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静岡県 外国人子ども支援員養成講座 来日児童生徒をどう受け止めるか (6) 多様なあり方を認める社会に

ニッケイ新聞 10/15(土) 6:03配信

(ブラジル邦字紙「ニッケイ新聞」15日付)



 一言で「支援が必要」と言っても、来日したばかりの子供だけを指すのではない。日本で生まれ育って日常会話に支障がなくても、学年相当の言語能力が不足し、支援が必要な場合もある。


 その場合、日本語能力の不足だけが課題なのか、母語での認識能力がその水準まで達していないことが原因なのかなど、複数の面から考慮しなくてはならない。そしてこの支援には知識や経験が必要だ。

 また、国や県からの「すべての外国籍の子どもを就学させよう」という呼びかけに応じて、「何が何でも学校にいればよい」「授業についていくことが最終目標」としてしまっては、複数のルーツや多言語という利点を無視することにならないだろうか。


 三島市で支援団体「casa de amigos」(カサ・デ・アミーゴス)を運営する高原静子さんに話を聞いた。同団体は1990年から食料支援や生活・労働相談なども行っている。毎週土曜に市内のカトリック教会でミサが行われた後、子供たちに学習の場を提供している。教会であれば学区も市町も関係ない。カサ・デ・アミーゴスの勉強会は国籍、教会の信者かどうかも関係ない。この日は県を超えた山梨からも勉強会に参加する児童がいた。

 「学校に行かないと仕事がないよ、だから行きなさい、と子供に言う人もいるけど、そんな言い方は悲しい。その子にあわせて能力を伸ばしてあげたい。学校の授業のためでも、大学や仕事のためでもない。その子が生き生きと生きていくために」と高原さんは話す。

 支援員講座の目的を考えながら、「子供の未来のための支援なのに、どうして学校の型にはめなくてはいけないのだろう」と思うことがあった。学校と支援員の間に隙間があるとしたら、それは「子供のための支援か」と「学校の潤滑な授業のための手伝いか」という認識の違いがあるからではないだろうか。

 記者自身も夫の仕事の関係で、家族で4年間エクアドルに滞在し、帰国してから1年半が経つ。エクアドル滞在中は、娘たちの日本語とスペイン語のちゃんぽんに苦笑したり、日本の教育から日々遅れているだろうと焦ったりしつつも、スペイン語をもう一つの言語として獲得することや、先生や同級生とかけがえのない友情を育むこと、何より自分の存在に誇りを持って多様な価値観を身に着けてくれることがとても嬉しかった。

 それはエクアドルの文化や教育が、外国人であることを祝福してくれるかのように、多様であることが当たり前だったから感じられたのだと思う。多様なあり方を社会が認めてくれる環境が、娘たちに自信を持たせてくれた。それが、彼女たちが言葉の壁を乗り越えるための大きな助けの一つだったと確信している。

 ところが日本に帰国すると、多様であることは厄介扱いされるのだという現実をつきつけられた。
(静岡県発=秋山郁美通信員)

最終更新:10/15(土) 6:03

ニッケイ新聞

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