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「逃げ遅れゼロ」5年で 多摩・鶴見・相模川の大洪水対策

カナロコ by 神奈川新聞 10/14(金) 22:54配信

 1級河川の多摩川、鶴見川、相模川とその支流で想定される大規模洪水の被害軽減に向け、今後5年間で国や自治体が進める対策が13日、固まった。県内の流域7市町のうち、横浜、川崎両市は、国が今夏に公表した最悪ケースの浸水予測に基づいた新たなハザードマップを2017年度中に作製。各市町は氾濫の恐れが小さい近隣自治体への広域避難も検討するが、移動手段の確保など難しさを指摘する声もあり、打ち出された対策の実現には課題も多い。

 3水系を中心的に管理する国土交通省京浜河川事務所は同日、東京都や神奈川県を含む各河川の流域自治体との減災対策専門部会を開催。国、都県、市町がそれぞれ5年間で取り組む対策を決定した。「逃げ遅れゼロ」と「社会経済被害の最小化」を全体に通じる目標に掲げている。

 災害時に住民らの避難対応を担う市や町にとっては、避難勧告や避難指示などの速やかな発令が大きな課題。8月の台風10号や昨年9月の関東・東北豪雨では、住民らの逃げ遅れが被害拡大の要因となり、岩手県岩泉町や茨城県常総市の判断が問われた。

 そのため、河川の水位や気象警報などの状況に応じて取るべき対応を時系列で定めるタイムラインの作成や活用を進める。実際の運用をにらみ、避難勧告などの発令を判断する首長らも参加した訓練を実施していく。

 過去に例がない激しい雨で洪水が起きた場合の浸水範囲や浸水深(浸水時の水位)、避難方法などを住民に知らせる新たなハザードマップについては、川崎市が「川崎区と幸区のマップ作製に先行して取り組み、17年度には公表する」方針だ。横浜市も「17年度のなるべく早い時期」を予定している。平塚市など他の市町も17年度以降に順次、取り組むことにしている。

 一方、国が大都市河川の流域での導入に向けて検討を始めた広域避難は、慎重な姿勢を見せる自治体が多い。川崎市は「多摩川と鶴見川に挟まれており、広域避難は困難。当面は検討せず、高層ビルなども含めた上階への垂直避難の方が有効」と判断。藤沢市も「現状では、市内の浸水区域外の避難場所への避難を想定している」という。

 また、大規模水害が各地で発生する中、地域や学校で水害対策への意識や避難の必要性を伝えることも重要なテーマと位置付けており、県は小中学校教員向けの研修に力を入れる。

 氾濫をある程度防ぎ、浸水までの時間を稼ぐための施設対策に関しては、「3河川の堤防整備はほぼ完了しているものの、一部で高さや幅が不足している」(京浜河川事務所)現状を踏まえ、同事務所が5年間で優先して取り組む箇所を見極めながら進めることにしている。

 同事務所が公表した多摩川、鶴見川、相模川の最大級の洪水浸水では、横浜、川崎、平塚、藤沢、茅ケ崎の5市と、寒川、大磯の2町で浸水が見込まれる。多摩川下流では、あふれた水が引くまでに4週間以上かかる地域があり、鶴見川流域の横浜市港北区では浸水深が10メートル以上、相模川流域では局所的に7メートル超と予想された。

最終更新:10/14(金) 22:54

カナロコ by 神奈川新聞