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アートとビジネス、テクノロジーの関係を考える「アルスエレクトロニカ」レポート

SENSORS 10/18(火) 10:00配信

テクノロジーを用いたアート作品に触れたことがある人なら一度は耳にしたことがあるイベント「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」。1979年から始まり、毎年秋にオーストリアのリンツ市で開催される、アートとテクノロジー、ソサエティー(社会)がキーワードの世界的なフェスティバルだ。2016年には、日本人では真鍋大度、落合陽一、サザエbotが受賞するなど日本とも縁が深い。

右脳思考”と”左脳思考”の融合「テクニカルアーティスト」の仕事

重要なイベントということは知られているが、リンツまでは距離があり、なかなか実情を知ることは出来ない。そこでここ数年参加している「さわれるインターネット(Embodied Virtuality)」をテーマとするweb制作会社ユニバのCEO菊地玄摩氏に、今年実際に足を運んだ手応えとここ数年の変化を伺った。

■多様な人を混ぜ合わせるオープンなイベント

--ここ数年通っている菊地さんから見て、アルスエレクトロニカはどういったイベントですか?

菊池:僕自身はweb制作会社の人として、毎年フェスティバルの期間中にインスピレーションを得るために、技術的に新しい領域やアートと技術が隣り合う領域で何をしてるのかを期待して見に行きます。アルスエレクトロニカはアーティストに向けたハイコンテキストなものだけではなく、地元の一般の人から海外から来た僕ら、そして研究者、エンジニア、起業家など、多様な人を混ぜ合わせるオープンなイベントということが非常に面白いと思っています。

--アートとテクノロジーが結びついた展示作品が多いのですか?

菊池:フェスティバルの特徴は、美術館のように作品を並べて展示するより、出来事を紹介するフレームや作品の評価の仕方が並んでいるように思えます。同じ作品でも置かれた場面によって意味が出てくることを重視しています。
また展示だけでなく、アーティストが自分の活動を語るシンポジウムもあります。受賞者のプレゼンテーションや、社会問題のディスカッションもあって、美術館に作品を見に行くようなモードだけでは消化しきれないと思います。
アルスエレクトロニカ自体、「アート」「テクノロジー」「ソサエティ」を同時に探求していくテーマがあって、アートだけの一軸のディスカッションはないです。科学者、政府関係者、企業関係者などがシンポジウムに登壇して、常に立場をミックスをしています

--リンツ市内に各所にある会場はどういった場所ですか?

菊池:僕が行き始めた5年前はアルスエレクトロニカセンターという施設が中心となっていましたが、ここ数年顕著なんですがリンツの街中に広がっています。同時多発的に各所で出来事が起きるので、事前に準備しても全部は見られない。今年は電車で移動しながら散らばったものを集めるほど広がって規模も大きくなっています。そして意図的に美術館に集約して見せずに街中で行われています。

--それは自然に社会との接点を見出させる意図があるんですか?

菊池:そうだと思います。同じテーマの作品でも置かれる場所が違えば、意味が変わります。 例えば、一昨年は銀行のホールを借りてディスカッションをする試みがありました。それはアーティストや観客含めて影響があり、普段銀行として使われている場所を意識してプレゼンするので例えばお金のことを意識せざるを得ない。そういった効果も狙ってか文化センターや現代美術館だけでない会場であえて行う試みがあって面白いですね。

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最終更新:10/18(火) 10:00

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