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静岡県 外国人子ども支援員養成講座 来日児童生徒をどう受け止めるか (5) 頼もしいボランティアの広がり

ニッケイ新聞 10/15(土) 6:03配信

(ブラジル邦字紙「ニッケイ新聞」14日付け)



 支援未経験で受講した外国人のある参加者は、「実際にやってみないとわからないけど、自分の言葉を使って助けてあげられたらうれしい」と感想を話した。
 すでに支援員として活動している参加者からは「とても参考になった」「あの時はこうすればよかったのかと考えさせられた」「紹介された方法や教材を取り入れてみたい」と講義の内容を評価する声が多かった。


 その一方、「経験しなければ意味がないのに、これで終わりなのか」「人材バンクに登録されてもすぐに呼ばれるかどうかわからない。あとは市町と個人でやりとりしてくれ、というのは投げやり」「すでに支援員登録制度がある市町が県の人材バンクに依頼すると思えない」「県から紹介されても、市町によって手当の有無が違うのでは不公平」と講座後の対応に疑問を持つ声も聞かれた。

 ほとんどの受講者が何らかの形ですでに外国につながる子供たちに携わっており、個人的に横の繋がりがある人ばかり。いくつもの団体や場所で支援活動をしている人もおり、網の目のようになった繋がりは『まさに公的支援で漏れる子供たちを受け止めるネット』だ。

 実際、この地域で日本語ボランティア活動をする団体や個人を結ぶ、「静岡県東部日本語ネット」(相田孝光代表)という交流・情報交換の会があり、定期的に報告会や研修会を行っている。

 講座でも、各市町の教育委員や学校関係者が一緒に参加して、議論できるような時間があればよかったのではないだろうか。

 支援員講座と言っても、受講者の立場は様々だ。

 普段は市役所の外国人生活相談員をする日系ペルー人の原ケイラさんは「必要な支援は日本語だけじゃないから難しい」と、自身の育児と、相談員としての経験を踏まえて話した。

 「いくら子供に勉強の支援があって、親も一緒に日本語や日本の習慣を勉強していかないと。土日や放課後に学習支援をしてくれても、そこに親が送り迎えするだけじゃなかなか変わらない。親も一緒にどうやって日本で勉強するかということを学ぶ機会が必要」と親の姿勢に注目する。さらに、23歳の長女と3歳の二女の今とでは、日本の子育て環境が変わっていると指摘する。

 「昔は近所の幼稚園に入れる子が多かったが、今はこの辺でも私立に行かせる家庭が増え、そのくらいの年から習い事も始める。親も子供も忙しい。外国人もそれを真似して、仕事で忙しいのにさらに忙しい」と親子のコミュニケーションの時間がなおざりにされる現状に警鐘を鳴らす。


 県からスーパーバイザーとして東部・伊豆地区の学校へ支援に入っている日系ブラジル人の木下須磨さんは、「支援員の立場としては、子供の味方になったり親に働きかけたりしながら、何が正解なのかなと思うこともある。けれど、やはり学校からの指示の通りに動かなくてはいけない。それ以外のことは基本的にはしてはいけない」とし、「私も二世で、ブラジルでこどものとき苦労したことを覚えていて気持ちがわかる。どこかもどかしさもある」と話した。

 学校やいくつかの団体で掛け持ちの学習指導をする野澤洋子さんは、「外国から来た子は一つ下の学年に入れてあげるとか、柔軟な対応をしてほしいけど、日本は年齢で決まっちゃうのよね。それから最近は学校から普通の日本人の学習支援に呼ばれることもある。日本人だって学校でうまくいかない子はいる。何か全体的な仕組みがうまくいってない」と教育全体に疑問を投げる。
(静岡県発=秋山郁美通信員)

最終更新:10/15(土) 6:03

ニッケイ新聞