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【辻にぃ見聞】ニューヒロイン松森彩夏は天性のショットメーカー

ゴルフ情報ALBA.Net 10/17(月) 19:41配信

プロ4年目の松森彩夏のツアー初優勝で幕を閉じた「富士通レディース」。松森は初日こそイーブンパーだったものの、2日目に自己ベストスコアとなる“64”を叩きだして最終組に入ると、最終日も4つスコアを伸ばして笠りつ子、堀琴音との1打差をひっくり返して初のタイトルを引き寄せた。ゴルフ界のニューヒロインを“天性のショットメーカー”と評するのが、上田桃子らを指導するツアープロコーチの辻村明志(つじむら・はるゆき)氏だ。ジュニア時代から松森を知る存在の一人が語る、新星の強さとは。

優勝カップを手に笑顔を見せる松森彩夏

■スイングで悩んだことがない?
「まず、僕は彼女のスイングは日本一だと思っています。イ・ボミプロやアン・ソンジュプロにはまだまだショットの精度ではおよびませんが、スイングの美しさは二人の上をいく日本一だと思います。スイングの円に“角”もなければ“つまり”も一切ない。スイングってリキみが出た瞬間に円に“角”ができるんですけど、長身と手足の長さを活かした大きなスイングの円を描けるのが最大の特徴ですよね」。

辻村氏が松森を小学5年生から指導する青山裕美コーチに聞いたところによると、松森はスイングで大きな悩みを抱えたことがほとんどないという。「青山さんが見ていた中で、中学3年生から高校生になる時、背格好が変化したことでスイングが一度バラバラに悩んだそうですが、それ以外で悩んでいるのを見たことがないそうです。天性的なものもあると思うけど、バックスイングもリズムが良くて、テークバックで良い位置にトップがおさまったら、ナイスショットが確定しているような雰囲気がある」。まさに生まれながらのショットメーカーだ。

■課題のアプローチ、パットの向上
ただ、ショットには非凡な才能を見せる一方で小技に課題を抱えていた。2015年はパーオン率が36位だったのに対し、パーセーブ率は60位。辻村氏いわく「18ホールで15ホールパーオンしても残りの3つ全部ボギーにする感じ(笑)」。

パッティングに関しては「日本女子オープン」でスイッチしたミルドコレクションTX DYPEモデル 2Mに好感触を得たことが大きかった。「プロゴルファーってパターがハマる時が必ずあるんですけど、構えやすさと打感が大事。優勝争いはショットでいけるけど勝ち負けはパターで決まりますからね。最後のところで信頼できるパターがあったのが勝敗を分けたと思いますね」。

一方アプローチは、青山コーチと取り組んだオフの練習に辻村氏は注目する。「アプローチが苦手な人ってクラブをゆっくり振れないんです。本当は球と同じスピードで振りたいので、想像以上にゆっくり振らないといけないんですが、苦手意識があるゆえに手とかクラブが速く動いて自分のイメージよりも強めに出ちゃう。そこで、松森プロはサンドウェッジではなくてピッチングウェッジでどれだけ球をゆっくり飛ばせるかという練習をしていた。出球の強さとスピードを、30球なら30球同じにゆっくり飛ばすという練習をしていた」。

ロフトの立ったクラブで柔らかい球を打つには、体全体を使ってゆっくり打つ技術が求められる。「彼女は練習の最初に必ず片手練習をするのが日課。力感がない状態で体をゆっくり動かして球を運ぶのはずっとやっていることなので、それが活きていると思う。また今年からトレーナーと契約して、朝の駐車場でバランスボールを体の捻転だけで投げるというトレーニングもしている」。ショットだけでなくアプローチ、パットに及ぶ総合力の向上の裏には、松森が今季こなしてきた地道な取り組みが大きな影響をもたらしている。

■さらなる飛躍のためにあえて…
22歳での初優勝。「今年からトレーナーをつけるなど自分に先行投資を出来ていてプロ意識、向上心もある。2、3年後を見すえることもできているし、人の良いところをじっと観察して盗むという貪欲さも持っていて、さらに強くなっていくことは間違いない」と今後さらに飛躍すると辻村氏は予想する。だが、本人を良く知るからこそあえて忠告したいことがある。

「メンタル的なところで、さらに成長してほしい。調子が悪い試合で投げるクセがあるので、それでは強い選手になっていけない。例えば風邪をひいたコンディションでも、試合に出る以上はその日のコンディションのベストを尽くすことは必要。気持ちが切れた1打は必ず後でしっぺ返しが来る。自分が悪いショットを打たなくてもそういう状況になることもあるので、日々からそういう習慣をつけていってほしいですね」。

松森が将来は米ツアー参戦を夢見ることも知っているからこその提言。「落胆した時に投げた1打を打つのをやめることができれば、さらなる飛躍につながると思う」。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、濱美咲らを指導。今季は上田の出場全試合に帯同し、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

(撮影:上山敬太)<ゴルフ情報ALBA.Net>

最終更新:10/18(火) 10:43

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