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カレーづくりで障がい者の自立支援 母親が自宅を就労施設に

qBiz 西日本新聞経済電子版 10/17(月) 11:47配信

「王者決定戦で2位」のうまさ

 佐賀県唐津市相知町伊岐佐の障がい者就労支援施設「イエローキッチン」が製造するレトルトカレーが人気だ。その味は8月の「第5回カレーの王者決定戦inからつ」で約3千人が食べ比べた結果、参加15店中2位になった折り紙付き。昨年4月に開設されたイエローキッチンの作業所を訪ね、カレー作りにかける思いを聞いた。

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 作業所はアジサイの名所「見帰りの滝」の近くにある。施設長の長崎由美さん(52)が自宅を一部改装して開いた。次女奏子さん(23)は小児自閉症の障がいがあり、長崎さんは自分たちがいなくなったとき、奏子さんが1人で安全に暮らせるか心配だった。

 奏子さんは18歳から別の作業所に通って工賃を得ていたが、当時は昼食を無償で出すところは少なかった。「工賃から昼食代を引かず、栄養バランスがとれた食事を無償で出す作業所があれば、障がい者と親の安心につながる」。こんな思いで施設を立ち上げた。

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 イエローキッチンがレトルトカレーを商品化したのは、賞味期限が長くて売れ残りの廃棄リスクが小さく、より多くの工賃を障がい者に還元できると考えたからだ。

 作っているのは、九州産の豚や鶏のひき肉をはじめ、トマトやタマネギ、ナス、シメジを使った「イタリアンキーマカレー」。長崎さんが家族と味わっていたオリジナルで、水は使わず材料から出る水分だけで作ってうま味を凝縮し、すっきりした辛みが特長だ。

 18~59歳の知的、身体、精神の障がい者10人が職員4人と一緒に製造している。訪問時は調理の真っ最中で、包丁でタマネギをみじん切りにする人の向こう側で、材料を大鍋に入れて炒める姿があった。出来上がったカレーは障がい者が計量して袋詰めする。

 「その人に合った作業を受け持ってもらい、みんなで支え合いながら、楽しく働けるように心掛けています」と長崎さん。他人と一緒にいると疲れを感じる人もいるため、静かに休憩できる部屋も用意している。

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 「気持ちがゆったりとして、発作が前のようには起きなくなりました」「昼ご飯を食べているとき、近所であったことを話すのが楽しみ」。通所者は家庭的な雰囲気を気に入っている。

 カレー作りを誇らしく思うようにもなった。カレーの王者決定戦には半数の人が会場に足を運び、自分たちが作ったカレーを求めて行列ができる人気ぶりを見た。2位になったことで、周囲から励ましの声が掛かるようになり、作業所でレトルトカレーを買う人も増えたという。

 作業所で自立意識を高め、自宅でみそ汁が作れるようになった障がい者もいる。「目指すのは、無理をせず、自分でできる仕事をいつまでも続けられる場所」。長崎さんは、さらに多くの障がい者に利用してもらいたいという。

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 商品のイタリアンキーマカレーは500円。佐賀牛合挽(あいびき)煮込みハンバーグは550円。ホームページで注文できる。イエローキッチン=0955(62)5570。

西日本新聞社

最終更新:10/17(月) 11:47

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