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農家経営「見える化」へ JAおきなわ・沖縄県農林水産部が協力

琉球新報 10/18(火) 11:00配信

 農家の所得向上を目指してJAおきなわと県農林水産部が協力し、農家ごとの経営を分析し、現状や課題を「見える化」する取り組みを進めている。品種ごとの年間、月別の10アール当たり収量(反収)の推移や、色や形が良く高値取引が期待できるA品率の割合などさまざまなデータをグラフ化して他の農家と比較し、農家経営上の課題を明確化する狙い。データは営農指導員と農家が個別面談する際に示すことで気付きを促し、「どんぶり勘定」も多かった農家経営の変革を進める。

 豊見城市でトマト栽培を営む大城隆雄さんは、営農指導員と「生産販売分析診断書」と題した資料を見ながら話し合っていた。資料は、JAおきなわが豊見城のトマト共選部会員約104人を対象に今年から試行的に行う農家経営を分析したデータだ。

 JAに蓄積された過去の出荷データを基に、個人の実績と部会全員の平均値、部会最高の成績が一覧でき、地域の中での自身の順位が項目ごとに分かる。

 大城さんの昨年実績は、10アール当たりの販売金額や反収で部会平均を上回ったが、A品率では部会平均を下回った。部会最高記録と比べると収穫期後半となる5、6月の反収が少ないことも分かった。大城さんは「昨年は2、3月にセロリの出荷に手間取り、トマトの手入れに手が回らなかったのが、後半の収穫に影響したのだろう」と振り返る。その上で「グラフとして見て初めて気付いた。普段は日々の作業に追われ、昨年のことを振り返る余裕もないので、JAがやってくれるのは助かる。毎年改善を続ければ、数年後には大きな成果につながる」と語った。

 JAおきなわは現在、豊見城のトマト、糸満の小ギクでモデル事業を実施している。本年度中には北部、中部、南部、宮古、八重山の県内5地区で1品目を指定し、モデル事業を拡大する。来年10月の稼働を目指して経営分析を効率的に行えるシステムの開発を進めており、対象品目は随時広げる。現在は農産物の生産量と収入で経営状況を判断しているが、支出の部分も確認できるようにする。肥料・農薬代や人件費も加味した総合的な経営判断ができるようになる。

 県農政経済課の崎原盛光課長は経営分析の取り組みについて「農業者が本格的な農業経営者へと成長し、さらなる経営発展を図るため、必要かつ効果的な業務だ。県も先行する他県の取り組みを参考に、JAと共に分析手法や県とJAの連携方法などについて検討を進めている。現場の農家と共に理解を深めていくことが必要だ」と語った。

琉球新報社

最終更新:10/18(火) 11:00

琉球新報