ここから本文です

なぜ人は太るのか 「ロジック」を理解していれば痩せられる

ITmedia ビジネスオンライン 10/17(月) 7:45配信

 「ライザップについて書いてみませんか?」

 そんなメールが私のところにやってきたのは、今年2月のことだった。成城石井、ローソン、ドトール、ボルテージ、リブセンス、クックパッドなど、さまざまな企業に取材をして本を作る仕事をしている私に、次はライザップについて書いてみないか、というお誘いをいただいたのである。

【ライザップの店舗外観】

 ライザップはもちろん知っていた。ダイエットプログラムを提供して、急成長を遂げていた。ビフォーアフターの鮮烈な映像を使ったテレビCMや広告も強烈なインパクトがあった。

 多くの元気な企業に取材して改めて実感していることがあった。それは、「支持されるには間違いなくそれなりの理由がある」ということだ。ライザップについては「無理をさせられるんじゃないか」といったネガティブなイメージを持つ人もいることは知っていたが、きっと多くの人が支持する理由があるに違いないと感じていた。

 特にダイエットに興味があったわけではない。だが、30代後半からじわじわと進んだ中年太りは、やはり気になるところだった。かつてアパレルメーカーに勤務していたほどの洋服好き。ところが、ウエスト周りがぽっこりしてきたために、気に入った洋服も着られない状況になっていた。面白そうだ、やってみよう、と引き受けることにした。

 こうしてできあがったのが、『ライザップはなぜ、結果にコミットできるのか』(あさ出版刊)である。私は本を書くにあたり、関係者の取材ばかりでなく、2カ月間、自らライザップのダイエットプログラムを実践することになった。「筋力トレーニング」と「低糖質食事法」を、マンツーマンでトレーナーに寄り添ってもらう、というものだ。

 その結果に驚いたのは、誰よりも私自身だった。特に太っていたわけではなかった50歳の私の体重は、わずか2カ月で7.2キログラム減った。ウエストは11.8センチメートル減。体脂肪率は25.0%が17.7%になった。

 しかも、印象的だったのは、健康的に痩(や)せられていたことだ。歳を取ってから急激に痩せると、一気に老けてしまうこともあるが、そんなことはまったくなかった。むしろ「若返りましたね」「スマートになりましたね」という声を周囲から受けた。

 さぞや苦しいダイエットだったのではないか、とも問われたが、実はそんなことはなかった。筋力トレーニングは、1回50分で週に2回。それだけなのだ。食事はかつてから大きく変わったが、食べられなくて辛い、ということもほとんどなかった。

 さらにこの原稿は、ライザップのプログラムを終えて3カ月以上経過してから書いているが、私の体重は増えているどころか、むしろ減っている。いわゆるリバウンドはないのだ。いったいどうしてこんなことができているのか。

●重要なことはロジックの理解

 ライザップは、痩せさせられるところではないのである。自ら痩せるところなのだ。その意識を持ち、そのための「ロジック」をしっかり理解すれば、確実に痩せることができるのである。しかし、ロジックが理解できていなければ、表面的に食事を変えたところで効果は薄いと私は感じている。重要なことは、ロジックの理解なのだ。それを、トレーナーが指導してくれる。

 ライザップについての本を書くにあたり、私は周囲にさまざまなヒアリングをしてみた。多くの人が、ダイエットには関心を持っていた。ところが、私のこの質問にうまく答えることができなかった。

 「そもそも人はどうして太るのか、知っていますか?」

 何が人を太らせるのか。食べ過ぎ? カロリー? 運動不足? 実は私も知らなかった。しかし今回、本を作るにあたって知った。人を太らせるのは「糖質」なのだ。

 糖質、という文字だけ見ると、甘いスイーツやお菓子が浮かぶが、それだけではない。ご飯やパン、麺類、果物など、普段ごく普通に食べているものに、糖質がたくさん含まれていたのである。

 例えば、ご飯一膳(150グラム)には、角砂糖におきかえると約11個もの糖質が含まれている。食パン1枚(60グラム)にも、角砂糖約6個分。野菜でも、イモ類やニンジン、ゴボウなどの根菜は糖質が多い。パン粉を使った揚げ物、小麦粉を使った点心の皮なども糖質が多い。

 糖質は身体に必要なエネルギーになるが、それが余ると体内で脂肪となって蓄積される。子どもや若者は、身体の成長が続いているのでたくさんのエネルギーを使う。糖質をたくさん摂っても、エネルギーとして使われる。

