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炊飯器の複雑な組み付け工程をロボ化 日立アプライアンスのチャレンジ続く

日刊工業新聞電子版 10/16(日) 18:30配信

安全柵の撤去も視野に

 日立アプライアンス(東京都港区、二宮隆典社長)の多賀事業所(茨城県日立市)は、東京ドームの約7.5倍、40万平方メートルの敷地内に電子レンジ、洗濯機など家電製品や照明類の生産工場が50棟以上立ち並ぶ。現在、家電の組み立て工程は人手や自動機によるセル生産が主流。そこにロボットを活用して生産性を高める取り組みを進めている。

■生産効率アップ
 「複雑な工程で難しいと思っていたが、生産効率を高めるためにロボットを導入したかった」。家電・環境機器事業部多賀家電本部生産技術部の鈴木法義主任技師はセル工程へのロボット導入の狙いをこう話す。同社は2015年、炊飯器組み立て工程での内ブタのネジ締め、部品組み付けをロボットと周辺装置により自動化した。垂直多関節ロボット2台と水平多関節(スカラ)ロボット1台、部品供給装置、治具を組み合わせている。

 垂直多関節ロボット1台とリニアシリンダーが連動しつつ樹脂部品を内ブタに組み付け、スカラロボットがネジを締め、もう1台の垂直多関節ロボットが別の部品をフタに組み付ける。樹脂部品は斜めに内ブタへ差し込み、角度を変えて押し込む。人間でも手間のかかる工程で、従来は2人の作業者で行っていた。

 ロボット導入で2人の作業者が別の工程に従事できるようになったほか「ネジ締め力の安定など品質向上にも貢献した」(鈴木主任技師)という。

■試行錯誤
 ロボットシステム構築は「想定したより手間がかかった」(同)という。当初は1台のロボットで済むと考えていたが、試行錯誤するうちに大がかりな仕組みになってしまった。同社の場合はノウハウや人材がそろっていたため何とか実現したが、知識や技術なしで組み付け作業のロボット化は難しいかもしれないという。それでも、「ロボット化は生産効率と品質を高めるために必須」(同)と考えている。

■人との協調意識
 検査工程でも2014年に多軸ロボットを採用した。炊飯器は組み立て後、通電してから内釜を取り出して検査する作業がある。その際、従来は厚手の手袋をはめて80度Cの熱い内釜をつかんでいた。この工程にロボットを導入。ボタンを押してフタを空け、内釜を吸着ハンドでつかみ、外す。工場の安全規格上ロボットの周りに柵があるが、生産技術部の柳瀬誠治統括主任技師は「使っている多軸ロボットは人との協調を意識している。動きも遅く、周りに抵抗感を与えない」とチャンスがあれば柵を取り除くことも可能という。

 今後は、新製品投入の機会などを利用してロボットによる組み付け工程を炊飯器の多くの機種で適用できるようにしていく。洗濯機や掃除機の組み付けでもロボット導入に挑んでいく考えだ。

最終更新:10/17(月) 12:11

日刊工業新聞電子版