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吉田鋼太郎さん“彩の国シェイクスピア”芸術監督に 蜷川さんが指名

埼玉新聞 10/16(日) 10:30配信

 彩の国さいたま芸術劇場(埼玉県さいたま市中央区)を運営する県芸術文化振興財団は15日、都内で会見を開き、俳優で演出家の吉田鋼太郎さん(57)が同日付で「彩の国シェイクスピア・シリーズ」の芸術監督に就任すると発表した。5月に死去した川口市出身の演出家蜷川幸雄さん(享年80歳)の後任。吉田さんは「蜷川さんの遺志を受け継ぎたい。蜷川さんの血と、僕の血の両方を融合して演出できれば」と意欲を語った。就任の第1弾プログラムは同劇場で来年12月に上演する「アテネのタイモン」で、吉田さんが演出・主演を務める。

 同シリーズはシェークスピア戯曲37作品の上演を目指し、1998年にスタート。蜷川さんは32作品の演出・監修を手掛け、観客約34万人を動員。英国など海外4カ国6都市で上演するなど世界的な評価も高い「演劇界の宝物」だ。吉田さんは未上演の5作品で芸術監督を務める。

 吉田さんは同シリーズの「タイタス・アンドロニカス」(2004年)で主演に抜擢されて以降、12作品に出演する日本を代表するシェークスピア俳優。会見に出席した同財団の竹内文則理事長は、今年4月、病床の蜷川さんから「鋼太郎が(シリーズの)残りをやってくれるなら本当に安心なんだがなあ」との遺言を託されたことが就任のきっかけになったと明かした。

 「世界のニナガワ」からバトンを受け取った吉田さんは「残り5作品は地味なものばかりで、それが逆に燃えてしまう。蜷川さんなら『こうするだろうな』という演出に、俺がやりたいことを混ぜ合わせ、新しい作品を作りたい。埼玉に行けば面白いシェークスピアが見られると言われるよう努力する」と語った。

 蜷川さんは06年からダンス、音楽を含めた同劇場全体の芸術監督を務め、高齢者演劇集団「さいたまゴールド・シアター」、若手演劇集団「さいたまネクスト・シアター」を立ち上げた。両団体は作品ごとに外部の演出家を呼んで活動を継続するが、吉田さんは関わらない。竹内理事長は「多忙な吉田さんがゴールド・シアターを手掛けるのは不可能なのでそこは切り離した。まず蜷川レガシー(遺産)をしっかりと受け継いだのちに劇場全体の新芸術監督を迎えたい」と話した。

最終更新:10/16(日) 10:30

埼玉新聞