 ところが歳を経て成長が止まると、多くのエネルギーを必要としなくなる。それどころか、何もしなければ確実に毎年、筋肉が衰えていく。筋肉が衰えていくと、代謝が落ちて、ますますエネルギーが必要なくなる。運動不足となれば、なおさらだ。だからたくさん余ったエネルギーは脂肪として蓄積されていく。これが、中年太りのメカニズムだ。

●効率的なトレーニングと、減量期に糖質をカット

 では、太らないようにするには、どうすればいいのか。端的に言えば、太らせる糖質の摂取を減らし、筋肉を落とさないように運動すること、なのである。これが、まさにライザップのプログラムになっているのだ。

 ダイエットでは「とにかく食事を減らす」「カロリーを減らす」という方法を取る人がいるが、これには実は危うさが伴う。やみくもに食事を減らすと、体重も落ちるが筋肉も落ちてしまうのだ。げっそりとした痩せ方になるのは、まさにこれが原因である。

 そして筋肉が落ちると代謝も落ちる。少ないエネルギーしか必要なくなるので、ちょっとでも多くのエネルギーを摂取すると、すぐに太ってしまう。これが、リバウンドをもたらす。「減らす」ダイエットは、むしろ太ってしまうリスクを高めかねない。

 だからライザップでは、筋肉を維持するための効率的なトレーニングと、減量期には糖質をカットする食事が指導される。あんなに急に痩せられるのだから、ほとんど食べられないのではないか、などと考える人もいるが違う。逆にサラダだけ、なんて食事をしたら、担当のトレーナーから叱られてしまう。

 確かにご飯やパン、麺類などの糖質の多い主食はすべてカットする。だが、そのかわりにおかずをたくさん食べるのだ。肉、魚、卵、豆腐などのタンパク質、海藻やキノコなどの食物繊維、そして生野菜。

 実は糖質はエネルギーにはなるが、必須栄養素ではない。栄養としては、無理に食べなくてもいいのである。それより、筋肉や皮膚、脳や骨の大部分など、身体を作っているのは、実はタンパク質。タンパク質をこそ、食べなければいけないのだ。そして食物繊維は、腸内の環境を整えてくれる。

 私はもともと朝食を30年以上食べていなかったが、長時間、食事を摂らないと筋肉が落ちてしまう、という指摘を受け、ライザップを始めて食べるようになった。おかげで、朝からモリモリと魚や豆腐、メカブやわかめの味噌汁を食べていた。

 昼食は1日で最も量を食べていい食事。しかも、タンパク質を意識する。私は毎日のように意識してステーキなどのお肉をサラダと一緒に食べていた。

 夜は食べてから起きている時間が短いので、食事の量を減らした。できるだけ、消化のいいものを食べるようにアドバイスを受けた。タンパク質でも、夜は魚や豆腐が推奨された。量も控えめにする。

●見た目やカロリーにだまされてはいけない

 ライザップの推奨食材や私が何を食べていたのかは本にも書いたが、それを2カ月、トレーナーの指導のもと継続するだけで大きく痩せられたのである。ロジックが理解でき、しかも、するすると体重が落ちていったので、苦しさは感じなかった。むしろ楽しんでいた。

 そしてライザップを終えてからは、普通に食事をするようになった。助走期間を1週間ほど経た後は、牛丼も食べるし、ケーキもお菓子も食べる。もともとご飯も甘い物も好きなのである。飲み会でわいわいがやがやとおいしいものをつまむこともある。

 しかし、その生活をずっと続けたら、どういうことになるのか、もう分かっているのだ。だから、「食べ過ぎたな」と思ったら、翌日減らす。意識して、糖質をカットするようにする。週2回ほどは、軽い筋力トレーニングをする。ニュースを見ながら、10分程度のトレーニングだ。これだけである。それだけで、体重は維持できている。

 ロジックを理解していないと、イメージに流される。ヘルシーな食事だろう、と思って、サラダばかり食べていれば、筋肉はますます衰えてしまう。ざるそばとサーロインステーキ(それぞれ200グラム)では、ステーキのほうが太りそうに思える。

 実際、カロリーは264キロカロリー対996キロカロリーだ。しかし、糖質は48グラム対0.6グラム。太るのは、明らかにざるそばなのである。

 高齢になって、のどごしもいいから、ヘルシーだから、とそうめんばかり食べているケースはよくあるらしい。そうめんは糖質が高い。何が起きるのかというと、タンパク不足で筋肉や骨が衰え、脂肪でポチャポチャ。これでは寝たきりまっしぐらの危険が出る。

 食べなければいけないのは、肉や魚のタンパク質なのだ。見た目やカロリーにだまされてはいけない。重要なことは、きちんとロジックを理解することなのである。


(上阪徹)

最終更新:10/17(月) 7:45

ITmedia ビジネスオンライン