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株投資で「高い勝率」と「大きい利益」が両立しないワケ

ZUU online 10/17(月) 22:00配信

今、投資の世界はかつてないほど情報が氾濫しており、個人投資家は感覚が麻痺してしまっている。ネットで検索すれば、誰でもカンタンに早く大きく儲けられるという情報が溢れており、最初のうちは疑いを持つ人も、いつしかその情報に慣れてしまい、知らず知らずのうちに大きい儲けを短期間で追い求めはじめる。

初心者投資家が、早く大きく儲けられるわけなどないのだが、感覚が麻痺してしまっているので、修正しようにも本人の力だけでは無理なのだ。このコラムでは、「投資の利益」の本質について考え、個人投資家の意識の矯正を計ってみたい。

■売買の利益は2つの要素に左右される

投資における損益とは、一定の回数の売買が行われた後に、その全ての損益が通算されて算出される。この時、最終的な損益に影響を及ぼすのは、その全ての売買の勝率と利益幅である。勝率とは、利益を上げた売買回数を総売買回数で割って求められる。分かりやすく言うと、どれだけ数多く利益を上げられるかという目安だ。一方の利益幅は、単にどれくらいの値幅の利益を上げることができるかというものだ。当然のことながら、全ての投資家は、大きい利益幅を狙って売買を行っている。

■勝率と利益幅のコントロールは意外に単純

ここで、勝率と利益幅を意識しながらチャートを確認してみて欲しい。例えば、1つの売買で含み利益を保有していると仮定して、この売買において、より確実に、勝率を高くしたいと考えた時に、今から、より長い時間の保有と、より短い時間の保有では、どちらの方が確実に勝てるだろうか。時間の経過は、長くなればなるほど「不確実性=リスク」を増すので、確実に利益を確定したければ、決済までの時間を短くすれば良い。これが単純に、勝率を高くするコツだ。

市場の値動きにおいて、より短い時間の保有とは、利益幅を大きくするか、小さくするか、どちらだろうか。当然ながら、短い時間の保有では、利益幅は小さく限定される。つまり、より確実に勝率を高くする売買とは、利益幅を小さく限定し、短い時間の中で完結する売買である。

次に、同じ例において、保有している含み利益を、より大きい利益幅まで伸ばしたいと考えた時には、今から、より長い時間の保有と、より短い時間の保有では、どちらが大きい利益幅を狙うことができるだろうか。値動きとは、時間の経過とともに大きくなっていく。大きい利益幅を狙うためには、決済までにより長い時間保有することが必要だ。これが、利益幅を大きくするコツだ。

それでは、利益幅を大きく伸ばしたいという気持ちから、より長い時間の保有を行った時、この利益を確実に手に入れる可能性は保証されているだろうか。市場においては時間の経過は、前述のとおり「不確実性=リスク」を増すので、長く保有すればするほどその利益を手に入れる確率は低くなる。つまり、より大きい利益幅を狙って、長い時間の保有を続ければ勝率は下がる。

高い勝率を狙うことは、利益幅を限定することを意味し、大きい利益幅を狙うことは、勝率が低くなることを許容することなのだ。この時点で、確実に大きく儲けるということは、市場の値動きの理に適っていないことが理解できる。投資における利益とは、高い勝率を狙うか、大きい利益幅を狙うか、極端に考えれば、2つから1つを選ぶことからスタートする。

■確実に大きく儲けたいと思えば損失が続く

市場の投資家は、心のどこかで確実に大きく儲けたいと思い、毎日の売買の中でそれを追いかけている。しかし、前記に確認したように、市場の値動きにおいては、高い勝率と大きい利益幅は原則的に両立しないので、この利益は存在しない。このことに気づいていない投資家は、結局高い勝率も大きい利益幅も手に入れることができず、損失を重ねていく。「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざは、日本人なら誰でも知っていることわざで、投資の世界にも当てはまる。

投資の利益は、勝率と利益幅によってきまる。そして、より確実に高い勝率で利益を上げるためには、短く小さい値幅で限定して利益確定を行うことが必要だ。一方で、より大きい利益幅で利益を上げるためには、より長い時間の保有が必要となり、長い時間で大きい利益を追いかければ勝率が低くなることを許容しなければならない。あなたがこれから市場で利益を上げていくために、高い勝率を目指すのか、大きい利益幅を目指すのか、しっかり選択しよう。

最後に、市場はいつも同じように動いているが、その姿は決して一定ではない。あなたが、高い勝率か大きい利益幅かを選んで、それを一貫して追いかける時、数年に一度だけ、高い勝率で大きい利益幅の利益を上げることができる。それは、数年に一度やってくる市場のチャンスなのだ。勝率で勝つか、利益幅で勝つかを選んで行動を続ければ、いつか市場からのご褒美があなたにやってくる。

松下 誠(まつした まこと)
まこと投資スクール株式会社 代表取締役
2001年2月に株式投資と商品先物投資を開始。1年半で1,500万円の資金を失うも、諦めることなくトレードを学び、厳格な資金管理とトレードルールを作り上げた。直接指導した投資家は3万人以上に及ぶ。松下誠が運営する投資情報サイト「インベスターズクリニック( https://www.dreamworks.co.jp/ )」

最終更新:10/17(月) 22:47

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