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後払い制、議論進まず 県内議会・政活費見直し協議

北日本新聞 10/17(月) 0:22配信

 政務活動費を使った分だけ請求して受け取る「後払い制」導入の議論が、県内で進んでいない。全ての議会が事前に渡す「前払い制」のため、一時的でも「自腹を切る」ことに抵抗を感じる議員が少なくないからだ。前払い制は未使用分を返還しなければならず、無理に使い切ろうという意識が働き、不正の温床になりがち。実際「返したくない」との思いが動機になったと明かす議員が後を絶たない。(地方議会取材班)

 県内では舟橋を除く14市町議会と県議会で政活費を支給しており、すべてが前払い制だ。不正で12人が議員辞職した富山市議会では、議会事務局が年4回、3カ月分の政活費をまとめて各会派に事前に支給している。

■金銭的に「きつい」
 7日に開かれた「政活費のあり方検討会」では、村石篤氏(社民)が後払い制を「検討しなければならない」と語りつつも「(金銭的に)きつく、事務量も増える」と話した。

 鋪田博紀氏(自民)は「政活費を長期間立て替えることには課題が多い」と慎重な姿勢を示し、座長の五本幸正氏(同)も「約90日間も立て替えなければならないケースも出てくる。よく検討しなければならない」と述べた。

 県議会の政活費の検討会でも、9月2日の協議で事務局が後払い制を議題としたが、山本徹氏(同)は「会派は実質的な後払い制だ。今のままでいい」と発言。他の会派から意見が出なかったため議論にならず、議会としての導入を見送った。ある県議は「一時的にでも自腹を切るのはつらい」と本音を明かす。

 カラ出張が判明した高岡市議会は今月11日、議会改革検討委員会を開いて政活費の見直しについて議論を始めた。ただ、この日は領収書のネット公開などについて意見を交わしたが、後払い制には話が及ばなかった。

■皆に使い切り意識
 県、富山市、高岡市の3議会とも議会事務局は政活費を各会派に前払いし、自民系会派はいずれもいったん会派でためる。各議員は視察や書籍購入など調査・研究に活用すると、領収書と共に会派に請求。担当議員がチェックした上で会派が支給するため「事実上の後払い制」と言う。

 だが、身内の議員によるチェックは甘くなりがち。さらに、会派として政活費が余れば返還しなければならず「使い切り意識」の払拭(ふっしょく)には至らない。実際、架空請求が発覚した矢後肇元県議は「返還するくらいであれば、将来のために取っておけないかと考えた」と動機を語った。

 不正で辞職した富山市議も同様の思いを抱いており、中川勇氏は「(期限までに)使わないといけないお金。そうでないと返金しなければならない」と言い、議長だった市田龍一氏は「使い切り意識」の有無を問われ「みんな持っている」と断言した。

■偽造への対処を
 全国に先駆けて後払い制を導入した京都府京丹後市は2015年2月、条例を改正した。議会事務局の担当者は「われわれが『先進的』と言われることに違和感がある。政活費の在り方をゼロベースで考え、透明性の向上を求めた結果、後払い制にたどり着いた」と説明する。

 全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は「無駄な支出を減らし、議員に緊張感を持たせる意味では前払い制より進んだ制度だ」とする。一方で「領収書の偽造のような不正には対処できない。こうした不正に対処できる方策が今求められている」と指摘した。

北日本新聞社

最終更新:10/17(月) 10:16

北日本新聞