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TPP、「オバマ大統領下でのレイムダックセッションに頼るしかない」

ニュースソクラ 10/17(月) 10:00配信

TPP交渉、日本側事務方トップの講演の中身

 アメリカ大統領選挙が終盤戦を迎えている。

 ヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏がデッドヒートを繰り広げているが、トランプ氏の「女性蔑視発言」騒動もあり、10日時点ではクリントン氏がリードをキープしているようだ。

 世界中が注目するこの選挙では、外交安保から経済まで幅広いトピックが議論されているが、日本にとって気になるのがTPPの行方だ。

 TPPについてトランプ氏は、「脱退する」と明確に反対している。
一方、クリントン氏はTPPを推進するオバマ政権の閣僚ではあるが、民主党支持者からTPPが不人気だと見るや、「再交渉」含みとはいえ反対に大きく舵を切った。

 TPPは参加12か国が批准しないと発効しない。しかし、署名後2年以内に全参加国が批准できない場合でも、GDPベースで85%以上を占める6か国が批准していれば発効は可能だ。

 これは逆に言えば、60%を占めるアメリカと18%を占める日本が批准しない限り、TPPは発効しないということだ。
つまり2017年にどちらが大統領になっても、TPPは暗礁に乗り上げる可能性が濃厚なのだ。

 こうした中、TPP交渉の日本側事務方のトップ、大江首席交渉官が先月講演を行った。

 今国会で法案が審議入り、かつアメリカ大統領選が終盤戦というタイミングで、交渉の事務方トップが公の席で発言するのは勇気ある行動とも言えるが、それだけTPPの行方に焦りや危機感があることを伺わせる。

 大江氏はまず、国会でのTPP法案成立について「アメリカ大統領選までに衆議院を通してほしい」と強い期待感を示した。そのうえで大江氏は、TPPが世界のメガFTAの中でも最も大きく、聖域なき関税撤廃を掲げるTPPの中で日本は多くの例外を勝ち取ったとその意義を強調した。

 またアメリカ議会での動きについては、「オバマ大統領下でのレイムダックセッションに頼るしかない」としたうえで、「そのために日本は(TPP法案を通して)オバマ政権の後押しをする」と述べた。

 では、オバマ政権下で承認されない場合、果たしてTPPはどうなるのか。

 大江氏はクリントン氏の大統領就任を念頭に置いたうえで、「アメリカが再交渉を迫ってくる可能性があるが、日本は受けない。条項の修正はあり得ない」と言い切り、再交渉の可能性を否定した。

 TPPはどちらが大統領になろうと長期漂流する可能性が濃厚だが、大江氏は「長期的には楽観的。(TPPが暗礁に乗り上げたからと言って)日米FTAにはいかない。最終的にはTPPに戻るしかない」として、日米の自由貿易の枠組みはTPPしかありえないと強調した。

 世界最大クラスの自由貿易圏が夢と終わるのか? いよいよこの秋が正念場となる。

鈴木 款 (フジテレビジョン・シニアコメンテーター)

最終更新:10/17(月) 10:00

ニュースソクラ

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