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JR九州上場、初値はいくら? 上場後の株価予想

ZUU online 10/15(土) 12:10配信

九州旅客鉄道(JR九州) <9142> が2016年10月25日に上場する。2016年のIPOとしては、7月のLINE <3938> につぐ2番目の規模となる。国の保有株の売り出しとしては昨年11月の郵政3社以来だ。残念ながら郵政3社の株価は上場時の高値から大きく下落したままだ。今回のJR九州のIPOの初値の株価予想をしてみよう。

■JR九州、17日条件決定、26日東証1部に上場見込み

JR九州 <9142> の上場は、9月15日に東京証券取引所に上場承認された。鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有する保有するJR九州の1億6000万株を全株売り出す。

10月6日には、IPO売り出しのための仮条件が1株あたり2400~2600円で決まった。おそらく上限価格の2600円で公募価格が決まる可能性が高いだろう。仮条件の上限から算出した時価総額は4160億円になる。14日までが証券会社ごとに需要を積み上げるブックビル期間で17日には売り出し価格の条件が決定する。正式には条件決定を待って上場市場が決められるが、東証1部になる公算が強いだろう。

主幹事証券は、国内売り出し分は野村証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券、SMBC日興証券の4社がつとめる。SMBC日興証券を除く3社は海外売り出し分のグローバルコーディネーターも担当する。その他63社が取り扱い証券に入っており、発行済み株式も多いので比較的公募株は手に入れやすくなるのではないだろうか?

■政府保有のJR九州株の売り出しはどうなる?

JR九州の一番の魅力は、知名度も高く政府保有株の売り出しであるため堅調なIPOが予想されることだ。政府保有株の売り出しでは、ほとんど初値が公募価格を上回っている。今まで1987年のNTT以降10社あり9勝1敗だ。公募価格割れとなったのは唯一1994年のJT <2914> だけだ。

知名度が高く、はじめての株式投資で参加する投資家も多く、長期保有の投資家が多いからだろう。また、大きなディールであるため、幹事証券がメンツをかけて成功させるとの都市伝説も存在する。

昨年上場の郵政3社は、確かに現在値は初値から大きく沈んでいる。ただIPO時は公募価格を大きく上回る堅調なIPOだった。日本郵政 <6178> の初値は公募価格を17%、ゆうちょ銀 <7182> は16%、かんぽ生命 <7181> は33%も上回った。新興市場のIPOのように何倍にもなることはあり得ないが、初値が大きく公募価格を割ることも想定しづらいというのが一般的な見方だ。

■JR九州、割高感はなく配当利回り・株主優待に魅力

JR九州は配当利回り、株主優待も魅力的で長期投資のターゲットになりやすいのも魅力の一つだ。

JR九州の本業である鉄道事業は赤字であり大きな成長を見込むことは難しいが、他のJR各社と同様に駅周辺のホテル、マンション開発などの不動産事業や、駅ビルや駅ナカでの小売業、JRを利用した旅行業の拡大などの可能性がある。すでに、分譲マンションのMJR、賃貸マンションのRJR、駅ビルのアミュプラザ、ドラッグストアのドラッグイレブン、ホテルのJR九州ホテルといった多角経営をすすめている。商業施設では、本社がある博多駅前にアミュプラザ博多が2011年にオープン、2016年にはKITTE博多(博多マルイ)が開業するなど話題にもなっている。

JR九州の前期の非鉄道事業売上は419億円と鉄道事業の1692億円の25%程度だ。多角化で先行するJR東日本 <9020> は非鉄道事業売上が鉄道事業の68%まで達している。JR九州は、JR東日本に比べ人口圏が少ないという限界もあるのかもしれないが、伸びしろがあるのとも言えるだろう。

仮条件の上限2600円で計算した今期の予想PERは11倍程度。ほぼ他の上場JR各社と同レベルだ。今期予想の配当から計算した配当利回りは2.9%程度になる。配当狙いの投資家にとっては悪くないレベルだろう。

株主優待は、JR九州の鉄道料金が5割引になる「鉄道株主優待券」が1000株未満までの株主に対し100株ごとに1枚与えられる。また系列のホテルや施設で割引となる「JR九州グループ株主優待券」は100株以上の株主が一律5枚もらえる。博多から鹿児島まで新幹線の指定席を利用して移動すると、電車賃は片道で1万450円。株主優待券を利用するとその半額となる。JR九州を利用する人にとっては魅力的だろう。

■ずばり「JR九州」の初値と上場後の株価推移

過去のJRの上場を振り返ってみよう。1993年10月のJR東日本 <9020> は、初値が58%と大幅に上昇。1996年10月のJR西日本 <9021> は1%高、1997年10月のJR東海 <9022> は2%高だった。ただ初値に比べて、現在の株価は各社とも大きく上昇している。したがって印象は郵政3社よりは悪くない。

ずばり予想しよう。IPOの初値、特に大型株は日経平均の足下の状況や先高感がに左右されがちだ。とくにJR系の場合すでに上場会社が3社もあり3社が下がっているのに、九州だけが上がるとは考えづらい。現在のJR東日本、JR西日本の株価は、2015年8月の史上最高値から今年8月安値まで下げたあとの反発局面だといえるだろう。 JR東海はリニアの材料があるため、値動きは違っている。上場日まで、日経平均株価やJR東日本や西日本が堅調に株価を維持しているならば、JR九州は2650円から2700円どころが初値となりそうだ。

また、JR九州はTOPIXに採用される。JR東、西、東海は日経平均採用銘柄であり、九州も将来採用される可能性もある。時価総額がある程度大きい東証1部直接上場銘柄は、日経平均やTOPIXといった指数に連動するファンドを運用するパッシブ投資家の需要が出てくる場合が多い。

郵政3社の時もTOPIXや外人が日本株の指数として重視しているMSCIやFTSEの日本株指数に組み入れられたことで、初値後思いのほか人気化した。同じようなことが起こりうるかもしれない。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:10/15(土) 12:10

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九州旅客鉄道9142
3020円、前日比+52円 - 12/5(月) 15:00

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LINE3938
4215円、前日比-185円 - 12/5(月) 15:00

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JT2914
3818円、前日比-26円 - 12/5(月) 15:00