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製紙工場でバイオマス発電、240億円かけて14万世帯分の電力

スマートジャパン 10/17(月) 11:25配信

 青森県の八戸市にある三菱製紙の「八戸工場」は専用の岸壁まで備えている。海外から輸入する木質チップなどを原料に、パルプから紙まで一貫生産できる国内有数の製紙工場だ。この工場の構内に日本で最大級の木質バイオマス発電所を建設する。同業の王子グループと共同で総額240億円を投じる一大プロジェクトである。

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 発電能力は75MW(メガワット)で、2019年6月に運転を開始する計画だ。稼働中の木質バイオマス発電所では最大の神奈川県にある「京浜バイオマス発電所」(発電能力49MW)を上回る。隣接する岩手県でも太平洋セメントの工場で75MWの木質バイオマス発電所が2019年の秋に運転を開始する予定だが、ひと足早く八戸工場の発電設備が稼働することになる。

 年間の発電量は5.3億kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して14万7000世帯分に相当する。八戸市の世帯数(10万8000世帯)をはるかに上回る規模になる。発電した電力は固定価格買取制度で売電して、年間に110億円の収入を得られる見通しだ。

 燃料は海外から輸入する木質チップとPKS(パームヤシ殻)に加えて石炭も利用する。海外産の木質チップやPKSで発電した電力の買取価格は1kWhあたり24円(税抜き)だが、石炭を利用する比率に応じて低くなる。八戸工場のバイオマス発電の買取価格は21円弱を見込んでいる。

工場のエネルギーでイチゴの栽培も

 八戸工場の木質バイオマス発電所はJFEエンジニアリングがEPC(設計・調達・建設)を担当することも決まった。中核になるバイオマスボイラーにはフィンランドのバルメット・テクノロジーズ(Valmet Technologies)の製品を採用する。

 バイオマスや石炭を燃料に利用するバイオマス発電では、燃料の種類と発電規模によって最適なボイラーの種類が分かれる。バルメット社のボイラーは多品種の燃料に対応できる「CFB(循環流動層、Circulating Fluidized Bed)」と呼ぶ方式で、発熱量の低い木質バイオマスから発熱量の高い石炭まで効率よく燃焼できる点が特徴だ。

 バルメット製のCFBボイラーは出力が50~1200MWの発電設備に適用できる。バイオマス発電で世界最大の260MWの導入事例を含めて250基の納入実績がある。日本国内では提携先のJFEエンジニアリングを通じて八戸工場のバイオマス発電所の建設が最初のプロジェクトになる。

 三菱製紙は2004年から八戸工場でリサイクル発電に取り組んできた。製紙工程で発生する廃棄物(ペーパースラッジ)や回収した廃タイヤを燃料に利用して、作り出した電力と熱を製紙工程のエネルギーに還元する仕組みだ。廃棄物の削減とCO2(二酸化炭素)の低減に生かしている。

 一方では主力商品の洋紙の市場が縮小して事業構造の転換を迫られている。新たなバイオマス発電事業のほかにも、工場で発生するエネルギーや資材を活用してイチゴを栽培する実証実験を2014年に開始した。

 イチゴを栽培するビニールハウスの照明や温度制御に工場のエネルギー(電力や蒸気)を利用する。栽培用の床やプランターには工場の廃材を活用して、資源をリサイクルしながら新規事業を創出する取り組みだ。

最終更新:10/17(月) 11:25

スマートジャパン