ここから本文です

米国債市場の最も危険なプレデターに挑むベテランの闘い

Bloomberg 10/17(月) 11:48配信

今日の米国債市場を覆う根強い不安は、超高速取引(HFT)トレーダーの暴走に対する懸念だ。そうしたトレーダーの略奪的本能に基づいた動きをウォール街のベテランが封じ込めようとしている。

ICAP傘下のブローカーテックの元最高経営責任者(CEO)で、現在はリクイディティーエッジを率いるデービッド・ラター氏は、米国債の新たな取引プラットフォーム「リクイディティーエッジ・セレクト」を今週開始することを明らかにした。米国債市場では複雑なアルゴリズムを用いて相手の取引意図を瞬時に読み取り、カウンターパーティーを不利な状況に陥れる行為が問題視されている。ラター氏によると、このプラットフォームの魅力は、そうした行為が疑われる企業が提示する買値と売値を締め出せることだ。

同プラットフォームでは、キャンター・フィッツジェラルドを中央の清算業務を担うカウンターパーティーとして活用。米国債プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)23社の大半や複数のHFT企業を含む約90社の参加を確保した。

ラター氏はニューヨーク・マンハッタンのオフィスで、既存の取引の場に「内在する不利益を是正する方法に対する需要は多い」と説明。特定の種類のHFTトレーダーとの対決は「非常に大きな不満」を伴い得ると指摘した。

規制強化で電子プラットフォーム台頭

リクイディティーエッジ・セレクトが従来の電子取引プラットフォームと異なる点は、顧客がカウンターパーティーをあらかじめ選択でき、ユーザーIDを利用して匿名で取引できることだ。これにより、誰でも見ることができる中央の市場に注文を送る必要がなくなり、秘密を守れる。ラター氏によれば、こうした仕組みによりシステムを乱用しようとする業者を排除できるという。

この取り組みが成功するかどうかは不明で、実際にHFTの弊害が恩恵よりも大きいかどうかについてはかなりの議論がある。ただ、技術的進歩や、金融危機後にリスクテーク抑制の目的で導入された規制が米国債取引の内部構造を一変させつつあり、伝統的な業者の間で混乱が生じていることは否めない。

規制強化により、ウォール街の金融機関はディーリング業務を縮小。コンピューター化取引を専門とする企業がその穴を埋めた結果、ブローカーテックやナスダックの「eスピード」などの電子取引プラットフォームが米国債市場の売買高の半分近くを占めるようになった。ブルームバーグ・ニュースの親会社であるブルームバーグ・エル・ピーとその関連会社も米国債取引の手段を提供している。

原題:One Man’s Crusade to Tame Most Dangerous Predators in Treasuries(抜粋)

Eliza Ronalds-Hannon

最終更新:10/17(月) 11:48

Bloomberg