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気管切開した声楽家の美しい歌声 生徒に「諦めない」大切さ伝える

両丹日日新聞 10/15(土) 8:00配信

 福知山市野花の川口中学校(小島一英校長、67人)で11日、気管切開をして声を失ったものの、器具をつけて語ったり歌ったりできるよう努力を重ねた声楽家、青野浩美さん(33)の講演があった。諦めないことの大切さを伝えるとともに、高くのびやかな歌声を披露。生徒らは、思いのこもった歌に静かに聴き入った。

 人権学習の一環として、同校が企画した。全校生徒のほか、保護者や地域の人も訪れた。

 京都市生まれの青野さんは同志社女子大の声楽コースを卒業後、声楽家をめざして研さんしていた。しかし23歳のときに原因不明の難病に倒れ、一時は寝たきりの状態となった。その後、車いすに乗って身の回りのことができるまでリハビリに取り組んだ。

 やがて、呼吸ができなくなる発作も起き始め、生きるために気管切開をして、呼吸器(カニューレ)をつける必要に迫られた。人前で歌を歌いたいという思いは消えない。しかし、切開をすれば声を失って、二度と歌えないかもしれない。苦しんだが、「命があれば何とかなる」と友人が叱ってくれたことで決心がついた。

「前例なければ作ればいい」

 切開後にカニューレを付けて歌えるようになった前例はない。医師にそう言われたが、自分に合うスピーチカニューレを諦めずに試し、話し、歌う方法を身に着けていった。今では講演や舞台のために全国を回り、多くの人に勇気と希望を届けている。

 青野さんは「前例がなければ作ればいい」と題して講演。「自分にしかできない今の仕事に誇りを持っている」と話し、生徒たちに「いろいろなことを諦めず頑張って」と伝えた。

 話の合間には、一緒に来校した母親の演奏にのせて美しい歌声を響かせ、会場からは拍手が沸き起こった。

両丹日日新聞社

最終更新:10/15(土) 8:00

両丹日日新聞