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佐賀県原子力防災訓練「本気度」どこまで

佐賀新聞 10/16(日) 10:42配信

放射性物質の「見えない危機」意識に課題

 「実際の原発事故に対応できるのか」-。そんな声が各地で聞かれた10日の佐賀県原子力防災訓練。玄海原発(東松浦郡玄海町)の重大事故と地震との複合災害を想定したが、限られた時間の訓練で、行政や施設側はどの程度まで本番に近づけた対応をし、参加する住民に「本気度」を求めるのか、模索している。放射性物質の「見えない危機」に対する意識を高めることも課題として浮かび上がる。

■避難

 家屋倒壊を想定した伊万里市の大坪公民館での訓練で、自家用車で避難したのは市職員だった。自家用車は事故時の補償がないが、市職員なら公務災害が適用できるという。担当者は「訓練中の事故を考えると一般の市民というわけにはいかない」と苦渋の表情を浮かべた。

 東松浦郡玄海町で諸浦地区の住民約40人が参加した同様の訓練で県は、放射性物質を極力浴びないよう雨がっぱを準備した。役場の玄関からバスに乗るまでの数十メートルは外気に触れ、事故時は放射性物質が飛散している可能性がある。住民は長袖を着ていたが、雨がっぱを着用したのは1人だけ。役場を出る直前、着用徹底の指示はなかった。

■安定ヨウ素剤配布

 安定ヨウ素剤は、事前配布では医師の立ち会いなどが必要になるが、緊急時は国の指示を受けて市町の職員でも配ることができる。職員は口頭で概要を説明し、丸薬に見立てたあめ玉を配った。住民から「ヨウ素剤にアレルギーがある人は返却するよう言われたが、自分の体質が分かる人がいるのか」と疑問の声が上がった。持病を持つ女性は自らの薬との飲み合わせを気にし「やっぱり事前に説明してほしい」と求めた。

■放射線防護

 玄海原発から直線で約2キロの位置にある特別養護老人ホーム「玄海園」では放射線防護に課題が残った。

 要援護者役を避難車両に乗車させる際の約30分間、玄関の自動ドアはほぼ開いた状態だった。本来なら放射線防護用のテントを設置するが、組み立てるのに40分近くかかり、県の訓練では使っていないという。スケジュールに合わせて多くの作業を省かざるを得ない状況も垣間見えた。

■スクリーニング

 県の防災計画では、避難車両などの被ばく状況をチェックする場所を県内7カ所としているが、通過する車両の被ばくをチェックするゲートモニターは4台にとどまる。来年度の購入を検討しているが、再稼働に間に合うかどうかは分からない。スクリーニングの場所も増やす方針だが、公共施設は避難所になっている場合も多い。民間の敷地は「風評被害」を懸念する声があり、なかなか選定できないのが実情だ。

最終更新:10/16(日) 10:42

佐賀新聞