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故タイ国王に謁見、当時を振り返る 福井市男性、威厳と人柄しのぶ

福井新聞ONLINE 10/16(日) 8:14配信

 13日死去したタイのプミポン国王に1998年に謁見(えっけん)した男性が福井市にいる。王室から贈られた香炉を今も大切に保管している。言葉こそ交わさなかったが、「威厳とともに、あれだけ国民に慕われている人柄が感じられた」としのんだ。

 この男性は、同市照手2丁目で茶道具店を営む高木治さん(90)。21年間にわたって民生委員を務め、市民生児童委員協議会連合会長や県民生委員児童委員協議会長などを歴任した。全国の社会福祉関係者約30人の研修団の一員として98年、タイ政府の招きで現地を訪れた。

 約1週間の滞在中、王族の1人と懇談する機会があった。副団長を務めた高木さんが社協や民生委員などの仕組み、生活困窮者や障害のある人に対する支援について説明し、福井から持参した竹人形を贈った。

 王族から日本の社会福祉関係者の訪問があったことを聞いた国王が興味を持ち、高木さんが後日に謁見を許された。水晶や金細工で飾られた王宮の一室で頭を下げて待っていると、10メートルほど離れた扉が開いて、国王が数分間姿を見せたという。「恐れ多くてあまり前を見ることができなかったが、丸顔で日本人と変わらない印象だった。金色の服や装飾品を身に着け、立派な姿だった」と記憶をたどった。

 帰国直前に「国王からの贈り物」として、高さ約15センチの華やかな香炉が宿泊先のホテルに届いた。ガラスケースに入れたまま自宅の応接室に飾っている。高木さんは「当時のタイはとても治安が良く、まちで会う人はみんな手を合わせてあいさつしてくれた」と振り返り、「その人たちが(国王の死去で)嘆き悲しんでいると思うと切ない」と思いやった。

最終更新:10/16(日) 8:14

福井新聞ONLINE