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「無鉛釉薬」の美広がれ 芸術院会員・武腰さん、初の陶壁

北國新聞社 10/14(金) 2:32配信

 日本芸術院会員で陶芸家の武腰敏昭さん(76)=能美市寺井町=は、約10年前から研究を進めてきた「無鉛釉薬(ゆうやく)」で仕上げた陶壁を初めて制作した。同市内の会社に飾られた大作は、伝統的な有鉛釉薬をしのぐ発色を実現させているという。武腰さんは「九谷焼の特長の一つである色合いが良くなっている」と強調し、九谷焼の魅力発信に意欲を見せている。

 陶壁「無鉛釉 王鳥(おうちょう)」は高さ1・4メートル、幅3メートルで、陶板21枚を組み合わせた。架空の鳥「王鳥」が朝日に向かって羽ばたく様子をダイナミックに描いた。王鳥は九谷五彩の一つである紺(こん)青(じょう)を主に使い、赤色の朝日を添えて色彩と構図のバランスが整った自信作となっている。

 九谷焼の伝統的な釉薬は鉛を含み、溶け出すと人体や生態系に被害を及ぼすことが懸念される。石川県工業試験場九谷焼技術センター(小松市)が開発した無鉛釉薬は当初、発色が通常の釉薬に劣ったが、武腰さんは「改良により、通常の釉薬よりも色がきれいになり、はがれ落ちることも減った」と自信を見せる。

 陶壁は東振精機(能美市)が創業60周年記念事業として制作を依頼した。武腰さんは、寺井地区の地場産業である九谷焼を通じて地域発展に貢献しようと快諾した。陶壁は当初、会議室に設置する予定だったが、多くの来客者や社員に身近に感じてもらおうと、玄関に飾った。

 武腰さんは金沢学院大名誉教授でもあり、教員や学生たちへの指導を通じて無鉛釉薬の普及に取り組んでいる。武腰さんは「環境に優しい無鉛釉薬で制作した九谷焼の美しさを知ってもらいたい」と話した。

北國新聞社

最終更新:10/14(金) 2:32

北國新聞社