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「@cosme」に何が起きた!? アイスタイルの株価迷走の背景を探る

ZUU online 10/16(日) 17:10配信

@cosme(アットコスメ)ーー男性には知名度は低いかもしれないが、女性ならご存知の人も多いのではないだろうか。20代から30代の女性をターゲットにしたコスメ・美容の人気ポータルサイトだ。

そのサイトを運営している会社がアイスタイル <3660> だ。1999年のサイト開設以来、順調に拡大路線を歩んできた同社だが、今期は大幅減益予想を発表、株価は急落した。

アイスタイルに何が起きたのか? 同社の株価が迷走した背景を振り返ってみよう。

■ @cosmeは「コスメ・美容」で圧倒的なリーチ力

@cosme は日本最大のコスメ・美容のポータルサイトで、2016年6月の月間ユニークユーザー数は1380万人に達している。メンバー数は370万人に達し、登録ブランドは約3万ブランド、登録商品数は約27万商品とこの分野では他を凌駕している。過去5年で月間アクティブユーザー数(MAU)は1424万人と2.6倍に拡大している。

@cosme のサイト利用者は71%が「20代から30代の女性」とされている。つまり、月間ユニークユーザーが1380万人ということは、国内の20代から30代の女性の約半数が毎月利用していることになる。

この分野で競合会社が存在しないことも、@cosme の強みといえる。女性がインターネットを使うことが一般的でなかった黎明期から化粧品の口コミをデータベース化してきており、Amazon や楽天でもこの分野で追随するのは難しいとの見方もある。そのデータ資産こそが同社の優位性なのだ。

1999年に口コミサイトとして始まった @cosme は、「気になる化粧品はまずネットで口コミの評価をチェックする」といった女性の新しい消費行動を生み出したのである。

■アイスタイルは駆け足で成長、2015年には「テンバガー」も

アイスタイルは1999年に設立し、口コミサイトの @cosme をオープン。その後モバイルサイト、ECサイトの開設を経て、ポータルサイトへの拡大発展、さらに美容サイトの開設と順調に拡大してきた。

2012年3月には会社設立13年目にして東証マザーズにIPOを果たし、8カ月後の同11月に東証1部に指定替えする躍進をみせた。

同社の収益の柱は、@cosme に掲載する化粧品メーカーからの広告収入だ。コスメ・美容分野において圧倒的なリーチ力を持つため、大手化粧品メーカーにとっても商品訴求の重要なポータルサイトとなっている。

広告収入をメインとするマーケティング事業部門の2016年6月期の売上は約52億円。アイスタイルの売上構成で37%、営業利益ベースでは57%を占めるまさに同社の大黒柱となっている。売上構成では、主力の @cosme の他には、実店舗「@cosme store」の運営、ECサイト運営、美容サロン検索サイト ispot の運営などがある。

株価が10倍になる銘柄を「テンバガー」という。多くの株式投資家にとって、テンバガーを保有することは夢だ。アイスタイルは2015年12月に1240円の高値をつけた。2014年末の株価が123円なので、2015年には年間で夢のテンバガーを達成したことになる。

■波紋を呼ぶアイスタイルの今期減益予想

今年8月3日に発表したアイスタイルの2016年6月期決算は、売上48%増の約143億円、本業の利益を示す営業利益が2.7倍の約18億円だった。これを見る限り、ピカピカの申し分ない実績である。

ところが、2017年6月期の予想については、売上30%増の186億円と高い伸びを見込んでいるものの、営業利益は17%減の15億円と2桁の減益予想を出してきたのだ。「@cosmeも市場成熟か?」「アイスタイルの迷走か?」と市場で話題となり、同日行われた決算説明会の会場はアナリストや機関投資家で埋め尽くされた。

説明会では、今期の営業減益要因は、新規事業への先行投資で3.5億円、本社オフィスの増床で2.3億円の減益要因になるとしており、あくまで中長期を見据えた減益予想ということだった。しかし、高成長期はそういった投資も吸収して「高成長が続く」ものだとの思いも市場には根強い。

■海外への本格的進出も視野に入れる

アイスタイルの株価をみてみよう。同社は好決算期待が高く、決算発表前日の8月2日には年初来高値の992円をつけていた。それだけに、今期の減益予想への失望は大きく、8月4日には16%安と暴落した。さらに8月9日まで4日連続の大幅下落となり、658円の安値まで売られた。わずか5営業日で34%の暴落である。その後株価は反転したもののまだ決算発表前の水準には届いていない。

同社は、決算発表と同時に2020年までの中期経営計画も発表している。2020年の目標は売上500億円、営業利益70億円だ。売上は平均35%増ペース。一人あたりの営業利益は1.8倍となる見込みで生産性が大幅に向上する。

その戦略としては、@cosmeを基盤とした収益構造の強化、化粧品小売店に続く美容関連事業への新規進出、海外への本格的進出を掲げている。日本で確固たる地位を築いた同社は、次のステージとして世界一のコスメ・美容サイトを目指すようだ。

これまで順調に成長してきた同社であるが、そろそろ軸足をWebベースから移さないと成長できない時期に来ているのかもしれない。アイスタイルは、いままでのような高成長を続けられるのだろうか? 今後を見守りたい。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:10/16(日) 17:10

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