木競技場第一体育館(東京都渋谷区)では、69歳になったばかりの小田和正に、「お誕生日おめでとう」の声が届けられた。

 9月20日に誕生日を迎え、最初となるコンサート。舞台に続く階段を駆け上がり登場した小田を大歓声が迎えた。アコースティックギターを奏でた1曲目は突き抜けるような青い空を感じさせる「wonderful life」。柔らかく澄んだ歌声に期待が高まっていく。「空の日」(9月20日)に生まれた小田と集まった1万1千人の思いを、ステージのスクリーンに映し出された七色の虹がつないだ。

 歌手活動46年を迎え、オフコース時代と、これまでに発表した楽曲から50曲を3枚組みのベスト盤「あの日 あの時」にまとめた。約3時間に及ぶコンサートの半分は「さよなら」「Yes-No」などオフコースの曲だ。恋人同士や夫婦、親子2代、3代と幅広い層が客席を埋める。それぞれの“あの日”に思いを巡らせながら。

 マイクを手に花道に足を向けた序盤。客席から「お誕生日おめでとう」と声が飛んだ。

 「そこには触れないようにしていたんですけれど。もしかしたらもう70になったと思っている方もいらっしゃるかもしれませんけれど、実は69です。僕の誕生日を記念してみんなに歌ってもらいましょう。何十年もやってきて、『みなさん、歌いましょう』と言うのは、すごい嫌いなんですけど。一緒に歌いましょう」とはにかみ、小田が初めて作詞・作曲をした「僕の贈りもの」を共に歌い始めた。

〈この歌は僕からあなたへの 贈りものです〉
 響く歌声にうれしそうに耳を傾けた。

 ピアノやギターを弾いて、歌うとき以外は、花道を動き回る。歌の合間には、細い花道をダッシュして前進する思いを体で表現する。

 年を重ね、高音が出るかな、と心配するときもあるという。しかし、本番になると歓声が力になる。「あー。出た出たと思う」。思わぬ本音に客席に笑い声がこだました。

 パターン化したステージは見せたくない。ツアーには毎回、新曲を携えてきた。48公演を行う今ツアーは、10月18日、19日に地元、横浜アリーナ(横浜市港北区)でのコンサートを含め、4本を残すのみ。

 「またみんなに聴いてほしいと思う曲ができたときに会いに来る」。終盤、そう約束した。

 「ツアータイトルにもなっている『君住む街へ』を心を込めて歌いたい」

 明日のずっとその先へ-。

 道は、はるか遠くへと続いている。

 東京・青山にある小田のアンテナショップでは9月中旬から、ツアーの写真パネル展示が始まった。ウクレレを持ち笑う姿、木々の緑からそよぐ風を感じられる野外会場…。「小田さんの世界に浸ることができる」と愛され、7月で開業26年を迎えた。

 店内にある来訪者が自由に書き込めるノートには、「60代最後の1年を大いに楽しんで」「小田さんの歌声は宝物です」などの応援や「同じ時代に生きていて良かった」という感謝の言葉が並ぶ。闘病中、歌声に支えられたという50代の女性は「ライブへの参戦意欲が私の生きる力になった」とあふれる思いを記した。ノートは133冊目を数える。

 横浜市青葉区から訪れていた50代の女性は「仕事や人間関係に疲れたとき、ここに来ます。ノートをながめると、一人じゃないと励まされる。(店内のテレビで)小田さんの歌う姿、走る様子を見ていると、『負けていられない』と元気ももらえて。恋に悩んだとき、結婚、出産、子どもたちの巣立ち。私の人生には、いつも小田さんの声が寄り添ってくれた。心に栄養を与え続けてくれる。いつまでも元気で歌い続けてほしい」と思いを込めた。

最終更新:10/14(金) 12:30

カナロコ by 神奈川新聞